6Bダイヤモンド

鉛筆の芯を、それも芯が柔らかいほど炭素の割合が多いであろう、と6Bを選んで、集めてそれを土に埋める。ひなたを選んで。
鉛筆の芯を舐めると鉛が体に毒だと古い本で読んだことがあった。
鉛を含むガラスは屈折率が高く、きらきらしていると読んだこともあった。
故に三段論法だ、而るに、鉛筆の芯に含まれる炭素がダイヤモンドとなるとき、鉛は輝きを増す手助けをするだろうと。
途方もない圧力と熱を加えられ続けると炭素はダイヤモンドになるのだそうだ。
日射しの中、繰り返し踏めばちょっとくらい変化が生じるんじゃないかというスーパー楽観的な淡い期待で足踏みを繰り返し、そろそろ掘り出そうと思ったけれど、土に混じった鉛筆の芯は見つけることはできなかった。

その後、鉛筆の芯に鉛は使われなくなったそうだ、危ないからね、と脳内アップデートしてそのまま生きてきた。
そもそも主成分は黒鉛。最初から鉛じゃない。そんな黒船みたいな知識を得たのは最近。

読みかじった知識を歪につなぎ合わせて仮説を立て、夢を見る。
現実の世界に一人、ばぐったVRを被せて生きているみたいだ。
おおセルマ我が友よ。眼鏡重いよね。

ずっとそんな感じだし、自他共に不都合が多いが、軋轢を生じやすい場はなるべく避けるし
折り合いをつけることも稀にはできる様になってきた。
大抵はできていない。

だから、琥珀を作ろうとした人がいたと知って、宇宙には地球以外にも生命を有する星があるのだと確証を得たときの様なうれしさがあった。
ハロー!内田先生、聞こえますか。
松脂も私、踏んだことあります。

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