【誰が買うんだ、そんなもの】ミズナラリキュールの事例


たまに立ち寄るバーで、
面白いものを見つけてしまいました。
ミズナラのリキュールです。



ミズナラというのは、樹木の一種で、
何年か前から「シーバスリーガル」という
ウイスキーのメーカーが、
ミズナラで作った樽で仕込んだウイスキーを
売り出して人気を博しました。

そんなミズナラの香りを閉じ込めた
リキュール=甘みのあるお酒が
そのバーには置いてあって、
僕は気になって
「それって、ミズナラのフレイバーを
使いたい時はあるかもしれないけど、
そんなに頻繁には使わないですよね?
しかも、めっちやマニアックな商品だから
結構高いですよね?
それ、よく仕入れましたね。」
と話しかけました。

普通の感覚で言えば、
「ミズナラのリキュール」という時点で
たくさん需要がある訳ではないので、
「こんな商品を作ろう!」と誰かが言っても、
「誰が買うんだよ、そんなもの」と
反対に合いそうな商品です。

ましてや、
小さなボトルで手頃な値段で売るならまだしも、
そこそこのサイズのボトルですから、
お値段も張るので、余計に売れにくい代物です。

しかし、そのバーのバーテンダーさんは
「この会社の社長から
『ミズナラのリキュールを開発してるんだよ』
と言われた時点で、かなり買う気満々でした」
と言っていました。

他社がまだ作っていない商品や、
他社がまだやったことのないマーケティングは、
「それをやって必ずうまくいくの?」
と質問されても、
うまくいくことを証明・説得するのは
とても難しいことが多いです。
前例や、参考となるデータが極めて少ないから。

成功した事例を取り上げて、
「これはこういう理由で成功したんだ」
と後付けで説明するのは意外と簡単で、
その裏にある膨大な試行錯誤のことは
誰も話さないことが多いけど、
斬新なチャレンジが一発目で成功するなんて
滅多にないことだと思います。

だから、正解なんてないように見えるけど、
唯一「正解に限りなく近いもの」があるならば、
それは「あのお客さんは絶対買ってくれる」
と確信できる顧客との繋がりだと思います。

きっと、ミズナラのリキュールを作った社長は、
試作品の段階で
「あのバーのあのバーテンダーさんなら
きっと欲しがるだろう。」
と読んで事前に聞いているだろうし、
案の定そのバーテンダーさんが
「できたら絶対買いますよ」
と答えたからこそ、
「世の中にない商品だけど、必ず一定数は売れる」
と確信できたんだろうなと。

以前、ココナラの創業者さんの講演を
聞くことがあったんですが、
ココナラってもう今はスキルマーケットの
プラットフォームとしては大手ですが、
創業期は全然理解されなかったそうです。

当初のコンセプトは、
「500円からあなたの“得意“を売り買いできます」
というもので、
今では全然違和感を感じませんが、
その当時は投資家から
「スキルを500円で売ったって
全然儲からないですよね?
そんなプラットフォームには参加者が
集まらないんじゃないの?」
と、まったく共感されなかったそうです。

でも、創業者の南さんには
「損得抜きで、自分の得意を活かして
誰かの役に立ちたいという人たちが
一定するいるから、
その人たちは絶対に参加してくれる」
という確信があったそうです。

これは、顧客としっかり繋がっていて
その人たちが欲しいものが分かっているから、
周りの批判に流されずに進むことができた、
ということだと思います。

きっとミズナラリキュールの社長にも
そんな紆余曲折があったんじゃないかなと推察し、
1人感慨に浸っていました。

斬新な事業を始める人に対して、
「それって必ずうまくいくんですか?」
と聞くのは愚問です。
必ずうまくいくとわかっていることなら、
他の誰かだってそれに気づいてやっている。

それよりも、
「それって、必ず買ってくれる人の顔は
しっかり見えているの?」
と聞いた方がいいんじゃないか。

必ず買ってくれる人がいれば、
あとはそこに情報や商品サービスを
届ければいいだけで、
それはいわゆる「マーケティング」の仕事です。

大切なのは、自分の中に
「あの人(たち)なら、
この商品・サービスは必ず買ってくれる」
という確信を持てるかどうか。

たとえ周りに理解されなかったとしても、
そこを信じて続けられる人が、
最後には残っているんですよね。

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