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 春分の日だ。最近は四季がなくなって夏と冬だけになったなどとみんな言っているが、その理屈でいけばもうすぐ夏というところか。

 今日は日本海低気圧の急発達で全国的に荒れた天気となったのだが、そんなことを説明口調で書いておきながら自分は新潟までスキーに行っていた。その話でもしよう。

 発端は金曜日だった。週末に京都に行く用事があり18きっぷを入用としていたのだが、あれは5回綴りなので、残り3回を消化する当てを考える必要がある。そこで思いついたのが越後湯沢周辺でスキーをやることだった。板は持っているから、交通費合わせてまあ7000円くらいといったところだ。スキーはバスツアーが安いのでそれと比べるとトントンではあるのだが、バスより早めに入れるのが良い。

 で、思いついたが吉日で土曜日に行く算段だったのだが、金曜の27時くらいに天気予報を見ると月曜に雪予報が出ていた。ここで行く直前特有のやる気の低下が合わさって、べちゃべちゃの春スキーをやるくらいなら水曜に補給された新雪をもぐもぐすれば良いのでは?と考え始め、結局そのまま寝てしまい起きたら日は落ちて18時だったわけである。

 その後、天気は思ったように進まない。高気圧の東進と低気圧の発達が弱く、月曜火曜と晴れ寄りの日が続いた。なんか思ってたのと違う。しかしここで18きっぷを使わないと確実に余らせてしまう。じゃあ観光にしとくか?いや、今日降ってなくとも明日は降って新雪は供給され続けるからコンディションは最悪というほどではないはずだ。…などと数多の言い訳があり、今に至る。

 さて、午前9時の神立スノーリゾート。晴れていた。雪が少ないので圧雪も入れず、雪面は荒れ放題だ。1本滑って既に足が痛い。敗北であった。まあしかし来てしまったからには仕方ない。あまり楽しくない斜面を黙々と滑る。暑い。それも疲れて、しまいには午後雪が降り始めるのを待とうとレストハウスで昼寝する有様であった。

 午後。果たして待望の雪が降り始める。これを待っていたと意気揚々と外に出るが、気付けばそこは吹雪となっていた。着雪して服は凍り、それを払った手袋も凍り始め、滑ると真っ向から吹き付ける氷粒が顔に打ち付ける。視界も悪化してゴーグルも着雪して前が見えない。これがお前の望んでいたものだと言わんばかりに容赦ない雪がプレゼントされた。

 どうしてこんなことに。いやどうしてではない。お前が神立を選んだのは谷地形で午後の風雪の強まりにリフトが耐える可能性が高いと判断したからだろう。予想した上で、ほぼ想定通りになって上でなお敗北したわけであった。そしてその後、風によりリフトも順次運行を停止した。

 これがおそらく今年度の滑り納めとなる記録である。あらゆる判断で敗北した。そもそも、当たりくじは無かったのだ。いや、土曜日に観光するというのがある。それなら今日の敗北は避けられたはずだ。しかし、それだと滑り納めもできない。なら結局全てはずれくじか。悪いのはお前の判断力と、天気予報の精度だ。二つ玉低気圧は難しい。

 そういえば、ひとつだけ光明があった。スキー場にあった常設コブレーンで練習して、なんとなくコブの滑り方を理解できそうになったことだ。足も揃わないしめちゃくちゃではあるのだが、一応コブを出ることなく降りて行けるようになった。これまでスキーは全て独学だったので、やり方が合っているのかは全くわからない。横を見ると上手な人達が整然と降っていくのを見ると、実は根本的に間違えているような気もしてくる。まあしかしこれは進歩だろう。次シーズンに向けて楽しみな要素ではある。経験値リセットされる気しかしないが。

 おそらく真の敗北は今日の24時間を布団で過ごすことなのだろう。敗北であっても最悪ではないと思えるのは結構良い気がする。

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