5 私の小さい頃…塩味のソース焼きそば

こんにちは。

私の仕事で7月は、1年の中でも忙しいときです。
今年は暑い中、マスク着用もしなくてはならず、去年よりも疲労度が高いです。
休みともなると、気づくと寝ている…という感じで、1日寝て過ごす、という洒落にもならない日々を送っています。

今日は、自分の小さい頃の話をしようと思います。

学習教室で、HSCさんと向き合うことも多い私ですが、自分自身がHSPだと知るまでは、自分のことを、一言でいうと「変な人」だと思っていました。

考え方をはじめとした様々なことが、みんなとは少しずつ違っているのだけど、ではどう違うのか、なぜ違うのかが分からず、なんとかみんなと同じに見えるように「取り繕う」ことに必死になっていたような気がします。

こうして自分の気質を知ることによって、「恥ずかしい自分」が次第に「おもしろい感性の自分」と意識できるようになり、自己肯定感が地の底よりも低かった私は、まだ自分を愛することはできないまでも、認めてあげることはできるようになりました。

(大好きだった「書くこと」を通して、自分自身に風通しの良い状態にとどめておく、そういう方法を知り、今は少しずつ、自分の気持ちをこうしてnoteに書いています。これについては、感謝してもしきれない恩人がいらっしゃるので、いつかそのことについて書くことができたらと思っています。)

私がいつから自分に自信がないか、と言えば、保育園に上がったころにはすでにそのかけらが見えていた気がします。

今でもまだ、鮮明に覚えているのが、「お勝手の赤い壁掛け時計」です。

私の母はかなり変わった人でしたが、父もまた、男尊女卑の偏った考え方を持つ人でした(今はどうしているかは定かではありません)。

私は小さい頃から算数が苦手でした。

(後から思えば、得意な単元もあったため、ひょっとすると、私の親がもう少し関わり方を考えてくれてさえいれば、算数が大の苦手にはならなかったかもしれないな、と、小さい私に思いを馳せています。)

特に気持ちが沈むのが、「父親が家にいる土日のお昼」でした。

父は、なぜか昼食が出来上がる頃合いに、私を呼びます。
少し呆れたような、侮蔑を含んだような声で、私はいつもの「イベント」が始まったことを知ります。

父は私を赤い壁掛け時計の前に立たせ、言うのです。
「はい、今から2時間40分前は何時何分!」

なぜかそうなると、私は、頭の中が混乱し、もう何も考えられない、というのか、ちゃんと考えなくてはいけないと思えば思うほど、時計の問題の考え方が自分の引き出しから出てこなくなるのでした。

そして目の前には、答えが遅れるほどイライラが募る父の、まるで情けないものを見るかのような視線がありました。

「まったくお前は、どうしてこんなに頭が悪いんだ?考えたらすぐに分かることだろう!」

罵倒されればされるほど、私の頭は考えることをやめ、「早くしなくては」「失望させてはならない」と焦る気持ちとは裏腹になっていきました。

業を煮やした父は、いつもの決まり言葉を吐き捨てるように言います。
「答えられるまで、家族全員昼ご飯なしな!」

目の前で監視されているプレッシャー。
私の不甲斐なさにより迷惑を被る家族。

私は赤い時計を見上げながら、出てこない答えにただどうにもならない思いでした。

訳もわからずこみ上げてくる涙にも、「そうやって泣けば済むと思っているのか!どこでそんな汚い手を覚えてくるんだ!まったく、そういうことだけ達者だな!」と罵られました。

とにかく私は、何においても、ひとつも優れたところのない子どもだったのです。

やがて母が、出来たての焼きそばをテーブルに並べはじめます。
それでも私は答えを導き出すことはできません。
ただ、時計を見つめて、泣きじゃくることしかできなかったのです。

いつも頃合いを見て、父に話してくれるのは、祖母(父からすると義母)でした。

「この子もがんばっとるで。堪忍したって。」

やっとのことで席に着くことを許されても、食事の間も絶え間なく罵られました。
父のいる日の焼きそばはいつも、ソース味なのに、涙やなんやらでぐちゃぐちゃの、塩味がしました。

こんな私がなぜ、教育の道を志したのか…それは、明確な何かがあったわけではありません。

ですが、今になって考えると、もしかしたら私は、本当は一番、小さい頃の自分を救ってあげたいのかもしれません。

もちろん、「私と同じ子どもを一人として作りたくない」という強い思いがあるのも事実です。

あのとき、かける言葉がちょっとだけ違っていたら。
あのとき、もう少しだけやり方を工夫できていたら。

手遅れになるその前に、私の今までの経験が何かのヒントになれば、といつも思っています。

お読みくださり、ありがとうございます。

#HSC #みんな素敵だよ

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