見出し画像

【ミリアニ】『オレンジノキオク』はミリオンライブ!の特異点だ……という話

  アニメ『THE IDOLM@STER MILLION LIVE!』(以下:ミリアニ)の劇中ユニットである「MILLION STARS Team 3rd」(メンバー:田中琴葉・所恵美・大神環・七尾百合子・豊川風花)が歌う「オレンジノキオク」。
 「今までの思い出や閉じていく幕を落ちていく夕陽になぞらえて、記憶として広がる星々を眺める」といった曲調で、他のミリアニで作られた曲とは違ってかなり落ち着いた、叙情的な意味が強いように思う。

 こないだ聞いていて思ったことなのだが、この曲には他の楽曲とは違った強い文脈が、それもミリオンライブ!というものの特異点シンギュラリティ」の時期に起きた様々な要素が内包されているのではないか。

オレンジノキオクいつまでも(消えることはないから)
そっと胸にしまって(そしてまた歩き出す)
変わらない日常Daysも(全部)
寂しさも哀しみも 滲んで宝物になる

『オレンジノキオク』Team3rd

 この曲は「今までの思い出や閉じていく幕を落ちていく夕陽になぞらえて、記憶として広がる星々を眺める」曲だと言ったが、それでは「今までの思い出」「記憶として広がる星々」とはなんなのだろうか。

 ここから先はミリアニ内の世界線に沿った解釈ではなく、ミリオンライブ!というものを全体として俯瞰した、メタ的な解釈になってしまうが、これらの「今までの思い出」とは、GREE版「アイドルマスターミリオンライブ!」、もっと言うと2017年6月29日以前(ミリシタ開始前)の5年間で積み重ねてきたミリオンライブの要素(楽曲、漫画、ライブイベント他の全て)のことでなのではないかと思う。

 そう考える理由はいくつかあるが、この時期、周年ライブでいうと「4thライブ TH@NK YOU for SMILE!!」の時期と被るものがあるのを知っているだろうか。

 最初に言った通り、メンバーは田中琴葉・所恵美・大神環・七尾百合子・豊川風花である。

「4thライブ」とセンターである「田中琴葉」というワードで何か想像されることがあるのではないか。

 声優の種田梨沙が、病気療養のため活動休止することを9月1日、所属事務所の公式サイトで発表した。
 サイトに公開されたメッセージで「以前から治療を続けておりましたが、回復の兆しが見えないため治療に専念する事と致しました」と報告。「ファンの皆様、関係者の皆様におかれましては、多大なるご心配とご迷惑をお掛け致します事を心よりお詫び申し上げます」と謝罪した。

人気声優・種田梨沙、病気療養で活動休止「回復の兆しが見えず治療に専念」 https://www.oricon.co.jp/news/2077716/full/

■イベント情報
2017年3月12日 (日)開催予定、
THE IDOLM@STER MILLION LIVE! 4thLIVE TH@NK YOU for SMILE!! DAY3 Starlight Theaterにつきまして
種田さんの体調面等を考慮し、ご出演を見送りとさせていただくことになりました。

【ミリオンライブ!】田中琴葉役・種田梨沙さんに関するお知らせ
https://idolmaster.jp/blog/?p=22702


 2016年のことだが、田中琴葉役の種田梨沙さんが休業になり、上にもある通り4thライブは出演見合わせ、ミリシタのサービスイン後もしばらく「合流が遅れている」といった形で実装されることはなかった。

(復帰が2017/8/4(リンク)、ミリシタのサービス開始が2017/6/29、琴葉の"合流"が 2018年2月8日(リンク))
 

旅路は 果てしない 夢路に 終わりはない
君と UNION!!
ひとりじゃ 届かない ひとりも 手放さない
行こう We are all MILLION!! 

