フジ大奥 松平定信のロスが半端ない話

ついに最終回を迎えてしまった大奥。最初は宮舘涼太くんが出演するから見ようというきっかけだったのに、最終回を迎える頃には脚本の虜になってDVDまで予約してしまった。もちろん主演の小芝風花ちゃんを始めとした主要キャストの演技も素晴らしくて、感想を述べようと思ったら永遠に書けるのだけれど、私はやっぱり推しが演じていた松平定信への思い入れが強い。強すぎて２日経つのにいまだにロスから抜け出せない。だから文章にして消化しようと思います。

⚠️スピンオフと最終回のネタバレでしかないのでご注意ください。個人的解釈もあります。鬼長文です。

最終回、何度も何度も見返してしまうのが倫子殿との最後の対峙のシーン。
田沼を引き摺り下ろして、その後5年もの間老中職を勤めたのに、最後は幼馴染で恋をしていた倫子殿に真正面から罷免を言い渡される。自分の手を汚しまくって、大義のためなら犠牲もやむを得んとその非人道的な行為の数々を正当化してきたのに、全て散ってしまうその瞬間が切なくて。
でもこれこそが、定信にとっての何よりの罰なのだろうと思う。
引導を渡された瞬間、糸が切れたかのように壊れた高笑いを見せる定信。その狂気に満ちた表情は、宮舘くんにしか出せなかっただろう。その表情が好きすぎて何度も見返してしまうのだ。
目をひん剥いて、父の形見の小刀を取り出してよろよろ立ち上がって抜刀して倫子の首に刃先を向ける。そんなことをされても全く動じない倫子のまっすぐな視線は、まさに高潔で気高くて強い人のものだった。

『もし私が…世継ぎに選ばれていたら…もっと違う未来になっていたのでしょうか』

これは定信の最初で最後の弱音だったのだろうか。倫子殿に「そうですね、そうかもしれません」と言って欲しかったのだろうか。
でもそれすらも叶わず、「私の夫は何があろうと、家治公お一人です（ﾆｺｯ」なんて言われちゃって、最初から倫子の心を射止められる未来もなければ、将軍の座を奪還するどころか老中職すらたった5年で罷免になる未来しかなかったなんて、惨めすぎて見返す度に苦しくなってしまう。でもそれこそが定信がみすみす手放してきた本当は大切だったはずのものたちの代償なのだろうなあ。
言葉通り”全てを失った定信”は形見の小刀を捨て、よろよろと立ち上がり、歩くこともままならないその背中だけがラストカットで映るのが何とも考えられているというか。どんな表情をしていたのだろう。どんな感情だったのだろう。と視聴者に考えさせることができるカットだと思った。
クランクアップの衣装から、このシーンが本当に宮舘くんのラストだったのだろうから、全身全霊でお芝居に全てを注ぎ込んだシーンだったのだろう。
個人的にはこのシーンが永久に残るだけでDVDを買う意味があると思っている。

ここからはスピンオフの話。
まず、クレジットの一番最初に「宮舘涼太」の字が流れてくることの尊さが半端ない。すごいよだてさん、誇らしいよだてさん…！！
もうすでに3.4回観てちょっとずつ発見もあって楽しい。

まず、定信が黒幕であると判明した衝撃の6話。お梅がしくじってあっさりと殺されてしまうところで意味深に写った貝の紅。スピンオフが公開される前に放送されたNGシーンのセリフを見て、「まさか、あの紅は定信にもらった、お梅にとっては何よりも大切なものだったのでは」と思ったがまさにそうだった。
自分の命を救ってくれて、生活する場所まで提供してくれたお梅にとってのヒーロー。そりゃ恋しないわけないよなあ。色男だもん。そんなお慕いする相手から土産だと渡されたもの、生涯大事にしちゃうよなあ。だってさ、御台様に会えると思ってウキウキしてる背中を見送ったのに、その先で自分に土産を買ってくれるのだもの、しかも化粧品。「梅にちょうどいい、買って帰ろう＾＾」って思ってくれたってことだもん。浮き足立たないわけがない。罪な男だよ、定信。てかモテる男じゃないか定信。
嬉しそうに紅を塗って、きっとその時も定信を想って。でも最後はその定信にまるで虫けらを見るような目で見下ろされ心臓をひと突きされるのだ。落ちてバラバラになった貝紅を拾おうとする手が切ない。お梅は最期に何を思ったのだろう。
本当は優しい定信を救えなくて悲しかった？お慕いしていた相手に見捨てられて悲しかった？それとも愛する定信のために少しでも力になれたことが嬉しかった？もっと一緒にいたかった？
どれであっても悲しすぎることには違いない。
そしてもっと悲しいのは、そのお梅の本心を定信が知るのは彼女を殺してしまってからだということ。そして彼女が帰りを待っていた父親を通じて知ってしまうということ。あの時ばかりは自分のしてしまったことを後悔したのだろう。でもその罪滅ぼしこそが定信を最終的なところまで壊す要因になってしまった。お梅、やり切れないだろうな。やり切れなさすぎて成仏できないよ。

