卒業おめでとう、私

卒業式から1週間が経ちました。まったくもって順調ではなかったけれども、あなたはなんとか大学を出ることが出来ました。

覚えていますか？2020年2月25日。数学の試験が上手くいかなかったあなたは、絶望してホテル14階の窓を開けようとしていました。現状から逃げ出すために与えられた唯一の機会を、自分で潰してしまったと理解したからです。
それが誤解だったと知った時に、あなたが最も望んだのは平穏でした。

この四年間、あなたは何者にもならずに過ごしました。優秀であることにも、記録を残すことにも価値を置かず、ただ自分の願いに忠実であり続けました。
求めた「普通の生活」は、完全に手に入ったとはいえないかもしれません。
不必要にもがき苦しみ、人生全てを投げ捨ててしまいそうになったことも沢山あったと思います。

それでも。
多くの良きもの、良き人との関わりはあなたの礎となり、自己を修復する力を与えました。
これからのあなたは、自らが誰かと手を取り合うことも、未来を選び取ることもできると知っています。
そして、これまでの自分が闘ってきた沢山の日々が、決して無駄ではなかったことも。

卒業おめでとう。
開かない窓に泣いていた傷だらけのあなたは、現在もここに座ってnoteを書いています。
それは、あなたが賭けに勝ったという何よりの証左ではないでしょうか？