SNS相談「SNSカウンセリング・ケースブック 出版記念講演会」レクチャー動画と資料
「SNSカウンセリング・ケースブック」の出版記念イベント。
編著者の4名がSNSカウンセリングの実際について分かりやすく解説します。
このサイトでは、京都大学の杉原保史教授の「SNSカウンセリングの現在」が文字起こしされていますが、下記の動画では、すべてを見ることができます。
お問い合わせ、導入の相談、研修の依頼は
〒107-0062 東京都港区南青山2-2-15 ウィン青山942
一般財団法人 全国SNSカウンセリング協議会
電話 03-6403-9160 まで
▪ご挨拶
皆さんの中には、SNS相談員等をされていて、SNSカウンセリングをよくご存知の方もいらっしゃるかと思います。
また、カウンセラーとして実践しているけれども、SNS相談には触れたことがないという方もいらっしゃるかもしれませんし、
全然どんなものかわからないけどちょっと好奇心があって立ち寄られた…という方もいらっしゃるかもしれません。
なので、最初にSNSカウンセリングの基礎的なことをざっくり15分程度であの振り返りたいと思います。
▪SNSの普及と活用
SNS…LINEもそうですけれどもTwitterとかInstagramとかFacebook Messengerと色々あります。
SNSがニュースで話題になったりするのは、最近だとやっぱり誘拐事件ですよね。
思春期・青年期の若い女性の家での事件だったり、誘拐だったり、あるいは犯罪へ巻き込まれるということが結構あります。
SNSいじめという言葉もあったりするように、大人世代からするとSNSは特に若い世代に対して有害なものがあるんじゃないかという捉え方っていうのもかなりあると思いますし、実際大きな問題だと認識しているんです。
けれども、若い人達を中心に、まあ今では若い人に限らないんですけれども、特に若い世代では主なコミュニケーションツールになっていますので、
このことを受け止めて、これを単に悪いものではなくて、その中で何か良いことができないかというふうなことでSNSカウンセリングが始まりました。
▪心理支援、遠隔心理支援(テレサイコロジー)
最初に今は、急速に、対面での普通の心理支援っていうのができなくなりました。
完全できなくなったわけではなくてやってるところもあるかと思いますけど、それでも密になるということで、あの来られないとか、来るのが怖いという人も増えたので、遠隔心理支援…テレサイコロジーと呼ばれますけれども、ZoomとかSkypeだとか、様々なICTを使って遠隔で支援を行うというのが、今年の3月くらいから急速に広がったということがあります。
SNS相談、SNSカウンセリングもこのテレサイコロジーも一種でそこに含まれるものなんですけれども、すごく広がったとはいえこのテレサイコロジーの持っているポテンシャルというか、テレサイコロジーに対する理解というのが心理支援者の間にちゃんと適切に理解が深まっているかというと必ずしもそうじゃない現実があると思うんですね。
ただ対面ができないので仕方がないから遠隔でやっているっていう風になっているのが多くの場合じゃないかなと思います。
で、僕としては SNS カウンセリングも含めて遠隔心理支援テレサイコロジーのまあポジティブな面ですよね…良い面をよく理解した上で積極的に取り組んでくれる支援者が増えるといいなというふうに考えています。
▪「ひとりで悩まないで@長野」の取り組み
SNSカウンセリングは2017年に始まったんですね。それ以前にもなかったわけではなく、非常に個人的には小さい規模でなされていたところはあるかと思いますけれども、現在のような広がりを見せ始めた一番最初のきっかけは2017年で、2017年の9月10日から9月23日に「ひとりで悩まないで@長野」という長野県の中高生向けのSNSカウンセリング、SNS相談の授業をやったというのがあります。
ちょうど2年3年前の今頃ですよね、あの9月23日までで2週間やりましたから本日9月21日ですので、あの後二日でなんとか無事に追われるぞっていう風にも思っていたことのが思い出されます。
その時にはその当時2017年の「ひとりで悩まないで@長野」をやった時にはLINEでカウンセリングなんか出来るのかなっていうことが問いでしたよね。
この問いに取り組んだというところで、あの非常に心もとないあの雲を掴むようなあの感じの中で手探りであったというところです。
実際やってみると非常にたくさんの相談が来ましたし、それなりの手応え感もあったということでそこから急速に広がりました。
現在2020年になってLINEでカウンセリングができるのだろうかという問いは、もう過去の問いになったと思うんですね。
現在はLINEを活用することでどんな新しい効果的な心理支援が可能になるだろうかというふうに、もっとトータルにクリエイティブに心理支援を考える上で、このLINEあるいはSNSをどんな風に活用できるかという問いにもう既に取り組める状況になっているというふうに思います。
▪遠隔心理支援の課題 (電話からSNSへ)
そもそも2017年に通してLINEで相談しようとしなければいけないという問題意識が発生したかということなんですけれども、電話というツールがですね、だんだんと用いられにくくなっているというんですかね。
特に若者の電話離れということが、認識されるように既になっていました。
これは電話相談のデータですけれども、たまたまロングスパンの経年的なデータが得られた「横浜いのちの電話」の統計では、30歳未満の相談は1982年の時点では45%あったわけですね。それが2016年には6.6%まで落ち込んでいます。
「日本いのちの電話連盟」に加盟する全国49の団体に関しても、2017年に寄せられた電話のうちで30歳未満の相談は、前回の12%という風にあの特に若い年代層で電話で相談するっていうことが少なくなっているということがあったわけですね。