定信の不遇な過去を、自分の中の欠けている何かに対しての定信の葛藤を知って思わず抱きしめてしまったお梅。推しの抱擁シーン2回目とあってマジかああってなりながらそのシーンを迎えたけど（ちなみに推しのそういうシーンはなんぼあってもええですからね派）、お梅のあの抱擁はただの恋じゃなくて大きな大きな愛から来るものなのだなと。定信の中の大きな闇から彼を救ってあげたくて、彼のこれまでの人生を救ってあげたくて、でも自分にはそれは到底してあげられないことで、それでもそばにいたくて、そんな居ても立っても居られない想いがお梅を突き動かしたのだなと。そんなお梅の大きな愛も気づくことができず、悪に手を染めた定信ほんとダメ。ダメダメ！！ビンタしてやりたい。誰かビンタしてやってよ。
「私にとっては誰よりも心優しいお方ですから。そのお方がいつか愛する人と幸せに笑い合える日が来ますように。」
このセリフを噛み砕けば噛み砕くほど切なくて悲しくて号泣してしまう。だってその愛する人に自分はなれないと分かって幸せを願っているのだから。定信やっぱりボコボコになるまでビンタさせてくれ。

次に将棋盤と駒。本編でも何度か出てきてスピンオフでも出てきたもの。よくよく見れば定信の家にある駒はどれも角が相当丸くなって色も経年でずず黒くなっている。反対に上様のお部屋にある将棋盤は豪華で、駒もどれも角がしっかりしていて木本来の綺麗な色をしている。定信の将棋盤はあそこに古くからあったものと捉えるとまあそれまでなんだけど、私的には『定信の、家治に勝つことの執念と執着』が反映されているのではないかと。何度も何度も何度も何度も打ち続けて、駒がみすぼらしくなるまで打ち続けて。小道具一つでここまで考えられるようになっているのもすごい。

最後に、私がこんなにも引きずっている理由が何となく分かってきて。
一つは、罷免された定信のその後が描かれていないから。あのボロボロの背中の後、彼はどうなったのだろうか。きっと倫子は追い出すだけで打首にはしない（出来ない？）のだろう。だとすれば人生最大の野望も、地位も、倫子も、大切だったはずの人たちも全てを失った定信は果たしてその後の人生をどうしたのだろうか。魂が抜け落ちて浮浪者になったのだろうか。それとも城を出た先で何かを見つけたのだろうか。本当に不思議なのは、一発で死罪相当の罪を数々を重ねてきたのに、どこかで彼の心が救われて小さな小さな幸せを見つけてほしいと思う気持ちがあること。まあ多分宮舘くんが定信を演じているからでしょう。笑

もう一つは、全てを失った定信があの背中の後どんな感情になったかを知り得ないから。思い返せば彼の感情のほとんどが「怒！憎！恨！妬！」で、そのほかの感情がほぼなかった。まあ泣く権利すらないほどヤバい奴ではあるのだけど、もしあの後子どものようにわんわんと声をあげて泣いていたら…そう想像するとちょっと自分の中の定信が供養されるような感じがする。まあこれも宮舘くんが演じていたからでしょう。
要はそれだけただのヤバい奴では終わらせない深みのようなものが宮舘くんの芝居によって出ていたということなのだろう。連ドラ初レギュラーなのに爪痕残しすぎて尊敬なんてもんじゃないわ、すごすぎる。推させてもらってこんなに誇らしいことはない。これからもたくさん推させてください。演技の仕事がたくさん舞い込みますように。でも身体に無理のない範囲で息を抜きながら頑張ってほしい。だてさん大好きだよ。

…どこにも含めなかったので一番最後に書くけど、あのトラウマ必至の思い出トンボ事件。よくよく思えば、視聴者もドン引きなのに間近で見た倫子が最後の最後までその恐ろしさを思い出さなかったってすごい。普通「マジ？キモ…ヤバいなコイツ」ってなる案件やん。倫子にとってそのトラウマ事件が霞むほど、定信に優しくしてもらった思い出の方が多かったのでは？楽しかった思い出があったのでは？だとすれば本当に惜しいよなあ。
そして5年もの間、定信に流産のきっかけを作られたことも家基様を殺されたことも千代姫を殺されたことも奥女中に隠し通して、この先も自分の中で全て背負って墓場まで持っていく覚悟をしている倫子、強すぎる。
だってその悪行が奥女中にバレていたらいくら倫子を慕っていてもお知保は正気でなくなって定信を殺していただろうから。それともそれが叶わない世界だったのか？ならば末恐ろしいけれど…。多分後者はないだろうな。

というわけで、めちゃくちゃ書き殴ってほぼ4000字。私の執念も恐ろしい。笑
でもやっぱり文章にするとスッキリするなあ。
とりあえず宮舘くん、本当にお疲れ様でした。俳優として大きな大きな一歩を歩み出したのだと嬉しい気持ちでいっぱいです。そしてスタッフや演者さん皆さんに愛されイジられる宮舘くんがいてめちゃくちゃ嬉しいです。やっぱり関わった人を虜にするんだね☺️可愛すぎるよ〜〜〜〜！
これからもたくさんの活躍を見守って応援させてください。愛を込めて🌹
大奥、最高！