ハリセンボンの雨

眠りの端を掴むための擬似共感覚
耳鳴りの断面の質感を蝸牛の感覚毛で探る内に意識が遠ざかる
噴水の水が連なる水流から不連続な水滴になるみたいに
普段聞こえる側面だけでなく、音の断端に触覚を差し入れ構造を確かめる
これを積分して音を再現することは可能だろうか
「耳鳴りって耳を近づけると他の人に聴こえるのとそうじゃないのがある」って昔誰かに言われて信じてたな。
自分の耳鳴りは金属質な轟音で、イメージは無数の針が降り続ける音。なので微細なワイヤロープみたいな断面をしている、はず。

どしゃ降りの針の中で外の音を拾って聞いている、物心ついてからいつも、きっとこれからも。

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