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ロシア・アヴァンギャルド(1)

アヴァンギャルドは、フランス語で前衛という意味だそうです。
ロシア・アヴァンギャルドはロシア革命前後のロシアでの文学、美術、映画、音楽、建築など、あらゆる芸術分野で花を咲かせました。
いろいろなところで、ロシア・アヴァンギャルドについての書籍やウェブサイトがありますから、正統的な評価はそうしたところを見ていただければと思います。

歴史的背景

ここからは、私の主観的な内容となります。1917年のロシア革命を経て、世界初の共産主義国家が誕生しました。その後のことを知る私たちから見ると滑稽ですが、ソ連邦の人々はこれまでの皇帝や貴族などの特権階級を頂点とするヒエラルキーの中で多くの人民はあらゆる自由が制限されていたところ、解放され、大きな期待に満ちていただろうと思います。同様に芸術家もパトロンの要求が優先されつつ創作活動を続けていたところ、その世界から解き放たれ、才能を持つ各分野の芸術家が、それぞれの考えるユートピア=共産主義を自らの作品に具体化していった運動がロシア・アヴァンギャルドではないかと考えます。

マヤコフスキー

国立マヤコフスキー博物館
たぶん、マヤコフスキーの似顔絵
マヤコフスキーの墓石(死後半世紀たってもバラが手向けられている)

ロシア・アヴァンギャルドを代表する作家といえば、詩人のウラジミール・マヤコフスキーですが、作家というよりも芸術運動のけん引役としての面で、また、波乱万丈な人生そのものが物語のようであり、ロシア・アヴァンギャルドの栄枯盛衰を象徴しているように思えます。ロシア革命の戦士であり、様々な芸術分野に作品を残し、自殺により人生を終えています。その後の大粛清時代の幕開け直前の死はその後に様々な憶測を生んでいます。

エイゼンシュテイン監督

エイゼンシュタイン監督の墓石(これもロシア・アヴァンギャルド的)

私自身の印象として、ロシア・アヴァンギャルドといって真っ先に思い浮かぶのは、エイゼンシュテイン監督です。
彼が映画作品の中で用いたモンタージュといわれる映像の短いカットを組み合わせて印象やストーリーを表現する手法は、その後の映画の表現に大きな影響を与えています。
このほかにもエイゼンシュテイン監督の代表作である「戦艦ポチョムキン」の舞台であるウクライナの港町にある階段のシーンは、ハリウッドを含む世界中の映画でオマージュされているなど。現在に至る映画の長い歴史の中でエイゼンシュテイン監督の表現手法は脈々と生き続けています。

このほか、私が関心を持っているのは建築の世界です。これについては、次の機会に。