ひとりで船釣りに参加したら船長にめちゃくちゃいじめられて、トドメに〇〇された件について

【Prolog】

タイトルからして
なんとも悲しい話なのだけれど
え?どゆこと?
そんなことあるの?
そう思った人がほとんだろう
私も意味がわからなかった
ありのまま起こったことを話すぜ
何を言ってるのかわからないと思うが
私も何をされているのかわからなかった
逃げ場のない海の上で
執拗にいじめ続けられた悪夢の様な6時間
頭がどうにかなりそうだった
嘘偽りはない
ノンフィクションだ
間違いなく私の人生で最低で最悪な体験
こんなにも悔しくて悲しくて虚しいことはない
そして全く想像もしなかった結末に
あいた口が塞がらなかった

少し(かなり)長くなるが
どうか最後まで読んでほしい
あなたのその優しさが
私の唯一の救いになります

それではしばしの間
お付き合い願いたい




【Chapter 1】

船釣り
ずっと前から興味はあった
友人達が大きな魚を
満面の笑みで掲げる写真を見ては
私もしたい!
ビンビンにしなる竿と格闘しながら
リールをぐりぐりまわしたい!

そう思って何年が過ぎただろう

釣りといえば数年前に
諸塚村の渓流で
ソーセージを餌に
なにかしらかの魚を釣ったくらいだ笑

近しい友人には釣り好きはおらず
釣り好きの友人とは休みがあわず
なかなかチャンスは巡ってこなかった

もうこれは待っていても始まらない
自分から始めよう
ひとりでもいいから参加しよう
なんでも体験だ

ただいかんせん全くの素人だ
ウネウネした昆虫は触れないし
どのルアーがどれの何かもわからない
そんなレベルだ

とりあえずオススメの釣り船を
友人達に教えてもらった

ただし条件をひとつだけ
場所は青島

beach parkをはじめ
イケてる飲食店も増え
宮崎の新ホットスポットに
生まれ変わった青島

私は青島が大好きなのだ

某釣り船を紹介された
船長さんも優しいし
いいと思うよ


【Chapter 2】

6月15日 早朝6時
青島港
ホームページに書いてある住所に
Google先生に導かれ辿り着くが
それらしき船が見当たらないので
船長に電話した
今〇〇という看板の前にいますが
どちらになりますか?

「は?そこじゃないですけど?」
「なんでそっちいきました?」
「この時間に人がいるのは私の船だけ、そこです」

いきなり怒られた
わからないから電話しているのだ
なにより明記されてる住所に来たのにだ
だったら最初からそう伝えてくれればいいし
案内の看板なりホームページに書いといてほしい

人がいる船…
ああ向かい側のあれか
てか、見えてるじゃないか
ここです、と手を振ってくれてもよくないか?
あたしならそうするぞ?

モヤモヤしながら
船まで走っていく
他のお客さんもいらっしゃる
待たせては申し訳ない
初心者なのだから
それくらいのマナーは守りたい

船についた
釣りバカ日誌よろしく
ハマちゃんやスーさんのようなおじさん達が
釣竿やクーラーボックスを運んでいる

ひとりだけ軽装の男性がいた
クロックスに短パン
歳は私と同じくらいだろうか
おそらくあの人が船長だろう

「予約していた小田です」

あー、そこの紙に名前と住所と緊急連絡先記入してくれる

(電話と同じ声だ。やっぱりこの人が船長か。てかなんでタメ口なんだ?機嫌悪いのか?)

モヤモヤしながらも
これからお世話になるのだから
まぁしょうがないか

バインダーの紙に必要事項を書き
船長に渡す
渡した瞬間にそのバインダーを
彼の車の中に投げ捨てられた
文字通りに投げ捨てた

え?
は?
え?

投げた?
手が滑った…のか?
でも気にもとめない

「じゃあ船に乗って」

え?え?え?
バインダーは?
なんだったんだ?

