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軍物の魅力とは?/S&S OPEN TALK #37

SLOW&STEADY ではオープン直後から、お客様からの相談窓口として、LINE@を利用しています。
その内容は、商品の在庫状況の確認から始まり、商品ご購入後のアフターケアに至るまで多種多様ですが、そんな中「これは多くの方も同じようなお悩みをお持ちのはず」と感じるようなご質問も少なくありません。さらに、そういったご質問ほど短文では返しづらいのが正直なところで、そこでこの度、そんな魅力的なご質問の数々をピックアップさせていただき、ここnoteにてマガジンという形で回答させていただく、という試みを開始いたします。

名付けて『OPEN TALK』今週はこんなメッセージから。

軍物の魅力とは?

初めて質問させていただきます。いわゆる『軍物』と呼ばれるアイテム。緑のジャケットとか軍パンとか軍物ってだけで僕は『戦争に着て行く服』というのが頭をよぎり躊躇してしまいます。素人質問恐縮ですが私の世代(いや私の周辺だけですが)で軍物を着てる人が少ない理由を知れればと思います。(岐阜県/男性/22/LOLO様)

ご質問ありがとうございます。
まず前提としまして、洋服が洋服として、身分や階級を超えて自由に楽しめるようになったのはイギリスの産業革命(1760年)以後から。日本で見ますと日本人が洋服を着るようになったのはその少し後の1800年後半、明治維新以降です。
また洋服において「既製品(誰かのために仕立てた洋服ではなく不特定多数のために仕上げた洋服)」という概念が生まれたのも、歴史的に見ればつい最近のことなんです。

そんな現代、僕らが着ているこの既製品の設計図(パターンやデザイン)の多くが、じつは軍服由来であることが非常に多いんです。

例を挙げますと、カーディガン伯爵7世(ジェイムズ・ブルデネル)が1853年からのクリミア戦争で負傷した際、イギリス陸軍カーディガン7世が、セーターを前あきにしてボタンでとめられるようにして、保温のため軍服の上に重ね着したことから生まれたものが、ずばり「カーディガン」の原型です。

あるいは1850年頃、インドに駐留していたイギリス軍が履いていたのが白のユニフォーム。インドの戦場で敵から目立ってしまう欠点を補うべく、カレー粉・コーヒー・桑の実などを混ぜた顔料で、イギリス軍は白いユニフォームをインドの土地そっくりな色に染め上げました。
そのパンツは、インドから中国に余剰分が輸出され、のちにアメリカ軍がフィリピン駐在用の軍服として大量に採用します。そこで中国輸入のパンツという意味で(アメリカ軍が上陸する以前、フィリピンがスペイン軍に植民地支配されていたことも起因し)、そのパンツはスペイン語で「チノ(chino=中国)パン」と呼ばれるようになります。

そのほかダッフルコートやトレンチコートなど枚挙にいとまがないほどに、世の中の多くの洋服は軍物がベースなんです。
敗戦後の日本も米国の文化やスタイルを急速に取り入れたことで、日本のファッションは大きく変化することになりました。米国古着ブームから、ドメスティックブランドブームなどを経て、現在のヨーロッパビンテージブームへと続きます。
その中で、特に日本人の洋服コーディネートにおいて、直接軍物を取り入れることがスタイルとして定着したことが話をややこしくさせていますが、洋服の文化というのはある意味、軍物をもとに発展してきたといっても過言ではありません。

ちなみに93歳になるうちの祖父は軍物が大嫌いです。なので「戦争に着て行く服というのが頭をよぎり躊躇してしまう」お気持ちもよく分かります。
しかしながら当時、国の存続と自らの命をかけた兵士達が着用する洋服は、国家予算を莫大に投下して、大量生産可能かつ高機能かつ強靭な代物として作られたものです。その背景を考えれば、今日に続く多くの洋服の原型になったことも充分うなづけます。

緑色で大きなポケットがついたジャケットや迷彩柄に苦手意識を持たれるのも理解できるところですが、一度着てみるとこんなにも使い勝手が良くかつ丈夫な洋服であることに気づかれるはずです。
洋服好きが深まれば深まるほど、軍物を愛してしまう理由の一端を今回少しでもご理解いだけたなら嬉しく思います。

✉️

今週は、以上です。
ここでは、あくまで僕の答えられる範囲内にはなりますが、このマガジンを使って、皆様からお寄せいただく「洋服に関するご質問やお悩み」を、ざっくばらんにご紹介しております。

個別の商品に関するご質問ももちろん歓迎です。ご質問は、LINE@の他に、下記メッセージフォームより随時受けつけております。どうぞお気軽にご連絡ください。

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