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エフェクチュエーション事例⑤:KOMTRAX(コマツ)

【オプション装備を標準にすると何が起きる?】
〜コマツの躍進の起爆剤になった
エフェクチュエーションの実践〜

9月4日(水)は第3回エフェ会。
以下の5つの事例を紹介します。

・ネスカフェ アンバサダープログラム
・マスキングテープ「mt」
・スタディサプリ
・アスクル
・KOMTRAX(コマツ)

最後の事例紹介は、
建設機械などのメーカー「コマツ」の
KOMTRAX(コムトラックス)という
機械の稼働状況把握システム。

元々は機械の盗難防止のための
GPSによる位置把握システムとして開発が始まり、
その後稼働状況や建機の状態を遠隔で把握する
オプションサービスとして販売がスタート。

しかし販売が思うように進まなかったときに、
コマツはこれを無料の標準装備として
全機に装備する大転換をします。

その時の担当者は何を考え、
そしてどんな結果につながったのでしょうか?

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・KOMTRAXとは?
KOMTRAX(コムトラックス)は、コマツが提供する建設機械の遠隔管理システムです。このシステムは、建機に搭載されたGPSやセンサーを通じて、機械の位置情報や稼働状況、メンテナンスの必要性などをリアルタイムで把握できるものです。これにより、ユーザーは建機の効率的な運用管理を行うことができ、盗難防止や故障予防にも役立っています。

・事業開始のきっかけは?
KOMTRAXの開発は、1990年代後半に日本国内で建設機械の盗難が多発したことがきっかけでした。コマツは、盗難された機械を追跡する手段として、GPS技術を活用した遠隔管理システムを開発することを決定しました。当初の目的は盗難防止でしたが、開発を進める中で、稼働状況の把握やメンテナンス管理など、より広範な管理機能を提供できるシステムに進化しました。

・事業成功に繋がる重要なターニングポイントは?
KOMTRAXの事業成功における重要なターニングポイントは、このシステムを有料オプションではなく標準装備として提供する決断を下したことです。開発当初、KOMTRAXはオプションとして提供されましたが、顧客の反応は芳しくなく、普及が進みませんでした。そこで、コマツはKOMTRAXを全ての建機に標準装備し、無償で提供するという戦略に切り替えました。この決断が、KOMTRAXの利用を促進し、建機の管理効率向上と新たな価値提供につながりました。

・その時の担当者の気づきは?
担当者は、KOMTRAXが単なる盗難防止ツールに留まらず、建機の稼働状況の把握やメンテナンス管理など、顧客にとって大きな価値を提供できるシステムであることに気づきました。これにより、KOMTRAXを標準装備にすることで、顧客がその価値を直接体験できるようにし、普及を促進する戦略へとシフトしました。この気づきが、KOMTRAXの成功を支える重要な要素となりました。

・その後のスケールの流れは?
KOMTRAXが標準装備として提供されるようになると、その利便性が広く認識され、建機市場でのコマツの競争力が一気に高まりました。ユーザーは、KOMTRAXを通じて効率的な機械管理を実現でき、結果的にコマツの建機が選ばれる理由の一つとなりました。また、KOMTRAXを通じて得られたデータは、コマツ自身の製品開発やサービス向上にも活用され、全社的な価値創造に貢献しました。さらに、コマツはこの技術をグローバルに展開し、世界中での市場シェア拡大につなげました。

・なぜこの事例がエフェクチュエーション?
この事例がエフェクチュエーションといえるのは、当初の計画や市場の反応に固執せず、行動を通じて学び、戦略を柔軟に適応させたからです。コマツは、KOMTRAXをオプション提供から標準装備に切り替えることで、顧客のニーズに応え、システムの普及を図りました。また、KOMTRAXを単なる盗難防止ツールから、総合的な管理システムとして進化させたことは、手持ちのリソースを活用しつつ、不確実性をチャンスに変えるエフェクチュエーションの原則を体現しています。

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コマツにとって、
コムトラックスの初期の販売不振は
エフェクチュエーションでいうところの
「レモン」だったとおもます。

それを標準装備化・無償化するという決断の裏で
コマツの社内にどのような議論があったのかは
定かではありませんが、
最終的にはKOMTRAXという
「建設機械のIoTプラットフォーム」の仕組みを
他社に先んじて実現し、
ビジネスモデルの進化を成し遂げます。

盗難防止システムの開発から始まり、
ビジネスモデルを刷新する
プラットフォームの実装に至ったプロセスを
エフェ会で一緒に学びませんか?

ご興味のある方、
ぜひご参加ください。

第3回エフェ会
https://snowflake-consulting.net/event/efe-kai-03


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