見出し画像

「誰でもできることだからこそ、感謝しなければいけないよ」――学生支援センターに勤める趙巳寒さんに相愛大学で学んだことを聞いてみた

相愛女子短期大学出身で、今は同大学の学生支援センターに勤める趙巳寒さん。現在は、留学生の生活にまつわるサポートが主な業務内容だそうです。今回インタビューを実施した私たちも中国とベトナムからの留学生です。

苦労したからこそ、やり遂げたときの達成感はとても大きかった

例えば、留学生の奨学金、日本で住居を探すときのアドバイスやお手伝いであったり、普段の生活で困っていることなどの相談にのるのが私の役割です。幅広い留学生のサポートを行っていきたいので、もっと勉強して、英語のレベルを高めていきたいです。最近はベトナムからの留学生も増えているので、ベトナム語も勉強したいなと思っています。お二人もなにか困ったことがあれば、いつでも相談してくださいね。

留学生の心強い味方である趙さん。趙さんが、相愛女子短期大学に進学した決め手は、静かな心地よいキャンパスの環境だったそうです。

在学中は演劇部に入っていました。文化祭のときに相愛大学のホールでお芝居に取り組んだことが一番の思い出です。相愛大学のホールは、フルオーケストラの演奏会で使われるぐらい広く、とても大きなパイプオルガンも備えています。その広い大きなホールで私たちのような小さな演劇を行うのは声が通り難くて、とても苦労しました。苦労したからこそ、やり遂げたときの達成感はとても大きかったです。あと、演劇部は、4年制大学の人たちとも一緒だったので、短大以外の友達もでき、とても楽しかったです。

頭と身体と心で日本の文化を吸収して欲しい

演劇部の活動を通して、仲間と協力する醍醐味を味わった趙さん。在学中、もう一つ印象的だったこととして、仏教の学びを挙げられました。相愛大学の建学の精神は「當相敬愛」という仏教精神です。自分は多くの他者によって生かされていることを知り自分を愛するように他者を敬愛することの尊さを説いたものです。

仏教を学ぶのは初めてだったので、すごく新鮮で心に残っています。私は、建学の精神のように、私が出会う全ての人の考えや想いを尊重したいと思っています。親と子の関係であろうと、先生と学生の関系であろうと、国と国の関係であろうと、お互いの考えや文化を尊重してこそ、よりよい社会につながると信じています。もちろん、自分を省みても、とっても難しいことですが、そんな理想を思い描いています。

他者を尊重する。聞き飽きるほど言われることですが、日々の暮らしのなかで実践することはとても難しいことです。

あっ、印象に残っていることを思い出しました。昔の職場で先輩の仕事を色々と手伝っていたときのことです。その度に丁寧にお礼を言われました。私としては、とっても些細なことだったので、「誰でもできることなのだから、そんなにお礼を言われるほどのことはやっていない」と思っていました。そのことを先輩に伝えると、「誰でもできることだからこそ、感謝しなければいけない」って教えてくれました。その先輩は仏教を信仰していたかどうかはわかりません。ただ、これこそが相愛で学んだ「當相敬愛」の精神だと、本当の意味で理解した瞬間でした。尊重や感謝の心を育み、「當相敬愛」の精神が生活に浸透していかなければいけないなと感じました。

さらに、自分と異なった文化について学ぶことの重要性を熱く語ってくれました。

留学生の皆さんには、日本の文化について、もっと勉強して欲しいと思っています。知識だけでなく、体験することも大切です。頭と身体と心で吸収して欲しい。日本の学生も、留学生と仲良くなって異文化に触れてほしいですね。異文化を理解することで、例え自分と違った考え方であったとしても、その人を尊重することにもつながるはずです。これから日本も含めて、世界各国は、今よりももっと多様な文化の人が集うことになるでしょう。そうしたときに、相愛大学で様々な文化の人たちと交流することは、学生の皆さんが社会に出たときに、きっと役に立つ経験になるはずです。

日本に留学して様々なことを経験し、いまはその経験を活かして後輩の留学生をサポートする趙さんの言葉には、とても説得力がありました。相愛大学の留学生の皆さん、みんなで協力し、時に趙さんをはじめ先輩の力を借りながら、異文化の学びを深めていきましょう。趙さん、心に残るメッセージをありがとうございました!

このマガジンについて

このマガジンは、2020年度相愛大学「宗教社会活動論」を受講する学生が制作したインタビュー記事を掲載したものです。今年は新型コロナウイルス感染拡大の影響もあり、来春卒業予定で就職を希望する大学生の内定率が、前年度と比べて急落していることが話題となっています。そのような厳しい時代の中で、「何のために働くのか」を考え、自身にとっての豊かさを見つめることが重要なのではないかと考えています。そうしたときに「當相敬愛」を建学の精神とする相愛大学の学びや仏教思想にヒントがあるようにも感じます。そこで、相愛大学を卒業された先輩たちに、卒業後の人生に、相愛大学の学びがどのように影響をもたらしているのかについてお話を伺い、相愛大学の学びの豊かさについて広く共有できればと思っています。(担当講師:釋大智|霍野廣由)

インタビュアー 陳艶(人文学部4回生)、TRAN THANH NGOC(人文学部4回生)

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?