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辿りつくは無感覚~さよならのかけら~

12月の小松未歩さんの曲で考察するテーマは
さよならのかけらに決まりました。

この曲はサビで未来へ走るよって歌っていながら
その次にはなぜ君は行くのひずんだ僕の声って歌っています。
明るいんだか、暗いんだか分かりませんね(笑)

今回は主人公を「僕」として、
さよならと告げられて未来へ進む君に、未練がましく僕は君を探すけどあの子と一緒にいる君を見てしまい…
といったイメージでしょうか、今回の主人公は女々しいです(笑)

でわでわ


    朝起きると部屋の空気がひんやりしていた。
僕はベッドから起き上がるとエアコンとTVをつけた。どうやら今週末は雪が降るらしいと天気予報のお姉さんが言っている。どうりで段々と寒くなってきてるわけだ。ただ、そう感じるのは天気だけのせいではないと確信する。

    昨日送られてきたLINEには何度見ても君からの「もう会えない。」のメッセージが表示されている。普段ジョークなんて言わない君だからこそ、笑えないメッセージだった。
    僕から何度メッセージを送信しても既読はつくことはなく、ブロックされていることに気づくまでにそう時間はかからなかった。
    どうしても君に逢いたい、渡したい物がある。クリスマスプレゼントに欲しいと言っていたピアスをコートのポケットにしまった。また君に逢えた時に渡そうと思って。

    先月付き合ったばかりなのに。こんなにもあっさりと終わるなんて信じられなかった。再び逢うことができたのなら、想いを伝えられたら、復縁できるんじゃないかと信じていた。

    気持ちを引きづったままの週末、町を歩いていると、道路の反対側に君の姿を見つけた。嬉しさの反面、悲しい気持ちもある。それは君がもう他の子と仲良さそうにしているから。
    あの子が新しい人なんだね…。
髪型や服装なんかも変わってしまい、僕が好きだった君は何一つなくなっていた。僕とのお揃いで買ったカバンでさえも違うものになっていた。
    予報通り降り出した雪、あの子と楽しそうにしている君の姿を見るのがつらくて、傘やコートで身を隠すようにその場を立ち去った。

    温まるために立ち寄ったコーヒーショップ。注文を待つ間、窓の外を見ながら、君とあの子との光景を思い浮かべる。
    もしかしたら、君もここに来てくれるのではないかと淡い期待を抱くけど、何時間経っても君が来ることは無かった。
    どう頑張っても戻れないのだと…。

    そうだ!君と一緒にいたあの子と友達になればまた、これからも君に会えるかもしれない。
    寒さのせいで思考が鈍っているのか、最初からおかしくなっているのかもうわからない。ただ、もう一度話したい、君への想いを伝えたいだけなのに…。

    僕の想いはきっと届かない。君との未来を進むはずだったのに。
    寒さのせいか、ポケットにあるピアスを握っても何も感じなくなっていた。もう、心も体も何も感じない。
    ピアスを強く強く握りしめながら、声にならない叫びと共に僕は泣き崩れた。
(終)


    主人公は「僕」。大学生。
「君」は「僕」と別れて「あの子」と交際。
「君」と「僕」は同い年。「あの子」は年上で「僕」との面識はあり。

    別れた理由はきっと「僕」がバイトばかりで「君」に構ってあげられなくて、そのうち「君」が「あの子」の大人な雰囲気に魅了されて心変わりしてしまった。といったところでしょうか。
    LINEで理由もなく一方的に別れを告げるあたりは、「君」は「あの子」と「僕」を天秤にかけ「あの子」を選んだということでしょう。もしかしたら、「君」は二股をかけていたかもしれません。
    「僕」は女々しいので「なぜ君は行くの」「コインで決めるほど簡単なの」「あの子と友達になるわ」と言葉が弱々しく聞こえます。
    ひずんだ僕の声についても1回目(冒頭)、 2回目(1番サビ) 、3回目(ラストサビ)と回を追うごとにひずみ具合が酷くなるイメージです。

   「僕」が最後にとった行動。
「君」へのどうしようもない想い、悲しみ故の行動をイメージしました。女々しいので、捨てずにずっと思い出として取っておくのかもしれません。


    今回は「僕」を主人公にした考察だったので暗いまま終わってしまいましたが、「君」を主人公にするとまた違った考察になるかもしれませんね。

    読んでいただきありがとうございました。