なので、最初SNSカウンセリングは若年者のためにフィットした相談のサービスという風なコンセプトでスタートしました。
電話ではなく、SNSということですね。やってみたらすごくたくさん来たということなんですね。
電話相談との比較でこれは平成30年度(2018年)のデータですけれども、SNS相談は電話の26倍の相談が来たということですね。こういうふうに実際にたくさんアクセスがあるということがあります
▪SNS相談の広がり
それから、他にも色んなところでSNSあるいはLINEの相談っていうのが広がっていってまして、色んなところでこうそういう形でやってみる、これまで以上にたくさんの相談あるいはこれまでとはちょっと違う層からの相談
特に若い層からの相談が来るということが色んなところで起きました。
例えばですけれどもこれはLGBTなど性的少数者の若者のためのLINE相談をしたところ、電話での相談では9割が40代から60代で相談件数は5年で183件だった。
また、ある団体がLINE相談を行うと、年代がまず10代から20代が9割になったというふうに、若い層の相談が増えたということと半年で147件の相談があった。
電話の場合5年間で183件だったのが、半年で電話の5年分に迫るような相談がありました。
それから、こちらはですね「妊娠・出産悩みほっとライン」というのを行政で行った相談ですけれども、妊娠や月経のLINE相談っていうのをやると2ヶ月で171件の相談があった。
これは従来の電話の3年分の件数に当たるというふうに、2ヶ月で3年分ですね。
そういうふうにたくさんの相談が来るということであのとにかくアクセスがし易いという強みがあるということも分かりました。
▪SNS相談のメリット、デメリット
今のようなことで、これまでの経験まとめますと、SNS相談にはこういうメリットがあるんじゃないかということで、その1番はアクセスのしやすさですね。
物理的障壁の除去なんですけれども、先ほどの「妊娠・出産悩みほっとライン」なんて、特に妊娠している女性あるいはもしかすると小さいお子さんがいて二人目だったり三人目だったりということもありますよね。
そうするとやはり出かけて行って相談するというのは非常にしんどいわけですけれども、そういう物理的障壁が除去されるのでアクセスしやすい。
・利便性
それから、利便性ですね。手軽に簡単にできる、手間がかからないということで能動的障壁の除去ですね。
それも結局アクセスのしやすさに繋がっていくわけわけですけれどもそれもあります。
・自己開示のしやすさ
心理的障壁の除去ということで文字だけなので、自分の声も姿も晒さないでいいということもあって、なかなか人に言えないような話ができやすくなる。
先ほどの場合ですとLGBTの相談なんていうのは、我々がやっているSNS相談でも時々あるわけですよね。
「これまでどこでも相談できなかった」「初めて自分の悩みを打ち明けることができました」
というような話も聞くことがあります。
そのように、SNSの相談は自己開示がしやすいということも抑制解除と言われたりしますけれどもそれもあります。
それから生活の中で相談できる…ちょっと古いドラマですけれども、刑事もので織田裕二が「事件は会議室で起きてるんじゃない現場で起きてんだ」っていう、かっこいいセリフがありましたですけれども、クライアントとというか相談者は色んな問題を抱えている。
それはやはり生活の中でまさに問題が起きているホットな時ですね、そういう時間にあるいはその直後に相談ができる。
これは必ずしもメリットとは限らない、デメリットの面もあるかもしれませんけれども、ある意味でメリットになりうる側目ですね。
生活の中で相談できるんですけれども、生活の中だからこそ、そこで相談していると「何を相談してるんだ?」って家族に知られるみたいなことが起こりえます。
けれども、SNSの場合は電話のように声を出さないで出来るので周囲に気づかれずに相談しやすいというとことがあります。
・文字に残る
それから、文字も残るので読み返して考えたり、他の人に見せながら相談したり、そういう生活の中でのリソースとして
残っている文字が活用できるということも非常に大きな特徴です。
また、写真やファイルのやり取りができることとか、通信がすごく安定しており災害時でも最もつながりやすいということも言われています。
・匿名性
それから他には匿名ですけれども同じ端末からの相談は即座に履歴がわかるので継続性をもった相談ができるということですね。
他の相談員と協力して話し合いながら進められる。また、ネット上の情報で「ここにこういう相談窓口がありますよ」とリンクを送ったりできる。
それからともだち登録とかいう形で登録されている人には、大量の人に情報提供ができる。
それから個別にもできまして、アウトリーチ的に大量の人に一斉送信もできる。
それから、すべてのやりとりが残る。これも大きな必ずしもメリットじゃない、ログが残ることはリスクだという見方もありますけれども
でも相談の中身というのが全部共有できるというのはすごく大きなメリットにもなりえます。
・非言語コミュニケーション
デメリットとしては得られる情報量が少ないとか、非言語的なコミュニケーションができにくいとか、時間がかかるとか、
相談員がどんな人なのかは見えにくいとか、
言語能力が低い人の場合、テキストの文字だけでは相談が深まりにくいということはあると思います
それから対面の相談よりも冷やかし・作話など目的がよく分からないもの、散漫な中途離脱とかそういうようなふうになることが多いのは事実ですね。
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