イヤホン、外では付けてるだけ無駄では?

最近、電車内や街中、デパートなどあらゆる場所でイヤホンを身につけている光景がよく見られる。これはスマートフォンの普及はもちろん、YouTubeやSpotifyといった動画・音楽のストリーミングサービスが広まったことも一因であると思われる。さらに、Appleから発売されたAirPodsのような製品が登場したことで、外出時にイヤホンを使用する人が増えたと感じられる。

私自身もその一人である。朝の通学時間は、電車の中で音楽を聴きながら過ごすことで気分を上げ、勉強や仕事に向かう。音楽はやる気を促進し、ストレスを軽減する等、メンタルケアにおいても有効な手段だと考えている。

だが、本当にそれで良いのだろうか。

イヤホンを付けると、当たり前だが周囲の音が聞こえにくくなるという問題がある。特にノイズキャンセリング機能を持つ製品では、周りの音がほぼ聞こえなくなるため、近づく車や自転車、緊急時の反応が遅れる可能性がある。

しかし、私が指摘したいのは、もっと別の側面である。

それは、イヤホンを使用することで、周囲の
さまざまな「出会い」を失ってしまう
こと。
例えばこの前、御茶ノ水で電車を乗り換える際、たまたまイヤホンを外した時、駅員さんが、「黄色い電車、閉まりま〜す」と放送していた。その放送には個性があり、どこか可愛らしさもあった。JRでも個性が垣間見える時があるとは思わなかった。JRと言えば、京急と比べて、無個性で淡々と仕事をこなしているイメージがあった。その時私が音楽を聴きっぱなしで乗り換えていたら、この個性には出会えなかっただろう。
このような小さな出会いは、日常に彩りを加えてくれる。

外の世界からの音は、毎時毎秒変わり、常に新しい「出会い」を私達に与えてくれる。これに対して、イヤホンから流れる電子音は、曲をループしても同じ周波数で音を発するだけである。しかし、外の音は同じ場所であっても常に異なる音が聞こえる。外の音は、道具を用いずに多くの出会いを与えてくれる貴重な存在であると私は思う。

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