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【その手があったか!】困ったときはファンに買ってもらいませんか?

今まで電車やバスの座席シートの生地を作っていた会社が、アパレル商品の販売に力を入れています。全く異なるジャンルへの参入にうまくいった理由は、「従来の取引先についている”ファン”に売る」ことを考えたから。BtoBからBtoCに参入するときに役に立つ考え方を紹介します。


【引用記事】

日本シール、鉄道など座席の布でバッグ 柄や手触り、ファンの心つかむ

https://www.nikkei.com/article/DGKKZO79222410U2A110C2H53A00/


【記事要約】

・鉄道やバスの座席の布「モケット」を使ったペンケースやバッグが人気を集めている。手がけるのは創業100年の老舗織物メーカー、日本シール(大阪市)だ。旧国鉄時代の新幹線や大阪メトロの地下鉄などで使われたシート素材を生かし、イスの柄や手触りを楽しめる。SNS(交流サイト)で話題を呼び、鉄道ファンの心をつかんだ。

・モケットはポリエステルやウールなどの繊維をループ状に織り込んだパイル織物だ。光沢があり丈夫で、手触りがいいことから鉄道やバスなどの座席で使われている。2020年12月に旧国鉄時代の新幹線などのモケットを使ったグッズをアマゾンで販売を始めた。車輌グループ課長代理の竹野林太郎さんは「お気に入りの車両の商品を買う鉄道ファンが多い」と話す。

・鉄道ファンを魅了する最大のポイントは各社特有の手触りの違いが楽しめることだ。素材や毛の長さは座席によって異なっている。例えば「国鉄ブルー」の愛称で親しまれた旧国鉄の新幹線の生地はウールを多く取り入れ、滑らかな触り心地。阪急バスは通常のバス座席と比べ生地の毛が長いため柔らかいという。優れた耐久性も特徴だ。12年間張り替えないことを前提に作られているため破れにくく、車内での火事を防ぐため燃えにくい。数々の耐久試験をクリアした生地を使った丈夫な商品だが、「実際に使わず、記念品として飾る人が多い」と竹野さんは話す。

・グッズ販売に踏み切った理由は新型コロナウイルスの感染長期化だ。交通機関の利用者が減り、各社が新車両の生産を停止したことで座席の受注が激減。特に観光バスで影響が大きく、売り上げは例年の約5割まで落ち込んだ。取引先の銚子電鉄(千葉県銚子市)からグッズ製作の声がかかり、モケットを使用したクッションを開発。銚子電鉄サイトで販売すると好評だったことから、他の取引先とのコラボも考えた。座席の縫製を担う協力工場に依頼し、自社販売に乗り出した。

・1月下旬にはルームシューズの販売も予定する。購入希望者の「実際に触って確かめたい」という声に応えるため、鉄道グッズ専門店での店頭販売も始める。関西の鉄道やバス会社のグッズが中心だったため、今後は関東の企業の商品も積極的に作る方針だ。


【ポイント解説】顧客のファンにターゲティングを変更

・コロナ禍で受注が激減した業界は多くあるだろう。その一つが観光業関係。この企業も、観光業の低迷⇒鉄道やバスの新規車両の生産中止⇒自社が作っている鉄道やバスの座席シート用の生地の受注激減という形で影響を受けた。そこで自社の商品の売り先を、車両を製造する会社ではなく、もっとも川上である鉄道・バス会社の「ファン」に変えてみた。

・鉄道やバスは、ニッチでコアなファンがいるジャンルだ。自分の好きな車両のパーツなどをコレクションする人たちもいる。車両の座席シートで作ったグッズとなれば、多少値段が高くても購入する人はいるだろう。またマニアやコレクターは、必要だから買うのではなく、ただ単純に欲しいから買う。記事の中にも「実際に使わず、記念品として飾る人が多い」とあるので、おそらく1人で何種類も購入する人もいるだろう。

・最近では、BtoBからBtoCへの転換を模索する企業も多い。しかし、その転換は顧客も売り方も何もかもを変えることになるので、簡単なシフトチェンジではない。そんな時に、もともとの取引先が熱烈なファンを持っているのであれば、その人たちに向けて商品開発をするのは、商品と顧客の親和性を高める上で効果的。

・世の中には、自分では想像もつかないオタクやコレクターがいるものだ。デアゴスティーニの商品一覧などを見てみると結構面白い。今BtoBで物作りをしている企業は、オタクにむけたBtoCを検討してみるのも一興かと思う。


【関連リンク】


・日本シール https://www.nipponseal.co.jp

・デアゴスティーニ 商品一覧 https://deagostini.jp/series.php

オタクの種類一覧!さまざまなジャンルのオタク男女24選 https://noel-media.jp/news/3282


【自社のマーケティングに活かすには?】

・BtoB企業は、自社の商品を使用した完成品を「こよなく愛する」ファンやコレクターがいるか、調べてみよう。

・そのファンに向けて、文房具やアパレルグッズなどの身の回り品や、ポスターやオブジェなどのインテリア用品など、何か全く別の商品が作れないか考えてみよう。

・売るときは、「あなたの大好きな◯◯に使われている素材で、こんなもの作っちゃいました」というメッセージを伝えよう。「素晴らしい機能性を持った◯◯です」と伝えても意味はない。ファンやコレクターには機能性ではなく、「自分が大好きなものに使われている素材を使っている」ことが重要だから。



【ご案内】

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