産婦人科TLHの手順


骨盤内の血管系

子宮周囲の解剖

子宮動脈←内腸骨動脈から分岐
     ・内腸骨動脈はその末梢で側臍靱帯になる
卵巣動脈←腹大動脈から直接分岐
 ※両者は卵管間膜内で吻合

子宮周囲の靱帯組織


小点線:単純子宮全摘術、大点線:広汎子宮全摘術

円靭帯(子宮円索) :子 宮体部から鼠径管へと向かう索状組織
仙骨子宮靭帯:子宮 頸部の尾側から直腸側方を通り仙骨に至る組織
       直腸より尾側で下腹神経が走行
※上二つは視認できる

膀胱子宮靭帯:子宮頸部と膀胱との間の組織で、前層と後層の間を尿管が貫 通
基靭帯(子宮頚横靱帯):子宮頸部側方で骨盤壁に達する組織

固有卵巣索(卵巣固有靭帯):卵巣の頭側側…子宮動静脈と卵巣動静脈の吻合血管んをふくむ。止血に注意!!!
卵巣提索(骨盤漏斗靱帯):卵巣の尾側側…腹膜に付着した卵巣欠陥軍を結合組織が包み込んでいる

骨盤内の間隙


膀胱側腔へ:尿管と側臍靭帯の外側から進入
直腸側腔へ:尿管の外側,臍動脈・内腸骨動脈の内側から進入

人工的に生み出される組織間隙 膀胱側腔と直腸側腔

側臍靱帯(内腸骨動脈の末梢)の分離を足方に進めていくと
外腸骨動静脈内側と骨盤前壁との間に結合織の疎な部分が見てとれる
これが 膀胱側腔への進入口
ここから膀胱の後方に向け、ゆるいカーブを描きつつ結合織を圧排していくと、膀胱側腔が開放される
※側臍靭帯の内側から進入してしまうと,子宮動脈本幹や浅子宮静脈を損傷してしまうリスクあり

直腸側方では , 内腸骨動脈と尿管の間に結合織の疎な部分がある
尿管と広間膜後葉を直腸側に圧排しつつ、疎な部分を深部足方へ開放していくと、直腸側腔が明らかになる

・Latzko スペース:内腸骨血管鞘とそれに続く頸横靱帯後筋膜を本体から剥した腔

TLHの手順

 ・尿管の遊離や子宮動脈の処理は、後腹膜腔の内部で行われるものばかり
  →付属器摘出の有無に関わらず、後腹膜腔は広く展開
②尿管を視認した上で、上部靭帯もしくは骨盤漏斗靭帯を凝固、切断
 ・後腹膜腔を展開する段階で子宮動脈を結紮・切断
③尿管を後腹膜から遊離し、 十分外側に圧排
 ・後腹膜を鉗子で把持し、岡林の直腸側腔(子宮広靱帯後葉からその筋膜を剥離した腔)に相当する部分を展開することで、尿管は後腹膜から遊離される。
④後腹膜を仙骨子宮靭帯に向かって切開していき、仙骨子宮靭帯をエネルギーデバイスで凝固切断
⑤腟管切開部位はコルポトミーカップの溝により容易に同定し、この溝に沿ってDouglas窩腹膜を切開しておくことで子宮の挙上可動域が増える
⑥膀胱剥離
⑦無血管組織を視認しながら傍子宮組織を剥離
⑧コルポトミーカップに沿って腟管を切開し、子宮を摘出
⑨膣断端を単結節縫合で閉鎖し、その後、後腹膜腔を閉鎖

コルポトミーカップは、Vagiパイプや長べらに清潔手袋(絶縁目的)をはめたものでも代用可能


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