白黒つかないことばかり

ある方の投稿した写真がずっと気になっている。
碁笥が重なって置いてある。
あれって重なるものだったっけ?
ここ数日私の頭の4/3以上はこの問題で占められている。

蓋はでこぼこと地模様があるのに対し、ふっくりとした胴は南北に南瓜のような筋が入り、艶々している。団栗みたいに。底が丸く凹んでいるのだろうか。下の蓋を外した状態で重ねたのだろうか。盤は脚は無いが厚く、年季が入った様子が窺える。

祖父母の家にも碁盤があった。脚付き盤で、子供の頃は重くて持ち上げられなかった。艶消しであっさり堂々とした碁笥二つに、それぞれ白黒の碁石が詰まっていた。我々におはじき、時には撒菱として酷使された碁石は、特に白石に多数の欠けがあり、今思うと悪いことをしたなあとも思うけれども、いい遊び道具だったのは確かだ。
五目並べを教わったけど全く勝てなくて不貞腐れたこと。蓋を逆さにして適当に碁石を入れ、回すとゆらゆら独楽のように回って愉快だったこと。家族に誰か打てる人はいたのだろうか。碁を教わった記憶は無い。

オセロを覚え、碁盤でもできるのでは無いかと白石と黒石を重ねる練習をしていたのを思い出す。両面がつるりと凸で硬い碁石は重ねるのが難しい。きっと早々に諦めたはずだけれど、記憶にはその悪戦苦闘が割とはっきり残っている。
碁石で思い出すのは割とそんな愉快な賽の河原ばかり。

オセロは学生時代によく遊んだ。一人オセロもよくした。制服のポケットに入るくらい小さな折り畳みのマグネット盤を持ち歩いた。昼休みには隣のクラスの強い人を誘って図書室の人気がない書架の間に座り込み、チャイムが鳴るまで打った。完全に負け越していたが、負けず嫌いを装って誘えば何度でも打ってくれた、あの時間はちょっとした淡い青春だったのかもしれない。

そう、オセロの駒は円筒形で大概重ねて仕舞う仕様になっているのに、碁石はレンズ型で、白黒だし丸いし将棋の駒より似ているけれど、結構一筋縄じゃいかない関係の気がするな。で、あの碁笥はどうやって重なっているのでしょう。話は振り出しに戻るのだった。

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