『UNION!!』765 MILLION ALL STARS

そして、そのようなことがあった後のミリシタ1stイベント、「BRAND★NEW★PERFORM@NCE!!!」で実装された、一周年記念楽曲の「UNION!」は「52人みんなで『ミリオンライブ!』」という強い決意を歌った曲であり、ミリアニがまさにそうだと思うのだが、6つあるブランドの中でも「箱推し」の傾向が強くなっていった、まさにミリオンライブの「特異点」といってもいい出来事、時期だと私は感じる。

 さて、ここまでミリオンライブ!の「特異点」とは
・4thのタイミングでのグリマスの終了とミリシタの開始
・種田梨沙さんの休業による田中琴葉の合流の遅れと、"UNION!!"という楽曲の意味・それが与えたミリオンライブ!というブランドの考えへの影響

である、と話してきた。
 話を本題に戻して、この「特異点」と『オレンジノキオク』という楽曲がどう関わってくるのだろうか。

 そのことは、ミリアニ内での楽曲を披露するタイミングに一番よく表れている。

 Team3rd自体の初登場はミリアニ7話『ドキッ! 真夏の海のデビューバトル!』であるものの、楽曲の披露自体は12話『新しい未来へ』である。

【ミリアニ】第12話あらすじ&場面写真を公開! Blu-ray第2巻のジャケットイラスト&特装版三方背ケースの描き下ろしイラストも公開!https://idolmaster-official.jp/news/01_10367 より

 11話からの流れで、新しくMILLIONSTARESの拠点となる劇場のこけら落とし公演の様子を描いた回であり、先述した琴葉は11話において、一番最初の挨拶を任されている。

 前々から、「劇場のこけら落し公演の一番最初の挨拶を(シアターデイズの開始時にはいなかった)琴葉がする」というのは「"合流"の遅れ」を意識してのことではないかと考えていたが、8th以外の他チームが他のタイミングで楽曲を披露しているのに対して、オレンジノキオクの初披露がこのタイミングなのもまた、「こけら落し公演だから」なのだろう。

 『オレンジノキオク』の歌詞は 「今までの思い出や閉じていく幕を落ちていく夕陽になぞらえて、記憶として広がる星々を眺める」曲だと、本記事の冒頭で言った。

 『オレンジノキオク』という楽曲は、「今までの思い出や閉じていく幕(=GERR時代の大量の資産)を落ちていく夕日になぞらえて、記憶として広がる星々を(「特異点」から)眺める。」という行為を通して先に進み、次にバトンを繋いでいこうという意味を内包している。

 これから『オレンジノキオク』を聞く人は、ぜひ「GREEとミリシタの間の時期にあった出来事」という文脈を理解して、楽曲を通してミリオンライブ!というものが持つものが持つ「歴史」というものを感じて欲しい。

ミリシタ内イベントコミュ『焦れるハートにをつけて』第1話より
余談だが、このコミュはミリシタで琴葉が合流してから一番最初のイベントであり、このコミュで歌っているユニットの灼熱少女バーニングガールは"不思議と"Team3rdとメンバーが3/5(田中琴葉・所恵美・大神環・高坂海美・宮尾美也)一致している。


 ある意味でMILLIONSTARS Team3rdはミリオンライブという歴史を良くも悪くも象徴しているユニットと言えるだろうし、『オレンジノキオク』はミリオンライブの歴史において一番重要な転換期を歌っている。
 それが良いものであれ悪いものであれ、その事実がミリオンライブの今に繋がってきている、ということは忘れてはいけない。

どこまでも夢は広がって(ときめきは終わらない)
刻んでいくダイアリー(思い出はとめどなく)
一つのエピローグが(次の)プロローグ呼び覚ます
小さなそのピリオドから虹の橋が伸びてく

『オレンジノキオク』Team3rd

 この歌詞に田中琴葉という"二人の"アイドルが歩んできた5年や6年、10年、11年、そしてその先の長い歴史が書かれているし、他の四人の5年、6年、10年、11年、その先も、と。
 ミリアニの文脈にそぐわないかもしれないが、かなり叙情的な、そして無限に広まる意味合いを持った深い歌だ。

 まるでオレンジ色に広まる夕焼けのように、その歌詞が持つ意味はどこまでも広い。



この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?