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【AIを使ったら価格を下げるべき?】

最近いろんなところでAI活用セミナーみたいなことをやらせていただいていると、時々こんな質問が来ます。

「AIを使うと今まで提供していたサービスの工数がものすごく減らせるんですが、それに合わせてサービスの価格も下げた方がいいんでしょうか?」

稲盛和夫さんが「値決めは経営」とおっしゃったように、値決めは非常に重要な要素なので、答えはたった一つではないと思いますが、僕は基本的に「AIを使った仕事の価格は下げるべき」という意見に反対です。

というのも、AIなんて所詮道具で、言ってみれば設備投資みたいなものですから、「AIを使って工数削減できたらその分販売価格を下げるべき」なんてのは「製造工場に新しい製造設備を導入して生産スピードが上がったら製品価格を下げるべき」と言ってるのと同じで、確かにそれも一つの戦略だけど、答えはそれ一択ではありません。

もちろん工数=生産コストが下がったので、販売価格を下げる余地は生まれます。

でも、生産コストが下がることと、顧客が受け取る価値は全く別です。

(工数=価値だと考えるのは勤勉な日本人が陥る罠で、海外の高級ブランドは工数ではないところで付加価値をつけて成功しています)

今までと同じ価値を、よりスピーディーに生産できるようになっただけで、顧客が受け取る価値には変化がないはず。

ただし、AIを使うことで顧客が受け取る価値が変わるのであれば、価格も下げた方がいいかもしれません。(たとえば接客サービスなど)

最近コンビニでセルフレジが増えています。人間のスタッフにお会計してもらうのと、セルフレジでお会計するのは、大きな価値の違いを感じるでしょうか?

ほとんどの人がそこに価値の違いを感じないから、有人レジが有料なわけでもないし、セルフレジを使うと割り引かれるわけでもない。

顧客が受け取る価値に差がないから、価格が同じでも許されるわけです。

なので、もしあなたが自分のビジネスにAIを導入したとして、それによって価格を変えるかを迷うとしたら、まずはAIを導入することで顧客への提供価値に変化が生まれるかを考えてみたらいいと思います。

もし大きく違いが生まれないのであれば、AIを導入することでシンプルに付加価値生産性(一定の人員と時間を使ってどれだけの付加価値を生み出せるか)が高まったと考えればいい。

それでも価格を下げるとしたら、顧客のためにより安く販売するためか、競合への価格競争力を高めるためか、どちらかなのではないでしょうか・

AIを入れることの生産性向上は結構劇的なので、値決めに迷う人も出てきそうです。

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