シェア
直線と曲線が共鳴する。 時が立ち止まる。 鼓動が高鳴る。 波は旋律となる。 天に轟く雷鳴はややがて人々を狂わせ、 次第に紅蓮の歓声に変わり、 地鳴りは鼓動となって辺りを埋め尽くす。 やがて訪れる沈黙に、 砂時計は眠りから覚める。 音も無く、サラサラと。
外見で、中身は分からない。 触れても、中身は分からない。 持っても、中身は分からない。 中身を見ても、分からない。 アーワカトル。 名前を聞いても、分からない。
洗いざらしのTシャツが好き 太陽のにおい 潮風の波紋 アスファルトの曲線 月明かりの囁き 長い一日が静かに終わる 短い季節の鼓動が始まる 静かに袖を通す時が好き コートに付いたクリーニングのタグ そっと切り離して ゴミ箱に投げ捨てる 気付かれずに息を吐く 静かに ゆっくり 透明な朝に 飽和した湿度は白煙を立てる
直射する陽の光で巻き上がる地表の湿度は 見えない位の極小さい渦巻きとなり 徐々に徐々に、その自らのエントロピーを吐き出しつつ やがて猛烈な勢いで膨張し始め 制御不能になった身体を持て余す 鈍い重低音は同心円に天空を搔きむしり 吹き荒れる円錐に閉じ込める 錫色の稲妻 紅蓮の雲 全てを破壊し尽くし、洗い流し、静寂は訪れる 永遠に繰り返す、破壊と再生の実験
声にしたって無駄だってさ もう無理だって 何かもう全部 何かもうホント よく分からなくなっちゃって 気が抜けちゃって こんな事、今迄いっぱいあったけど でもね やっぱりさ 馬鹿にしないでよ
息をする 意識しなくても 腹は減る 何かをしていても 眼を覚ます いつも必ず それさえ出来ぬアンドロイド 今日も夢を見るアンドロイド
全てが、まやかしだった あれも、これも、あの時も だから消しゴムで全部消してやった 記憶も体温も何もかも 持っていても仕方ないし 捨てる勇気も要ったけど 意味なんてもう無いんだって それでも、まだ、 まやかしでも良いからと 赤鉛筆で擦る 炙り出る文字の窪み
あいつはクソ野郎 みんなに好かれるクソ野郎 運動巧なクソ野郎 演奏上手なクソ野郎 優しい笑顔のクソ野郎 クソ野郎 クソ野郎 悔しい位にクソ野郎
彼女はもう僕の友達じゃないのかな。 彼女と僕の間に、あいつは居て。 あいつは僕と同い年で、背はずっと高くて 祖国から全てを投げ打ってやって来た。 彼女と彼はもう15年以上前から一緒だったんだけど そのころの僕たちの写真はとても楽しそうで でも、いつの頃か君たちは歯車が狂い始めて それを横で見ている僕は何て声をかけていいか分からなくて 彼女はスマートフォンに The Eagles の "Desperado (ならず者)”を入れて よく僕と一緒に夜の公園に行って
「遠く中空に揺らめく」拡がる沈黙の波紋 「轟く雷鳴」 鼓膜を引き裂き 「青白い閃光」 網膜に翳を焼き付ける 「立ち込める暗雲」戸惑う銀色の陽炎 「吹き抜ける突風」入道雲の叩きつける雄叫び 「降り出した雨」寄る辺なくすすり泣く 「荒れ狂う嵐」爆発する閃光、振動、絶叫 「突然の雨上がり」雨樋は賑やかな水琴窟 「天空に架かる階調の曲線」儚くも壮大に回折する幻想の門
そこにあった本棚 壁に持たれた隙間 テレビからの笑い声 夕飯の香り 入浴の音 駆け上がる階段の振動 窓を開けるサッシの軋み 時折、過ぎるバイクの爆音 全てを聞いていた本棚の裏側 昨日、捨てられて行った。
「地味に生きたい」って言ってたけど、 選んで出来るもんじゃないって事 充分わかっているのにさ 暗めの「口紅」いくら注してても どこかでバレてしまうから 「黒い衣裳」身に纏って 暗い夜道「踵の響き」消してもさ それでも「声」で悟られるから 誰とも「逢わず」に居る時に そうして「地味」が訪れるんだよ
終電は、とっくに終わり 街に放り出された浮遊体の行く先は Late Show ガラガラの場内 最前列に陣取り 殆ど垂直に見上げるスクリーンと 殆ど視界から外れてる左右の映像 持ち込んだハンバーガーとコーラを両手に掴み 概ね興味の起きない予告編 濁って乾いたその二つのマナコで 瞬きもせずに黙読する 暗転、開始早々、爆音を合図に深い眠りに堕ちる 起きては、眠りに堕ちて、を繰り返し 一番楽しみのエンドロールで目を醒ます その美しく整列された文字の波紋に
すっくと立った白い頭は葱坊主 すっくと立った白い頭は葱坊主 すっくと立った白い頭は葱坊主