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ボタンの起源とその歴史について/S&S OPEN TALK #40

四国にあるセレクトショップ SLOW&STEADY ではオープン直後から、お客様からの相談窓口として、LINE@を利用しています。

その内容は、商品在庫の確認から始まり、商品ご購入後のアフターケアに至るまで多種多様です。しかしそんな中「これは多くの方も同じお悩みをお持ちのはず」と感じるご質問も少なくありません。さらにそういったものほど短文では返しづらいのが正直なところ。
そこでこのnoteにて「マガジン」という形で回答させていただくことで、そんな魅力的なご質問の数々をピックアップさせていただければと思います。

名付けて『OPEN TALK』今週はこんなメッセージから。

✉️

「ボタンの起源とその歴史について」

先日お世話になった者です。購入したFRANK LEDERの洋服を家に持ち帰り、眺めながら毎晩過ごしています。洋服の説明の際にもおっしゃっていましたが、ボタンって改めて重要なパーツなんだと再認識しています。見れば見る程にボタンに見入っている自分がおり、これから洋服を購入するさいの判断基準にまでなってしまいそうです。ボタンの魅力もっと知りたいです。(momota)

先日はありがとうございました。
僕自身、洋服を選ぶ際に必ず見るのがボタン。単なる機能パーツと侮るなかれ、ボタンひとつで洋服の表情はずいぶんと変わります。
そこにはもともと装飾品として生まれたボタンの歴史が起因します。ご質問に対してのお答えになるかは分かりませんが、今回は簡単に「ボタン」の歴史や由来などをご紹介します。(話せば長くなりすぎますので、今回はほんの「さわり」とします)

・・・

ボタンの歴史は今から5000年前、古代ギリシャ時代にさかのぼります。
当時人々は布で身体を纏っていましたが、その布と布を結ぶために、動物の骨や植物を使用しました。それがボタンの起源とされています。

そこから今日、私たちが目にするボタンとして一般化したのが、14~16世紀にかけてのルネッサンス時代。
しかしながら、この頃ボタンは主に「装飾品」としての要素が強まった時期でもあり、金・銀・真珠・珊瑚・象牙など、贅沢な素材を使ったものがほとんどで、今でいうところのアクセサリーに近いものでした。

その後17世紀になると、各所にボタン職人の組合(ギルド)が多く生まれ、ステータスとしてのシンボルとして、ボタンは黄金期を迎えます。そしてそこから徐々に、一般にも安価で手に入れやすい鉄製のボタンなどが誕生します。

さらに18世紀。イギリスは産業革命に合わせ、セルロイドやベークライトといった、いまで言う「プラスティック素材」が登場。ついに機械で大量生産可能になったボタンは、軍服にも使用され大きな産業となり現在に至ります。

※ちなみにこの「ボタン」という名称。ゲルマン語「button」と古代ラテン語の「bottanei」が由来とされており、日本で「ボタン」という名が用いられたのは、江戸時代中期と言われています。

ここで小話を。
1812年フランスの英雄・ナポレオンがロシア遠征のため、軍を率いて進攻します。その際、極寒のロシアで兵たちはあまりの寒さに鼻水が止まりませんでした。
思わず軍服の袖やスソなどで鼻水を拭いてしまいますが、当然乾いた鼻水で軍服の袖口はひどく汚れます。
その様をとても嫌ったナポレオンでしたが、なにせ極寒の地で兵は大勢、統率は思うように取れません。そこで兵の袖口に金属のボタンをつけ、強制的に鼻水を拭けないようにしました。それが学生服などでお馴染み「袖ボタン」のはじまり。
という面白い逸話も残っています。

・・・

いまや単なる衣類を留めるためだけのパーツ(に思われがち)ですが、こうして少し歴史を振り返れば、意外にも「装飾品」としての時代が非常に長かったことがわかります。

ファッションが成熟し自由になった現代においては、もしかして過去の歴史同様、ボタンが「装飾品」としての価値をまた取り戻しつつあるように個人的には感じます。それが僕が無意識に洋服のボタンを見てしまう理由なのでしょう。
僕にとって、いや洋服好きにとってボタンとは、洋服のシルエットや生地と同じくらいに、非常に大切な要素なのです。

ただ、好きになりすぎるとどうなるでしょう?
きっと近い将来、買った洋服のボタンでは満足できずに、自分で好きなボタンに付け替えなくては気が済まない日がくるはずです。(ええ、体験談です)何事も、どうぞほどほどに。

✉️

今週は、以上です。
ここでは、あくまで僕の答えられる範囲内にはなりますが、このマガジンを使って、皆様からお寄せいただく「洋服に関するご質問やお悩み」を、ざっくばらんにご紹介しております。

個別の商品に関するご質問ももちろん歓迎です。ご質問は、LINE@の他に、下記メッセージフォームより随時受けつけております。どうぞお気軽にご連絡ください。

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