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【ライブメモ】tacica猪狩翔一『生音と蝋燭』 at 2019.12.24下北沢HALF

概要

『生音と蝋燭』
猪狩翔一(tacica)×こっけ
2019年12月24日(火)@下北沢HALF

「なにか特別なライブがやりたい」という猪狩さんの提案により今回のライブが企画されたという。猪狩さんが家で電気のブレーカーを落とすことになったときに、たまたまロウソクを点けたところ「これいいじゃん!」となり、こっけさんに「これいいよ!」と伝えて(←伝え方が雑w)今回の企画と相成ったという話だった。

セットリスト

01.[新曲](たぶん。今回初) ※太陽も永遠じゃない〜的なやつ
02.未来戦隊SOS(仮)
03.僕ら
04.スープ
05.冒険衝動
06.贅沢な蝋燭(tacica 2011年Sg c/w)
07.ああエキセントリック少年ボウイ(原曲:エキセントリック少年ボウイオールスターズ
08.キャスパー(tacica 2013年Sg c/w)
09.[新曲](台風避難時につくったやつ) ※月と太陽と僕のダンス〜

10.雪が降る町(原曲:ユニコーン) 
※こっけさんとセッション

会場とか服装のメモ

「蝋燭と生音」というタイトルどおり、お客さんにもロウソクを持ってくるようにアナウンスされていた。入場するとバーカウンターにロウソクが並べられ、歌唱スペースもいつもとは異なってフロア中央部にセッティング。それを囲むように客席が設けられていた。最前列はマットを敷いた地べたに座る感じ。ライブもマイクやアンプを使わずまさに「生音」と「生歌」で、ストリートライブのようなシチュエーション。お客さんが持参したロウソクに猪狩さん自らが火を灯していて、いつも以上にアットホームな雰囲気だった。

猪狩さんの服装は、白のロンTに黒のTシャツの重ね着、デニム、ニューバランス、そしてメガネ。いろはすとクラフトボス。いつもの感じ。

楽曲のメモ

これまで弾き語りの一曲目は『バンドワゴン』が定番だったけど、今回はまったくの新曲(たぶん)だった。〈太陽も永遠じゃない〜〉的なフレーズで始まる曲。

『未来戦隊SOS(仮)』は歌詞がところどころ変わっていたように感じて、特にずっと耳に残っていたフレーズ、〈抗って〉→〈従って〉に変わっていた、ような……(不確か)。真逆の意味なのでわあと思った。

『冒険衝動』も聴き慣れてきて、〈冒険衝動にあやかりたい〉が耳に馴染んできた。歌詞もいい感じ。tacicaとしての完成形がいちばん楽しみな楽曲。

MCで「みんなちゃんとロウソクを持ってきてくれてありがとう〜。贅沢なロウソクをありがとう」と言って始まった『贅沢な蝋燭』が最高だった。この企画のためにあるような楽曲。会場に向かう電車の中で期待を胸にひさびさに聴いてみたりしていた。

まさかの「ごっつええ感じ」の楽曲をカバー。無茶苦茶な歌詞でも猪狩さんが歌うと妙に説得力を持ってしまう。オーラをまとってしまう。それでも曲が進むにつれて歌詞の内容もおかしなことになっていったため会場からは笑いが漏れていた。でも、めちゃめちゃ名曲に聞こえてしまったのも事実。つくづく猪狩さんの声は国宝級と思う。

今回は珍しくtacicaの曲を2曲も披露。弾き語りで『キャスパー』。アカペラになるところは痺れた。最高だった。歌い終わった途端、「エキセントリック少年ボウイの後に歌うんじゃなかった、と歌い始めた瞬間に思いました」と言っていて笑った。
そんな中、じっくりと聴き入っていてはたと思い至ったけれど、この↓歌詞って、「死んだらどこに行くの?」というような問いに対する答えなんだろうな。猪狩さんの歌詞はふとした瞬間に理解が追いつくことがよくある。

面倒な事を嫌う誰かが云うには
灰になって 鳥になって 星になった

最後は締め曲としてお馴染みになってきた、台風避難時に作った楽曲。出だしの〈灯台の明かりを消したのは〜〉は憶えた。サビの〈月と太陽と僕のダンス〜〉のボーカルキーがとても心地よい。いわゆるこれがスイートスポットというやつだろうか。

MCのメモ

今回はいつも以上に和やかな雰囲気で、MCもめちゃめちゃおもしろかった。ご子息とのエピソードが毎回秀逸で、ご子息はいろいろなことに興味があるから猪狩さんは「どれかひとつのことに集中した方がそれが強みになると思うよ」と伝えたところ、「じゃあ、とーと(←猪狩さんはそう呼ばれているらしい!)はひとつのことに集中してるの?」と逆に問われて、発泡スチロールくらいのブーメランかと思いきや、わりと硬めのブーメランが返ってきたと嘆いていた。「やってるよ、音楽やってるじゃん!」と言い返したら、「ライブでたくさん歌ってるじゃん」と返されて、「そりゃ何曲も歌うだろ。ライブで一曲しか歌わないなんてないから!」といったやりとりになり、あとはもう昔に自分が親に言われたような「うるさい」とかそんなことを言っていました、ということであった。会場がどっと沸いた。大いに笑った。

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一酸化炭素中毒をすごく心配していて、気づいたらAmazonで一酸化炭素チェッカーをポチっていたということだった。壁に貼り付ける感じで設置されていて「音がなったらその時点で終了です」という一酸化炭素に怯えながら開催されたライブでもあった。たまにピカピカ光っていたので若干ビビった。

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特に印象に残ったMCが、「"それは無理です"とか"それは難しいです"という言葉にこのごろ敏感になっていて、それって誰かの“面倒くさい”が挟まっているだけなんじゃないかなって思ってて。でもこっけは、無理ですじゃなくて「とりあえずやってみましょう」って言ってくれるからそれが凄いところだと思う」と。当のこっけさんが「嬉しい。泣いちゃいそう」と言っていたなか、そのとおりだよなぁあと日々仕事に追われる自分自身を振り返らずにはいられなかった。

こっけさんがMCで一生の思い出に残るような日になったらいいと言っていたけど、ほんとうに特別なライブで、この先もきっと、ずっと忘れない夜になった。

新幹線でおいしいビールが飲みたい!