第一回邦キチー1グランプリ『ジョーカー・ゲーム』



 (クラスの女子がSPY×FAMILYの話で盛り上がっている姿を横目で見る部長)
 (部室へ向かう途中でも男子生徒達が同じくSPY×FAMILYの話で盛り上がっているのを見かける)


 部長「すごい人気だな……あのアニメ」
 邦キチ「何のアニメの話でございますか?」
 部長「何って……あれだよ、今度映画化もされる……素性を隠して一般生活をしながらスパイ活動する」
 邦キチ「えっ!あのアニメの映画が公開するのですか?」
 部長「邦キチも流石に知ってたか。何でも劇場版は原作にはないオリジナルストーリーをやるらしくて話題なんだよ」
 邦キチ「原作にはないオリジナルストーリー!いい響きでありますね〜」
 部長「お前はそう言うよな」
 邦キチ「部長!それならば今日は劇場版の予習も兼ねて実写版を観ましょう!」
 部長「お前いつも実写版のDVD持ち歩いてるのか?」
 部長(しかしあのアニメって結構最近放送してたが実写版なんてあったのか?ミュージカルはやってたと聞くが)
 邦キチ「こちらです!」

 (『ジョーカー•ゲーム』のDVDを机に置く)

 部長「またこのパターン!」
 邦キチ「えっ!?さっきから部長が仰っているのは『ジョーカー・ゲーム』のことではないのですか!?アニメのキャラデザが無個性すぎて初見ではキャラの見分けがつけにくいことで有名な……」
 部長「『SPY×FAMILY』だよ!何だそのイカれたアニメは!?キャラデザが無個性のアニメって致命的じゃないか!?」
 邦キチ「やだな〜部長。スパイは目立ってはいけないんですから無個性で地味な方が活動する上で有利に決まってるじゃないですか〜。D機関の常識ですよ?」
 部長「いや確かにそうだけども!そういうのってお約束じゃないのか!?あとD機関って何?」


 邦キチ「簡単に説明しますと、『ジョーカー•ゲーム』は“死ぬな、殺すな”がモットーのスパイ養成機関のD機関に所属するスパイ達の活躍を描いた小説が原作の映画でして。そのモットーもあって派手なアクションは少なめのリアル志向のスパイ物なのであります」
 部長「ほー、あまり見かけない作風だな。『裏切りのサーカス』みたいだ」
 邦キチ「監督は『サイタマノラッパー』や『AI崩壊』の入江悠!主演は『事故物件 怖い間取り』や『PとJK』の亀梨和也!他にも深田恭子や伊勢谷友介なんかが脇を固めています!」
 部長「お前、伊勢谷友介好きだよな……」
 邦キチ「今回お話しする実写版ではですね、亀梨和也演じる主人公の青年がD機関のトップ結城中佐(伊勢谷友介)に救われ、極秘書類の奪取の任務を嘉藤次郎という偽名と共に与えられるのです」
 邦キチ「ブラックノートと呼ばれる新型爆弾の製造法が書かれた書類を巡って様々な組織の思惑が交錯する架空の都市、虹揚を舞台にブラックノート争奪戦が繰り広げられるのであります!」
 部長「海外撮影!?すごい力の入れようだな!」
 部長「しかし……スパイといえば派手なアクションやハイテクな秘密道具と言われるところを敢えて真逆のシリアスなスパイ映画をやるなんて面白そうじゃないか」
 邦キチ「いえ、『ジョーカー・ゲーム』は派手なアクションも秘密道具もありますよ?」

 (英国諜報機関との格闘、ペンライト型のカメラ、人感センサー)

 部長「ドエンタメじゃないか!」
 部長「待て待て待て話が違うぞ!スパイのモットーは目立たないことだったんじゃないのか!?」
 邦キチ「もちろんそうなんですけれども、嘉藤はターゲットのアメリカ大使のところで働くメイドのリン(深田恭子)を助けてしまいまして」
 部長「ガッツリ顔見られてる……」
 邦キチ「それどころかアメリカ大使の秘書にもブラックノートを探してる現場を押さえられてしまいます」
 部長「迂闊すぎないか?」
 邦キチ「で、秘書を絞め落とします」
 部長「この後どう言い逃れるんだよ」
 邦キチ「訓練所で優秀な成績を収めていたはずなんですけどね、亀梨くん」
  邦キチ「ちなみに私、リンがアメリカ大使に乱暴されているシーンがこの映画で1番好きでして。リンをベッドに押し倒した時のアメリカ大使の台詞が」

「このアバズレが!アメリカはすごい国なんだぞ!」

 部長「すごい台詞だな!」
 邦キチ「そうなのです!その後も嵩に懸かった口調でリンを脅しながら暴行を続けるのです!」
 部長「何なんだこいつは……」
 邦キチ「あとは嘉藤の仲間の小田切と実井がD機関と対立する憲兵隊を奇襲するところも見所でして。アメリカ大使を殺してブラックノートを奪おうとする彼らを止めるんですけれども」
 部長「また締め落とすのか?」
 邦キチ「いえ、毒針で兵士の首を刺します」
 部長「生きててもタダでは済まないくらい深く刺さってないか!?」
 邦キチ「その後の台詞から察するに眠らされただけではあるみたいなのですが……」
 邦キチ「極めつけはクライマックスです!英国諜報機関のアジトに捕まった嘉藤とリンは何とか脱出しようとするんですけれど逃げ場のない屋上に追い詰められてしまいます」
 邦キチ「追い詰められた嘉藤はアジトの火薬庫に火を付けて大爆発させた隙に乗じて逃げます」
 部長(“死ぬな、殺すな”は……?)


 部長「とにかく……お前の好きな感じの大味な映画だってことはわかったよ」
 邦キチ「そうでしょう?後はこの映画の主題歌はKAT-TUNが歌っているんですけれども」
 部長「あぁ、主演が亀梨くんだもんな」
 邦キチ「曲名がDead or Alive(生死を問わず)なのです!」
 部長「映画全体で“死ぬな、殺すな”を守るつもりないのな……」

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