母、歩く
2022年8月9日に、子どもが生まれました。
出産翌日〜産後3日目までの記録です。
8/10 出産翌日
朝から素っ裸にされて、体をふくのを手伝ってもらう。お下を洗うのも着替えも産褥パッドを替えるのも人にやってもらうなんて、まるでわたしが赤ちゃんのよう。
赤ちゃんはどうしているかな。早く会いたくてうずうずする。
10:30ごろ、ようやく赤ちゃんがやってきて、授乳タイム。一生懸命おっぱいを吸う姿も、眠そうな姿も、本当に、なんてかわいいんだろう。こんなかわいい生き物がお腹の中にいたなんて。
なにそのかわいい動き…!!
なにそのかわいい声…!!!
と、いちいち驚いてばかり。見飽きない。
授乳の姿勢はお腹痛いし疲れるけど、とにかくかわいくて痛みも吹っ飛ぶ。
夕食後、はじめて助産師さんの助けなしでオムツを替えられた!探り探りだったけど、落ち着いたら泣き止んでくれて、あ、赤ちゃん様、これでいいんですね…??という感じ。達成感。
夜は初の母子同室で過ごす。赤ちゃんがかわいいのに変わりはないけれど、痛むお腹を抑えて1,2時間おきに起きあがり、オムツ確認、授乳、ミルクあげる、の繰り返しはなかなかしんどかった。授乳も一筋縄ではいかず、うまく乳首をくわえさせられなくて悪戦苦闘。赤ちゃんをずっと見下ろしているせいで首も背中も痛い。3時過ぎにオムツを替えた後、看護師さんの言葉に甘えて一度預かってもらい、6時ごろまでぐっすり眠った。
8/11 産後2日目
朝起きると全身が痛い。お腹はもちろん、昨晩の授乳で酷使した首や肩や背中が全部痛い。こりゃ大変だ。バキバキの体をどうにか伸ばして起床。
この日は朝から母子同室。いろいろ早くマスターしなくてはと気が急くけれど、休めるのは今のうち、と自分に言い聞かせる。朝授乳した後は、もう一度横になって眠った。
赤ちゃんは見れば見るほどかわいく、全ての瞬間を残しておきたいし、誰彼かまわず写真を送りつけたくなる。いや、もうかわいいなんて次元じゃない。本格的に泣く前にピーピーキュルキュル言ってるのも、うすい髪の毛が生えた頭の丸みも、ときどきバンザイするちっちゃな手も、触っているのかわからないくらいやわらかい頬も、全部がたまらなく愛おしい。こんなにかわいい存在が、手の届くところにいる幸せ、ほんとうにありがとう…と何かに感謝したくなるような気持ち。
赤ちゃんを見ていると時間が溶ける。でも、フニャフニャ泣いてかわいいなぁ…などと思って見ていたら、ウンチをしていたりすることもあり、そうだよね、理由があって泣いてるんだよね、こりゃまたスミマセンでした!となる。
今日はようやく、全ての点滴が外れ、尿のカテーテルも外れて、自由の身に。そろりそろりと立ち上がり、歩いてみる。お腹の傷がずんと痛むけれど、思ったよりも歩けた。もうシャワーも浴びていいというので、全身洗ってすっきり。昨日よりだいぶ回復した感がある。人間の体はすごい。
授乳やオムツ替えも一人でしていいですよーと言われ、何度かやるうちに、どうにかできるようになってきた。赤ちゃんの方も少しずつ慣れてきたらしい。
赤ちゃんと離れるのは寂しいけれど、今のうちに休んでおくことも大切と考えて、今夜は母子別室にさせてもらった。産後の体、おつかれさま!
8/12 産後3日目
朝から母子同室。
3時間おきくらいに授乳。
やっぱり左の方が吸いやすそうだけど、右も頑張って飲んでくれるようになってきた。吸われている感覚がくすぐったくて、コクコク動く喉がたまらなくかわいい。お乳を吸わせた後は、ミルクを飲ませる。飲んだ後は満足して眠たそう。授乳クッションの上でくたっとなってすぅすぅ寝息を立てている姿もたまらない。
努力の甲斐あり、少しずつ母乳が出るようになってきた…!乳首からじわ〜っと半透明の液体が出てくる不思議。これが血液からつくられているとは、本当に神秘!
泣いているとき、オムツか授乳のほかに、抱っこで落ち着いてくれることも出てきた。さっきまで顔を真っ赤にして泣いていたのに、抱っこしたとたん、すんっと真面目な顔になるのがおかしい。
午後、院内の母乳指導に参加。別部屋のお母さんと、はじめて少し話した。授乳はまだまだ試行錯誤になりそうなので、いろいろ聞けて助かった。
ちょうどその後の授乳。担当の助産師さんの母乳指導に、なんかもやもやしてしまった。さっき教わった姿勢を試したいです、と言ったのに全然違う姿勢を指導されたし、まだ寝ている赤ちゃんを無理やり起こして、顔を真っ赤にして嫌がる赤ちゃんの首をむんずとつかんで、乳首をくわえさせようとするし…。
いや、わかってるんだけどね。小さめに生まれたから、起こしてでもミルクを飲ませないと体力がつかないのも。わたし自身、授乳の姿勢が決してうまくないのも。でも、なんだか赤ちゃんを雑に扱われているようで辛くなってしまった。そこまでして頑張らせないといけないんだろうか…。少し待てば、自分からほしがってくれるんじゃないんだろうか。わたしとこの子なりに、ここ数日で見つけたコツだってあるのに。もう少し赤ちゃんの気持ちに寄り添うやり方がないんだろうか。
うーんなんだか、理屈ではわかるけど、鼻息荒く赤ちゃんをコントロールしようとする感じがすごく嫌だったな…。
よく頑張った赤ちゃんは、すうすう眠っている。こんなに小さい体で、力いっぱい生きているんだね。本当にえらいね、きみは。
毒にも薬にもならない文章ですが、漢方薬くらいにはなればと思っています。少しでも心に響いたら。