2019年1月4日配信のレーダー照射記事の訂正とおわび

2019年1月4日(金)に配信した記事「韓国海軍が日本の偵察機に軍事レーダーを照射:どちらの主張に正当性があるか」において、一部記述に当方の事実誤認による一方的な論評があったことが発覚致しました。

ここにその訂正をさせていただくとともに、読者のみなさまにおわび致します。大変申し訳ございませんでした。

以下に、当該記事の事実誤認とされる箇所を挙げながら、ご説明させていただきます。

①「EEZ内ではおとなしく挨拶すべき」←日韓双方とも現場の座標を公表しておらず、EEZ内であったかどうかは不明

当該記事では、日本の防衛省の発表通りレーダー照射事案が発生した現場を「日本の排他的経済水域(EEZ)」であるとの前提で事実関係を確認しておりましたが、そもそも日本、韓国双方ともに現場の座標は公表しておらず日本のEEZ内であったかどうかは断定できません。
現場海域は両国の経済水域や共同海域が隣接するエリアであり、どちらの管轄海域であったかは微妙なところです。

②「日本の海上自衛隊は国際法を守って理性的に対処した」←日本側が持ち出した「国際法」は民間機を対象としており、軍用機とは無関係

先に動画を公開した防衛省(日本)は、偵察時の飛行高度について国際法を遵守しているとの立場を示していました。しかし、このとき日本が基準にした国際法は国際民間航空条約(ICAO)で名前からも分かるとおり民間航空機に定められている飛行高度や距離を規定した条約であり、国際的には「軍隊」と位置づけられる自衛隊の偵察機はこの条約の対象外です。
これは、防衛省の誤用もしくは意図的なすり替えか定かではありませんが、少なくとも日本の偵察機が本当に「威嚇」とみなされるほどの危険な飛行をしていたかどうかについてはこの先の議論を待つほかありません。

③「韓国側の主張は二転三転した」←韓国・国防省は一貫して射撃用レーダーの照射を認めておらず、日本の低空飛行を批判

当該記事では、「韓国側の主張は二転三転した」として韓国側の姿勢を批判しておりましたが、これは一部だけを切り取った不正確な論評です。韓国側の一貫した主張としては、

・(漂流していた北朝鮮の遭難船を)捜索するためにも使用する別の射撃用レーダーは出していたが、敵機を撃ち落とすための射撃用レーダーを日     本の偵察機に照射した事実はない。
・日本の偵察機が低空でわれわれに近づいてきたために、射撃用レーダーに搭載されている光学カメラ(望遠レンズ)を起動しその動きを探った。

となっており、その主張は些かも変わっておりません。(この主張は、防衛省とのやりとりのなかで提示されたものです)

ただ、上記はあくまでも韓国側の主張の一貫性を示したもので、その正当性については現時点で論評できるほどの材料がなく、ここでは差し控えさせていただきます。

以上、当該記事の訂正とさせていただきます。

この問題は、両国の安全保障にかかわるもので、すべての事実関係を追いかけることはきわめて難しいと思われます。
また、両国の敵愾心を刺激するデリケートな問題でもあり、これらを安易に論評することは避けられるべきでした。

今後は事実関係が出そろってから改めて検証していく予定です。
なお当該記事については本稿訂正記事を付した上で配信し、削除は致しません。

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