見出し画像

旅のきっかけのアイスクリーム

アイス食べに埼玉から岩手に行った(一行でわかる粗筋)

ということではじめての一人宿泊旅行に行ったそのきっかけの話です。今思うと、最初の旅のきっかけにしてはあまりにも軽いノリで行ったもんだなと思います。

ソフトクリームを食べるために、埼玉から岩手へ。新幹線乗るお金なんて無いので、青春18きっぷを使った在来線の普通列車で。埼玉発では営業時間内には着けないので、途中福島県の祖父母宅にお世話になって。祖父母宅2泊、外1泊。この計画で遥か遠く、岩手まではるばると。これがこの旅でした。当然普通列車なのでリクライニングするような上等な席でもなく、ときにボックス席で、ときにロングシートで。大きな荷物を持ったいかにも旅人なおじさんと同じボックスになったかと思えば、いかにも通学という学生達と乗り合わせたり。

祖父母宅1泊を挟んで2日目のお昼、花巻駅に到着。さらに徒歩15分だか20分だかの長旅でようやく到着しました。


通称は「花巻ソフト」だったでしょうか。岩手県、花巻の商店街の一角にあるデパート「マルカン百貨店」。その6階にそのソフトクリームを出す食堂があります。ひと昔前の百貨店の上階層にある感じの食堂。そのソフトクリームは何段もぐるぐると高く巻かれたソフトクリームで、あまりにも高過ぎてスプーンで食べると倒してしまうため箸で食べる―そういう内容の話を昔テレビで見たことをぼんやり覚えていました。
ただそんな名物アイスクリームを提供する食堂ですが、過去に一度閉店しています。採算が採れなくて撤退……ではなく、施設の老朽化。43年という長い期間に加えて耐震基準を満たせなかったこともあり、2016年に一度閉店したんだそう。
その商店街はとても人の多いところとは思えないところでしたが、この食堂は賑わっていたそうで、閉店発表の直後から地元の方による「食堂を残してほしい」という声があったとのこと。まちづくりの手法となりそうなくらいには壮大なプロジェクトであり簡単に纏められるようなものではないため詳しい経緯は省きますが、地元の若者を中心とする有志の方々の協力があり、この食堂は建物そのままに「マルカンビル大食堂」として復活を果たしました。

NHKのドキュメンタリーの題材になってもおかしくないレベルの壮大なプロジェクト、纏めた記事がありますので是非。

元々大きなソフトクリームは気になっていましたが、この話を聞いてさらに行きたくなり……長期休暇、ということもあり時刻表を読んで計画を立て実行に踏み切りました。

1階は物産展、6階は食堂。2~5階は閉鎖。本当は途中階も別用途で使うつもりでしたが、設備更新など予算の問題もありひとまず最低限の設備更新と耐震補強等で再開を目指したということです。

エレベーターを降り、一歩足を踏み入れるとそこはなんとも時代を感じさせる食堂。可能な限りそのままの形で存続させるという方針のもと再開したという食堂はなんともレトロで、なんと食券は人の手で売られています。写真には写っていませんが、この手前には大きなショーケースがあり、ズラッと並べられた食品サンプルは圧巻の一言です。

もちろん目的はアイスなんですが、お昼時というのもあったので別のものも注文。

ナポリかつ。マルカンビル大食堂の名物のひとつで、ナポリタンに薄いカツが乗ったその横にはサラダも添えられています。このカツというのが絶妙で、ナポリタンを大きく引き立てるための存在という感じでした。添えられたサラダはたっぷりで濃いめ炭水化物に合わせるには嬉しいサッパリ系。結構なボリュームはあります。

ソフトクリームは食後の注文。


きました。でかい

これが名物のソフトクリーム。確かに巨大で、スプーンで食べるとなればうまく工夫しないことには間違いなく倒れます。だから箸で食べる必要があったんですね
ソフトクリームマシンってよく某業界一ネカフェとかビュッフェとかに置いてあって、それでソフトクリーム巻いたことがある人ならわかると思うんですが、ソフトクリーム巻くのって結構な技術がいるんですね。当然、これが10段ともなればそれはもはや職人技。ソフトクリームの質感も気温などの条件により微妙に変わるんだそうで、単純ながら非常に高度な技術の求められるこれは全員が出来る仕事ではないんだそう。

10段というあまりにも高め(物理)なソフトクリームは崩れないように硬め。決してくどくはない味で、ボリュームのあるナポリかつを食べた後でもペロリといけてしまうほど。無限にアイスがあるので、食べても食べてもアイスがまだあるという幸福感を感じることが出来ます。

このソフトクリームですが、この大きさに反してお値段はなんと180円(当時)。こんなに安くていいの、と思ってしまうほど安い価格でした。

マルカンビル大食堂。当時既に再開からは数年経っていましたが、そこそこの賑わいを見せていました。行くときに商店街を通りましたが、その商店街の若干寂れたような感じの雰囲気とは対照的な光景でした。本当に地元の人々に愛されてる食堂なんだなと感じました。

アイスを食べるためだけに行った旅。旅の動機としてはあまりにも浅い、軽率な旅。ですが、行った価値は十分にあったと今でも考えています。

この直後、この旅が一生忘れられないものとなる大騒動が発生するのですが、それはまた別のお話……


以上、現在の旅のスタイルへと繋がる、転換点となる旅の話でした。マルカンビル大食堂、首都圏からは遠いので軽率に行けるところではありませんが、もし興味があり旅に抵抗がない方なら一度は行ってみてほしいところです。
電車アクセスなら新幹線北上駅または盛岡駅から東北本線、新幹線とレンタカーなら主要駅である盛岡駅から向かうのが便利だと思います。飛行機なら花巻空港か仙台空港を利用しレンタカーが便利でしょうか。新花巻から向かう手もありますが、レンタカー屋は見たところなさそうだったのと、在来線にしても釜石線の本数が東北本線よりも少ないので十分お気をつけくださいませ。
電車なら運行終了予告の出たSL銀河なんかや遠野観光とともに、レンタカーなら小岩井農場見学や宮沢賢治ゆかりの地の訪問とも合わせて如何でしょうか。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?