他のおじさん達はもう船に乗っている
待たせては申し訳ない
なんせ初心者なのだから
あわてて船に乗る

「ここがあなたの場所ね」

船の先頭の場所を与えられた
おー先頭か、いいじゃない
釣り船に乗るのも初めてである
風を感じながら大海原を進む
きっと心地よいはずだ
とりあえず鞄を背中から下ろした

すると
船長がバケツに海水を組み
船内に撒き始めた
ん?
こっちにもかけようとしてないか?
か、かけたぞ!
おい!!!
私の鞄があるにもかかわらずだ
いや私の鞄にかかるようにだ
咄嗟に鞄を引き上げて
すんでのところで濡れずにすんだ

こ、これは偶然じゃない
完全なる悪意だ 
気づいてないはずはない
見えてないはずはないのだ

それでも私はなんとかなんとか
良い方向に考えようとした
これは儀式なのか?
今日の釣りが上手くいきますように
無事に帰ってこれますように
そういう儀式なのか?
私が知らないだけで
当たり前の儀式なのか?
わからない
わらかない
なんなんだ?
これが普通なのか?
頭をフル回転させた
手が震えている
身体が震えている
これは怒りだ
あたしのこの震えは怒りだ
はらわたが煮えくりかえっている
船長を問いただしたい
なんのつもりなんだ?
どういうことなんだ?
考えろ
考えろ
考えろ

それ以上に
溢れ出る怒りが抑えられない
今すぐに船長を殴れ
おまえの気の済むままに殴れ
もう充分我慢したじゃないか
後先考えなくていい
やれ
やっていい
こいつは確信犯だ
敵だ
排除していい
あたしの身体中で警報が鳴り響く
スクランブル発進!

待って!待って!待ちなさい!
あなたは蕎麦侍よ!
哲心の二代目よ!
まんじゅうくんのお父さんよ!
ダメ!絶対に手を出してはダメ!

すんでのところで耐えた
耐えた
ぐぐぐ
ぎぎぎ
何度も頭の中で
可愛い息子の顔を思い浮かべる
我慢だ
我慢しろ
船さえ出れば
あとは釣りを楽しめばいいじゃないか

携帯を開き息子の写真を見つめ
歯を食いしばり
必死に耐えた

まもなくして船は出港する




【Chapter 3】

予約の段階でルアーは 
ご自身で用意しといてください
と言われていた

「何を買えばいいんです?」

「釣具屋さんでうちの船に乗るといえばだいたいわかるはずです」

「わかりました」

とは言ったものの
街中に釣具屋さんはないし
買いに行く時間もないしで
Amazonでそれらしきものを購入した
翌日には届いた
ほんとに便利な世の中だ


ウキウキでストーリーにあげたら友人に
それは違うルアーだよ笑
と言われた

え?まじ?笑

「でも大丈夫、船内販売もあるし売ってもらえばいいよ」

そかそか、なら心配ないか
なるほどインスタにもそう書いてある



【Chapter 4】

船長「ルアー出して」

あ、はい(こいつなんでこないに偉そうやねん)
一応これ買ったんですけど…

「それじゃ釣れないよ」

「ですよね、友人にも言われました
でも船内で販売もされてるんですよね?」

「は?やってません」

「え?友人が販売してるって」

「誰ですか?」

え…名前出していいのか?
迷惑かかりそうな口ぶりだな

「……売ってないんですか?」

「ありません!」

そんなこともあろうかと
港の近くの釣具屋で
ちゃんと買うとるわボケが

運良く釣具屋があったのだ
そこでこれから某釣り船に乗るんですけど
よさげなルアーありますかと
買うてたんやバカタレが

「これもあります」

「……まぁそれなら釣れる可能性はあるかな」

それから釣竿にルアーをつけてもらい
釣り方を教えてもらった
すっげー嫌そうにタメ口で

ねぇ、優しい人てゆーたんだれよ?
ホームページにも
初心者でも船長が優しく教えますて
赤文字で書いてたよね?

どこがやねん!!!
めちゃくちゃ塩対応やし
敵意剥き出しやぞ
なんなんだ?
なんかした?
個人的な恨み?
昔にあたしにどつかれた?
船長の元カノでも奪った?
あんたの好きな女性と付き合うてた?
なんなんだ?

