出て恋や。

コンビニでタコハイプレーンサワーとスルメを買って店を出た。

目の前にすぐ横断歩道。

この信号を渡れば彼の娘が働くスナックが入っているビルがある。

外からみえる階段があって、入り口もみえる。電気が消えている。
仕事が終わって出てきたところに偶然あわないかなぁ。

深夜で車も来ないから赤信号でも渡りたいところだが、彼の娘がお店から出てくるんじゃないかと信号が青になるのを待つ。



引っ越してきて1年。

であいは突然だった。
スナックだけども。

先月、とある休みの日。
何もせず夜になった。
牛乳を買いにコンビニに出かけた。

いつも通る道の途中の雑居ビルにスナックやガールズバーが入っているのは知っていた。

牛乳を買い、今日何もしてないなぁ、と思いスナックの扉を開けてみた。

テーブル席が3つとカウンターがあり、テーブル席は満員だった。

いらっしゃーいと、今思えばちいまま。

あ、無理だったら大丈夫です。僕。

大丈夫、大丈夫。カウンターにどうぞ。

ありがとうございます。
牛乳を持っていたのでできれば帰りたかった。1日中、何もしていないけどスナックの扉を開けた、という行動をした事だけ残せればよかった。別班としての任務だ。

カウンターは僕1人。
誰も座っていない隣の椅子に牛乳を隠すように置いた。別班とバレないように。

すぐに女の子がおしぼりを持ってきた。

初めまして?

日曜劇場VIVANTが終わりロスだった僕は半沢直樹をみて、その後下町ロケットをみた後だった。

下町ロケットの佃製作所の社長、阿部寛の娘役は帝国重工の佃りな、は土屋太鳳だった。

初めましてじゃあない。気がした。
なんでも、おしぼりを持ってきたその人は土屋太鳳にそっくりだった。

それからというもの、何度かスナックを訪ねた。

佃さんが居る時もあれば居ない時もあった。
まだ、名前がわからない。

毎日は通えないので今日みたいにコンビニでお酒とつまみを買って帰って飲む。

飲み終えるともう一度コンビニに買いに行く。

そして信号を待つ。
いつかあえるかなぁ。

彼がいて、文字通り彼の娘、なのか。
昼はどんな仕事をしているのか。
何曜日に出勤しているのか。

これは好きってやつなのか。



初めてあった日に買っていた牛乳は一度だけ飲んで賞味期限が来てしまいました。
その日は僕の誕生日でした。

VIVANTみたいに伏線回収されるのかなぁ。


ラジオネーム ボミットメイド シナデクロ(恋愛別班)

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