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年の終わりに

今年のうちに、一年のお礼をと、
実家近くのお寺へひとり向かう。

少し冷えて澄んだ空気の中で、
鳥の声、差し込む木漏れ日、小さいぶらんこ、ときどき鐘の音。

そういえばぶらんこっていつの間に、こんなに小さく見えるようになったかな。
おしりがはみ出しそうになりながら、背中を丸めて、そこに座って綴っている。

お寺の門の前で頭を下げる人。
何かを願い手を合わせる人。
お守りを嬉しそうに懐にしまう人。

一年の苦労を洗い流し
また新たな年への幸せを願う人たちが
自分以外に、こんなにもいる、という当たり前のことに少し嬉しくなる。

名前も知らない人たちだけど、芯には通ずるところがあるんだな。
心そのものは目に見えないけれど、人の良心を近くに感じる。

忙しい日々の中では、
自分と他者の違いに目がいってしまう。
そしてメリットとデメリットを秤にかけて
足し算したり、引き算したり。
損をしないように、少しでも多くのものを手にできるようにと
気づかないうちに考えるようになったりしている。あぁ、欲深い。

まぁそれもそれで、人間らしいのだけど。

年末のおおらかな空気が、包みこんでくれるから
それもそれで、可愛らしくってよし!ということで
まるっとオッケーにしよう。
今年も一年、よく頑張りました。

地続きの毎日の先に、
「年の終わり」という節目があってよかった。
また新鮮な気持ちを取り戻せるから。

ご近所のおうちの窓から漏れる香りが鼻をかすめ、お腹が減ってきた。

そろそろお家に帰ってご飯にしよう。