思い当たる節はひとつだけあった


【Chapter 5】

友人達に勧められたのもあるし
ホームページに6時半出発と
書いてあったので予約した

前日に電話がきた

「明日は5時50分出発です」

「え?6時半じゃないんです?」

「は?釣りは早朝出発が当たり前です!」

めちゃくちゃ怒られた

「すいません、電車で行くので間に合わないです」

「前日キャンセルは困ります!」

「いやキャンセルはしませんよ、タクシーなりなんなりでちゃんと行きます。でもホームページには6時半出発と書かれてるので間に合うと思って予約しました」

「じゃあ6時半でいいです!」

「でも他のお客さんの迷惑になるなら…」

「6時半で!」

「ありがとうございます。助かります」



【Chapter 6】

まさか、そのことを根に持ってんの?
でも6時には到着したよ?
そこまで怒ること?
てかあたしお客さんだよ?
こいつほんまになんなんや?
まじでどつきまわしたいわ

いかんいかん
落ち着け
冷静になれ
何をしに来たんだ?
釣りだ
そう海釣りだ
でっかい魚釣りたいんだろ
あとは個人プレイだ
釣りを楽しもう
それでいいじゃないか

ルアーを海に落とし
クラッチをはずす
ルアーが海底に着地したら
すぐにリールを巻き上げる

ちゃんとYouTubeで
予習しときましたがな
てめーに教わらずともできるわい

しかしどうしてなかなか釣れない
やっぱそんな甘いもんじゃないかー
まぁそれはしょうがない
雰囲気がわかればそれでいい

その時、アツイ反応が!
お!きたか!きたか!
リールをグリグリまわす
これこれ!
これがしたかったん!

「にいちゃんにいちゃん」

「は、はい?」

隣のおじさんの釣り糸と絡みあってた

「す、すいません」

「全然大丈夫よ、てかこれ使いなよ」

エサ用の海老をくれた

「え?いいんですか?」

「初心者なんやろ、それじゃたぶん難しいわ」

「か、神様!」

「ははは、なんだよそれー」

「ありがとうございます!遠慮なくいただきます!」

それからおじさんは色々アドバイスしてくれた
基本からもう一度教えてくれた
優しさに泣きそうになった

「海老、ガンガン使っていいからね」

「ありがとうございます!」

サングラスにマスクで顔はわからないが
抱かれたい男No. 1だ
男は顔じゃない
ハートだ

それに引き換え
クソ野郎ときたら
こいつだきゃあほんまに

とりあえず一発デカいの
釣り上げてドヤ顔したるわ


【Chapter 7】

しかしそんな甘いものではなく
まー釣れません
糸もちょいちょい絡む
その度におじさんに手伝ってもらうのも
申し訳ない

また絡んだ
うぅ…どないしよ
しゃーないあいつに頼むか

「すいませーん、糸がからんで」

「チっ」

おいコラぁ!
お前いま舌打ちしたなコラ!

ここで問題だ
私はどうするべきか

3択だ
ひとつだけ選びなさい

答え①
船長を思いっきり殴る
とりあえず鼻っぱしらめがけて右ストレート
ボディに左フック
そっから船に顔面叩きつけてやる
んー揺れる船でケンカしたことないなー
締め落とした方が早いか

答え②
ドロップキック
からの海に投げ捨てる
あのバインダーのように
あのバインダーのようにだ

答え③
なにもできない
現実は非情である

私がここでこいつをしばきまわしたところで
何も解決しない
むしろ船は港に帰れくなる
それは困る

残された選択肢はひとつ
ただ耐えるしかないのだ
無事に港に戻るまで



【Chapter 8】

まわりのおじさん達が大物を釣り上げる中
とうとう私にも当たりがきた
釣竿ビンビン物語
来たぜ!来たぜ!来たぜー!
やっぱりあたしは持ってる
しなる釣竿、ぶん回すリール
釣れたー!!!


ちっさwww
しかしこれで充分である
ネタ的には最高だ笑
やっぱりあたしは持ってるw
笑いの撮れ高としては申し分ない
もうこれでいい
満足した

というか眠い
眠すぎる

それもそのはず
絶対に船酔いしたくなかったあたしは
酔い止めを
寝る前に
起きてから
船に乗る前
乗ってから
計4錠飲んでいた笑

酔い止めの副作用である眠気が
ぐわんぐわんと襲い掛かっかてくる

そこから私は目と心を閉ざし
眠りについた

私の特技「どこでも3秒で寝れる」

この時は3秒かからなかった笑


【Chapter 9】

無事に港に帰ってきた
言いたいことは山ほどある
しかし気分良く楽しんでらした
おじ様達の邪魔はしたくない
文句は後から言えばいい

お金を払い
すぐ様その場を離れた

なにより眠い
眠すぎる
早く帰って寝たい

夜中、怒りで目が覚めた
一度寝たら朝まで目が覚めないあたしがだ
わかってる
そりゃそうだ
それだけのことをされたのだ
十分に我慢した
耐えた
耐え抜いた
今度はあたしの番だ

数々の無礼
いったいどういうつもりだったのか
それを問いただしたい

されたこと全てを書き記し
メールを送りつけた
回答お待ちしていますと



【Chapter 10】

翌日、船長から電話がきた

「なんか、怒らせたみたいですいません」

なんか???

