Web3領域のどんな分野に国内のVCファンドが投資するべきか考えてみました。

こんにちは。UWC ISAK Japanを2020年に卒業し、現在はRotterdam School of Management, Erasmus Universityで国際経営学を学んでいるゴーマン蒼です。

"Web3"という言葉をよく聞くが、意味があまりわからないし、なぜ重要なのかわからないという人は多いと思います。正直、私も最近まで「web3=分散型のインターネット」ということしか知りませんでした。同世代(私は2001年生まれです。)でスタートアップやテック系に興味がない人のほとんどは、web3という言葉だけでなく、ブロックチェーンやnft、仮想通貨のことも全く知りません。そんなweb3ですが、昨年ベンチャー投資額が$17.9B(約2兆円)と2020年の9倍ほどでした。ジャック・ドーシーや(Twitterの共同創業者)やイーロンマスク(Tesla、SpaceXのCEO)のように中には、web3を"Buzzword"と呼び、批判する著名人もいます。確かに、web3の現状はweb3の本質からはまだ遠いが、人やお金がweb3に流れることで、私が30~40代になる頃にはweb3の世界が、現在のweb2の世界(Amazonで当たり前に物を買ったり、テレビを見ずにYouTubeやNetflixを見たり、etc)のように当たり前になるのではないかと思います。

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”ただの大学生”である私が今後伸びると思うweb3の分野をまとめました。

一つ目は、NFTです。NFTは、日本でも昨年バズワードになり、最近では「今さら聞けないNFT」などといった見出しを至るところで目にするようになりました。海外では、Openseaがマーケットの90%以上を占めている状態で、日本では、Coincheck、LINEや楽天もNFTマーケットプレイス事業に参入しています。投資銀行のジェフリーズは、2022/1/18に発表したアナリストノートで、NFTの市場規模を2022年に$350億(約4兆円)以上、2025年に$800億(約9兆1000億円に)と予測している。参照ソース:NFTの市場規模、2025年までに9兆1000億円以上:ジェフリーズ

NFT市場は、CryptoPunkのような高価なデジタルアートだけでなく、ゲームのアイテムやデジタルランド、音楽など様々なものがあります。(NFTランドスケープは、Ole Heine作の下のカオスマップにまとまっています。)

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そんなNFT市場の中で今回着目するのは、クリエイターエコノミーです。NFTは、クリエイターに新たなマネタイズ方法と、よりファンと繋がる機会を提供します。例えば、ビジネス系インフルエンサー/VeynerXの創設者として世界的に有名なGary VaynerchukのNFTコレクションのVeeFriendsは、Garyの手書きの絵のNFTを持つことで、VeeFriendsのコミュニティの一部になれるということに加え、VeeConというNFTホルダーのみが参加できるイベントに招待されます。VeeFriendsは、namelessというNFTを自分のサイトやプラットフォームにインテグレートできるAPIを開発できるサービスを使って作られています。現状はAPIですが、将来的にはこのようなNFT用のShopifyやYappliのようなサービスが日本で開発されて、より多くのクリエイター/個人がNFTプロジェクトを運営するかもしれません。このためには、購入する側にとってもユーザーフレンドリーにしないと、きっとアテンションスパンが低いZ世代のファンは、障壁が高すぎてNFTを購入できないでしょう。

サービスの発達などにより、アーリーアドプターからメインストリームに広まった時には、より多くの人が自分の夢を諦めずに、クリエイターとして生活することが可能になると思います。下のスタタイの記事に書かれているように、NFTにより、ファンと直接繋がり、直接取引をすることで、テイクレートを大幅に小さくしてクリエイターの収益を増やすことが可能になります。NFTによって、Patreonやオンラインサロンのモデルに、ファンが限定コンテンツやコミュニティの一部を"所有する"という価値が加わるようなイメージだと考えています。

二つ目の分野は、DAOです。

DAOとは、「自律分散型組織(Decentralized Autonomous Organization)」の略であり、共通の目的を持って結成された、仮想通貨に関わる人々の集団を指しています。この共通の目的とは、多くの場合、特定の目標や義務に従い投資用の資本を共同出資することですが、必ずしもそうだとは限りません。

引用元:DAO(分散型自律組織)の仕組みや将来性とは|Nansen寄稿

DAOの定義は広く、今年2月にはTechCrunchがこんな記事を出しました。"VC-backed DAO startups are racing to define what DAOs actually are (VCがバックするDAOスタートアップは、DAOを定義するために競走している。)"

海外のVCは現在、DAOのインフラを開発しているDAOスタートアップへの投資だけでなく、DAO自体への投資もしています。AragonSyndicateは、DAOのインフラを開発しているスタートアップですが、a16zが出資しているFWB(Friends With Benefits)はDAOそのものです。これからVCがどんどんDAOに出資していきそうですね。しかしその場合、トークンの所持数と決定権が比例しないようにスマートコントラクトを設計しないと、DAOのD(Decentralised)の部分と矛盾する仕組みになってしまいます。

国内のVCは、日本のDAOに限らず、海外のDAOにも出資し、海外のDAOの日本進出だったり、日本人の優秀な人材をそのDAOに招くことで、Web3の実現に貢献することが可能だと思います。現代の会社という形から、DAOへのシフトが起こった際に、本当にグローバルな組織が生まれるでしょう。その際、国内VCはそのグローバルなDAOのトークンを持つことで、大きなリターンを得ることができるのではないかと思います。しかし、コミュニティから資金調達ができるweb3では、VCが資本意外にどんな価値を提供できるかが今以上に重要になる気がします。

他には、DAOのインフラに投資するVCも増えるはずです。DAOが増えるにつれて、DAOを運用するためのインフラが世界中で増えてくるでしょう。将来、合同会社や株式会社から、会社のような役割を持つDAOにシフトすると予測されています。その際、給与、トークンの配布、人事管理、経費などのインフラが必要になります。私は、DAO用のSaaSのようなイメージだと考えています。実際に、AragonUtopiaといったスタートアップが資金調達をし、このようなインフラの開発を行なっています。グローバルなスケールでもまだ未熟なマーケットですが、上位20のDAOが保有する暗号資産が、2021年の初めから2021年の10月までの間で、$10億(約1110億円)から$60億(約6660億円)以上に増えているということからもわかる通り、DAOは急激に成長しています。参照ソース:国境を越えて存在、爆発的に増えるDAO(自律分散型組織)のための運用システムを構築するUtopia Labs

まとめ

国内VCには、NFTを用いたクリエイターエコノミーを支えるインフラとDAOのインフラとDAO自体という三つの分野への投資をするべきなのではないかと思います。そもそもDeFiに触れず、NFTとDAOに絞る際に参考にした記事がこちらです。

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