ガソリンスタンドにて

もう何年も前のことですが。
出先で燃料切れ間近になり、知らない街のセルフスタンドで給油をした。

キャップを開けてノズルを挿し込む。トリガーを引く。
給油が始まる…はずだったが、すぐにストップしてしまった。
暑い日はよくあることだ。そう思い、またトリガーを引いた。
またすぐにストップだ。やれやれ、またか。
そう思い、またトリガーを(以下延々

見かねた店主らしきおじさんが声をかけてきた。

「それ、ガイシャだろ?ガイシャはパイプ(タンクまでつながる管)が細いから、空気が抜けにくいんだよな。奥まで挿し込まないで、ほんとちょっと入ってるだけでいいからそれでやってみ。」
と手本を見せてくれた。
手指で例えるなら、第一関節だけをパイプにひっかけるくらいの感じだ。
「え?こんなんで溢れ出てきたりしないか?」
そう思いながらおそるおそるトリガーを引いた。
ドボドボとガソリンが飲み込まれてゆく。
さすがにこの入れ方でのオートストップは信用ならないので、残量計の数字から見てこの辺りまで入るだろうというところでやめておいた。

なるほど、ガイシャは管が細いのか。
あれ以来、すぐにストップしてしまう機械に当たった時は、例の方法で給油するようにしている。

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