その瞬間に全ての我慢がふきとび
全身の血が逆流するのがわかった

「おまえ謝る気ないだろ!」

「いえ、謝ります」

「あー!ふざけんな!なんかてなんや!」

「ただ誤解があります」

「なんやねん」

「ファイルを投げたのはクセです。いつもそうです」
(へーそれで今まで誰も怒らんかったん)

「水は撒きましたが鞄には気づきませんでした」
(よくゆーわ)

「ルアーの船内販売はたまたま売り切れてました」(やってないゆーてたがな)

話にならないので
謝る気があるなら
直接謝罪に来いといいました

お金も返していらん
手土産もいらん
ちゃんと顔見て謝れ
二度とこんな思いを客にさせるな!

「わかりました、今から伺います」

絶対に手を出さない自信がなかったので
母と妹に事情を話し
間に入ってほしいと
同席をお願いした

母「あんたほんまよう我慢したなー」

妹「ゾッとするわ」



1時間経過…まだ来ない

母「私は来ないと思う」

妹「私もそう思う」

「せやなぁ謝るつもりはさらさらなさそうやったわ」



2時間経過…

いつくんねん!!! 





メールが来ました





「警察に通報しました。弁護士と相談します」





はぁーーーーーー




なにを通報?
なにを弁護士に相談?

教えてください
あたしは何罪になるんです???

ハゲてるからかー!!!
ハゲてるからなのかー!!!

じゃあこっちも弁護士たてますんで
ご連絡お待ちしてます
と返信しました

あたしゃ悲しいです
こんな人間が宮崎にいるのかと
あたしの大好きな宮崎に
こんなクソ野郎がいるのかと
恥ずかしい
恥ずかしすぎる

悔しくて悔しくて涙が止まりませんでした

本当は行きたくなかったですよ
前日の電話の時点で
気分悪いですやん

でもね
理由があったんです
どうしても参加しなきゃいけない理由が


【Chapter 0】

来月、東京からゲストが来るんです
ドラマとかバラエティ番組とか出てる人達です
きっと皆さんもご存知の方々です
海釣りがしたいとリクエストがあったんです
それも青島で

アテンドするあたしとしては
最高の体験をしていただきたい
間違いなく楽しんで帰ってほしい

ただ私が釣りをしたことないので
友人達に聞いたら
その船を勧められたので予約しました
もちろん友人達は何も悪くありません
肩パンで許そうw

まぁある意味行っといてよかったです
ゲストに迷惑はかけられないので

なんなんでしょうか
仕事に対する矜持とかないんでしょうか

こいつはたくさんのものを
失ってるのがわかってない
失ったのはあたしひとりではないことが

紹介してくれたお客さんの顔に泥を塗り
せっかくのチャンスすら台無しに

普通にしていれば
びっくりするようなゲストが乗船し
うまくいけば評判もあがったはずなのに

自ら全てを投げすてた
あのバインダーのように

あらためて思いました
サービス業は真心です
ひとりひとりのお客さんを大切にすること
仕事とは誠心誠意の積み重ねです
成功にはそれしかないのです

いつだって真心を大切にする
だから哲心は繁盛できてるんですよね
たくさんのお客さんに愛されてるんです
愛です、愛
愛なんだよ

逃した魚はでかかったですね船長!

弁護士からの連絡楽しみにお待ちしてます❤︎


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#与える人は与えられる
#奪う人は奪われる
#蕎麦侍
#最後まで読んでくれてありがとうございます
#乗り越えました
#またひとつ成長できました
#蕎麦侍先生の次回作にご期待ください
#まだまだネタはあるw
#今度は楽しい話
#あたしの人生は事件ばかり
#楽しんでもらえればそれでよし
#人生は自作自演
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