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1冊から本を卸売り– 楽天ブックスネットワークの挑戦

☝️この記事はDiscordコミュニティ「エフェ会」の投稿の引用です。ご興味がある方は、ぜひ「エフェ会」にご参加ください。



楽天ブックスネットワークは、1冊から本を卸売りするサービスを提供し、異業種の事業者にも書店業界への参入を促している。シニアマネジャーの田口幹人氏は、業界改革を目指し、独自の小口取次サービスを展開している。

小口取次サービス「ホワイエ」の特徴

田口氏が手掛ける「ホワイエ」は、異業種でも少量の本を取り扱いたい事業者向けのサービスだ。従来の書店業界は、新規参入のハードルが高かったが、このサービスにより異業種からの参入が可能になった。建設会社が運営する「ものづくり書店」など、異業種とのコラボレーションが増加している。

独自のビジネスモデル

楽天ブックスネットワークは、注文販売形式を採用し、宅配便を利用することで、大手取次とは異なる仕組みを構築。扱うアイテム数は53万を超え、ECに特化した在庫を活用して急成長を遂げた。現在、取引先は900社に達している。

書店業界の変革期における挑戦

田口氏の実家の書店はバブル崩壊で閉店したが、その悔しさをバネに、彼は書店員から取次業界へ転身。本の流通を改革し、新しい接点を生み出すことで、本と消費者のつながりを再構築しようとしている。

この事例に学ぶエフェクチュエーション

この事例から、楽天ブックスネットワークの田口さんのエフェクチュエーション的な行動がいくつか読み取れます。

  1. 手段(Means)の活用:
    田口さんは元書店員としての経験と知識を活かし、楽天ブックスネットワークの豊富な在庫を手段として、新しいビジネスモデルを創出しています。既存の資源を有効活用することがエフェクチュエーションの特徴の一つです。

  2. 許容可能な損失(Affordable Loss)の考え方:
    書店の新規参入が難しい業界で、小口取引という新しいアプローチを取ることは、ある程度のリスクを伴います。しかし、宅配便を使うなどコストを抑えつつ、許容可能な範囲で新しい取り組みにチャレンジしています。

  3. パートナーシップの重視:
    建設会社やその他の異業種と提携し、本に触れる機会を増やそうとしています。エフェクチュエーションでは、パートナーシップを通じて不確実性に対処し、新しい可能性を生み出すことが重視されます。

  4. 状況への適応(Leveraging Contingencies):
    コンビニへの雑誌配送終了などの環境変化を捉え、小口でのリアルタイム以外の取引ニーズに対応しようとしています。変化を好機ととらえ、柔軟に適応する姿勢がみられます。

  5. コントロール可能な未来の創造:
    「本と消費者がふれあえる接点を増やしたい」という思いのもと、自ら未来を切り拓こうとしています。エフェクチュエーションでは、予測不可能な未来を嘆くのではなく、自らの行動で未来をコントロールしようとする姿勢が重要とされています。

田口さんは、自身の経験と手段を活用しながら、リスクを許容可能な範囲に抑え、パートナーシップを活かして柔軟に環境変化に適応し、新しい価値を生み出そうとしています。これらはまさにエフェクチュエーション的な意思決定や行動の特徴だと言えるでしょう。

キーワード解説

小口取次:少量の本を取り扱う卸売りサービスのこと。従来の大手取次は大量販売が基本だが、小口取引は少量のニーズに応じた新しいモデル。
注文販売:書店側が必要な本を注文する形式で、売れ残りを返品できる大手の委託販売とは異なる。
異業種参入:異業界の企業が書店業界に進出すること。建設会社やホテル、福祉施設など、多様な業界が参入している。

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