かわいい私の彼は佐久間くんって言います ☆エピソード0.5☆


「あ。俺、これ好きぃ」
彼と一緒にいると、このフレーズを何度も耳にする。
街中に流れる音楽。お散歩してる犬。お茶屋さんの店先のほうじ茶を煎る香り。

好きな物がたくさんあるんですね。
なんだか嫌味っぽい言い方になってしまった。はっとして彼を見ると
「苦手なものより、好きなものがたくさんある方が毎日楽しいっしょ?」とにっこり笑って返された。

いつか私も、彼の好きに混ぜてもらえるのかな…。ふと思ってしまった。
いやいやいや、最寄駅の駅前広場とかスーパーとか、ちょくちょく出会うようになってそれぞれの目的地までの道すがら、少し話をするようになっただけ。
なんて厚かましい…。勝手に恥ずかしくなって目を合わせられなくなって顔を伏せた。

心の中を見透かすように、すいっと顔を覗き込んで、彼は言った。
「あの、もしよかったらなんだけど、今度、約束して待ち合わせしない?ご飯とか、お茶とか・・・、あ、公園でおやつ、とか」

え?あ、は、はい。ありがとうございます。
「こちらこそ、ありがと。うわぁなんか楽しみだわー。いつにしよっか?どこにしよっか?」

のちにかわいい私の彼になる男の子と、顔見知りから友達にレベルアップした瞬間のお話でした。

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