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辻岡 拓也(元アーチェリー選手)

|Profile

・明治学院大学卒業
・自衛隊体育学校
・スポーツメンタルコーチ

第1章 今の仕事(スポーツとの関わり)

 私は、2018年12月で自衛隊体育学校を退職し、2019年1月から主にメンタルコーチとして活動しています。現在は、メンタルコーチとして様々な選手やチーム・部活のサポートや、自分の競技経験を活かしたアーチェリーの技術指導の他に、企業研修の講師をしたり、学校から依頼を受けてキャリア教育にも携わっています。

第2章 わたしのアスリートキャリア

|高校時代
 私が、アーチェリーを始めたのは、高校1年生のときです。
 中学校では野球部に入ったのですが、膝を痛めて1年生のうちに辞めてしまい、一度スポーツから離れました。
 高校では、入学後にたまたま再会した幼馴染からアーチェリー部に誘われ、そのまま入部することになりました。アーチェリーは自分にあっていたようで、上達するのが早く、県の新人戦で優勝しました。
 私が入学した高校はいわゆる進学校で、2年生の4月に部活を引退して受験勉強に向かうのが当たり前だったのですが、私は同級生の中で唯一3年の夏まで部活を続けインターハイにも出場しました。
 同級生が大学受験の模試に専念する中で、部活と勉強の両立は大変でしたが、指定校推薦で大学に進むことができました。

|大学時代
 高校でアーチェリーに打ち込んだ私ですが、大学では勉強を第一にするつもりで法学部に進みました。とはいえ、高校3年間を費やした競技ですし、たまたま進学した大学にもアーチェリー部があったため、競技を続けました。部に入ってみると、経験者は私だけで、あっという間に即戦力として歓迎されました。チームメイトに技術的なアドバイスをする中で、チームで戦う楽しさを知り、気付けばアーチェリー中心の生活を送っていました。その結果、男子チームは27年ぶりに1部リーグに昇格し、女子チームは初めて王座決定戦に出場することができました。個人でもインカレに出場することができ、やり切った感覚はありました。とはいえ、日本一を争うような成績では無く、実業団チームに入ることは難しい状態でした。そんなとき、恩師から「自衛隊体育学校であれば可能性がある」と言われました。

|自衛隊体育学校
 自衛隊体育学校の話を聞いた数日後に参加した合同説明会に、たまたま陸上自衛隊が参加していたので、自分が大学でアーチェリーをしていることを話したところ、翌日に自衛隊体育学校から電話があり、練習会に参加することになりました。練習会に参加した結果、半年間の訓練を受ければ入校できる可能性があると言われ、ここで私の進路が決まりました。
 半年間の新隊員訓練を経て、無事自衛隊体育学校に入校した私の生活は、アーチェリー漬けでした。自衛隊体育学校に所属する隊員は、オリンピックでメダルを取ることが任務といってもいいような環境で、様々な競技で日本代表クラスが当たり前のようにいました。
 私も、競技に打ち込むことで成績が上がり、2016年と2018年には、全日本実業団アーチェリー選手権大会で優勝することができました。ただ、オリンピックの日本代表になるには、あと一歩足りなかったため、30歳を前にして、競技生活を引退することに決めました。

第3章 わたしのセカンドキャリア(スポーツメンタルコーチ)

 現役を引退すると決めた2018年の夏、お世話になっていたトレーナーの紹介でメンタルコーチの方と出会うキッカケがありました。その縁で、メンタルコーチの養成講座を半年間受講し、2019年から個人事業主として今の仕事をしています。
 フリーランスという立場上、仕事の量や収入に波はありますが、常に自分が面白いと感じ、やりがいをもって仕事ができていることに感謝しています。今後は、周りの人が輝けるようにサポートする形で、スポーツやビジネスの現場で働きたいと考えています。

第4章 学生にメッセージ

 私が学生の皆さんにお伝えしたいのは、その時にしかできないことを大事にしてほしいということです。それは、部活でも、アルバイトでも、勉強でも構いません。何かに熱中したり一生懸命に取り組む経験は、その後の人生で必ず役に立ちます。
 また、人との縁は大事にして下さい。特にスポーツの世界は、色々な人が意外なところで知り合いだったりします。そうした、縁やタイミングも大事にして頂けたらと思います。

キャリア情報

#アーチェリー
・70m先にある122cmの標的面を、弓矢で狙う競技。
・標的面の中心に近いほど点数が高く、最高点は10点で、最低点は1点(標的面を外したら0点)
・選手は、6射1セットを12セット打ち、合計得点で順位を競う(720点満点)
・オリンピックで日本代表選手になるには、670~680点前後が必要
・手元の狙いが1mmズレると、70m先の標的面では数cmのズレになるので、非常に繊細なスポーツ
・オリンピックでは屋外で実施するため風の影響も受ける
・日本で選手登録をしているのは、約1万人
・パラアーチェリーでは、足の指や口を使って、弓矢を射る選手もいる

#自衛隊体育学校
・1961年8月に、陸海空自衛隊の共同機関として、「部隊等における体育指導者の育成」、「オリンピック等国際級選手の育成」、「体育に関する調査研究」を目的に、陸上自衛隊朝霞駐屯地(東京都練馬区)に創設。
・1964年から、全てのオリンピックに選手を輩出し、多くのメダリストが誕生している。
・オリンピック出場を目指す選手は、「特別体育課程学生」という自衛官として、日々のトレーニングに専念することができる。

#メンタルコーチ
・アスリートのメンタルや、チーム内のコミュニケーションの向上をサポートする仕事。
・サポートの際は、選手やチームスタッフにコーチングという対話中心の技法を用いる点で、所定の課題やイメージトレーニングを行う「メンタルトレーナー」とは異なる。
・名称に関する統一的なルールが無いため「メンタルコーチ」「メンタルアドバイザー」「メンタルトレーナー」等、様々な呼ばれ方をしており、それぞれの技法やアプローチも少しずつ異なる。
・スポーツ心理学、マインドフルネス、アンガーマネジメント、NLP等の知識が必要な反面、様々な団体がコーチングスクールや養成講座を運営しているため、どこで何を学ぶかの見極めが重要になる。

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