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おい、たかおぽん!


元ボクラしっく

「ボクラしっく」

福岡からの漂流者であるこの小さな小さなとっても小さな男たちに

僕はしばらく照らされていた。



僕が芸人を始めて
初めてできた兄さんたちだ。



先日、この元ボクラしっくの「たかおぽん」さんが
地元福岡に帰ってしまうということで
送別会をしてきた。



手のひらに乗るサイズのせいか

誰からもいじられ、愛される妖怪だった。


スキンシップが激しく、

いつも誰かとしゃべるときは手を相手の体の一部に触れながら

柔らかい口調で中身のないことをゆっくりと話していた。


その触られ心地に体は溶けていき

気が付けば
己の心臓をたかおさんの懐に預けていた。


スリの手口だ。


そうやって安心感を与え、気をそらせて

心を抜き取っていく。

まだ素人だった僕は

この巧妙な手口にまんまと引っ掛かり

完全に心を奪われていた。

たかおぽんさんと



結局
みんなの心をくすねて

福岡に逃亡してしまうのだ。

僕は、僕たちは絶対に許さない。

地の果てまでも追いかけて

奪われた心を取り戻しに行く。


おい、たかおぽん!

お前がどこに逃げようとな!




ボクラしっくさんには世話になったな。

まだ芸人付き合いというものをほとんどわからない
芸歴3年目くらいの頃に出会い

こうやって先輩には自然体で話していいんだ、

ボケていいんだ、ツッコんでいいんだ、

ふざけていいんだ、近付いていいんだと

今思えばこの二人、
たかおぽんさんと太田王子さんのボクラしっくさんと
関わることで
この世界の基礎を基盤を僕は作っていった。


ライブをしたあとに酒を飲んで打ち上げすること

ネタをしてうまくいかった日も飯食いながらああだこうだ言うこと

最高に盛り上がった日はみんなで騒ぐこと。


テレビに出たり、地方へ営業行ったり、舞台出たり、

ドラマ出たり、映画出たり、ラママ出たり、ラップバトル出たり、

トークライブしたり、ユニットライブしたり、YouTubeやったり

僕のまだ経験したことないことを目の前で

見せつけてくれた。

普段のたかおぽんさん


僕はボクラしっくさんという灯りを頼りに
この暗闇を歩いていた。


彼らがするユニットライブ「三番稽古」は毎回手伝いに行ったし、

彼らがYouTube始めたときは作り方を太田王子さんに教わりに行ったし、

たかおぽんさんの出る舞台を観に行ってはクサい芝居を目に焼き付けたし、

老舗ライブ「ラ・ママ」に出たときも興奮して駆けつけたし、

解散が決まって最後のライブも見に行ったし・・・


そういえば、単独ライブは見に行けなかったな。


あれさえ見とけば
今頃僕も単独ライブやろうとしてたのかな。


そのぐらい
ボクラしっくの背中に僕は張り付いていた。



なによりも彼らのエピソードは強烈過ぎる。


たかおさんは映画にも出ていたよ。

サバカンいい映画だったな。


ボクラしっくさんと
下町ミュンスターさんと
アトムさん(現フェードローさん)と
途中から参加のぶっこきんぐさんのユニットライブ
「三番稽古」は本当に毎回面白かった。

みんな仲がいいからエピソードがボロボロ出てくるし

やりとりも面白い流れが出来上がってるから

ずっと笑っていられた。

中野ブロードウェイにあった中野440スタジオが懐かしい。

高円寺HACOも。

高円寺HACOで「三番稽古」


中野440スタジオで「三番稽古」


中野440スタジオ「三番稽古」
中野440スタジオ「三番稽古」
たかおぽんさんを抱きしめる下町ミュンスター岩佐さん


たかおぽんさんを絞めるぶっこきんぐ宮川さん


最高のライブだったな。

こんなライブを自分もやりたいなって思ってた。




心に焼き付いた
ボクラしっくの残像を今も追いかける。


おい、たかおぽん!

おい、太田王子!


絶対に追い抜いてやるからな!


福岡に帰ってしまった
たかおさんを想ってたら書いてしまいました。

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