見出し画像

前提を共有してない会話の面白み

2024/02/15
「頭痛ーる」を開くと画面いっぱいに赤色の警戒マーク。

いつもは目覚ましの一時間前に私を起こしてご飯を催促する猫が全然起きてこないからいったい何が起きているのかと気圧の変化がわかるスマートフォンアプリを開いたら、なるほどそういうことでしたか。猫にとっては厳しい一日が始まっているのねと労いながら過度に心配しすぎないように自分に言い聞かせた。

猫と暮らし始めて三年目。たまに訪れる食欲不振に不安になっていたころ、そういえば猫なるものは気圧の変化に弱いと聞いたぞと思い気圧変動がわかる「頭痛ーる」なるアプリを入れてみたところ、まぁ体調不良と気圧警報が重なる重なる!

だからもうずっとこのアプリは相棒のようなもので、猫の体調不良を感じ取ってこのアプリを開いて「警戒」の赤色を見るとそりゃあもう仕方ないですねゆっくりお休みくださいと心配に蓋をしてのんびり構えられるようになった。

同居人に「気圧が警戒レベルで猫がずっと寝ていてご飯も食べない」と伝えると「そうか。僕は気圧のことはわからないけど今日も昨日も一昨日もずっと眠い」と言っていていつも通りの鈍感さにこれはこれで安心。

今日も在宅でもりもり仕事。近くのチームでトラブルが起きており大変ですねと横目で見ていたら全然人ごとじゃなく自分のチームの話でびっくりした。今日やれるところまでやりきって落ち着いたところで晩ごはん。

寒いうちに絶対につくろうと決めていた鶏だんご鍋をまさかの春一番が吹き荒れる日につくってしまいなんだかなと思ったけど、シンプルで飽きのこない味でうまい。

うちのキッチンはシンクの前に出窓があり、そこにアンティーク調の小瓶が置いてある。一緒に食器を片付けているときにそういえば言ってなかったなと思い「落ちていた猫のヒゲを集めてこの小瓶に入れてるんだよね」と教えたところ「こわっ……」とマジで引いた顔で言われた。

「人間の爪とかこう、身体のカケラを収集するって気持ち悪くない?」「あ! そういう感じ? なるほどね! 猫のヒゲって幸運のお守りって言われることがあってなんとなく保管してたんだけど、確かにそれを知らなかったら普通にキモいね」とその恐怖の感覚を完全に理解。

前提を共有してない会話の面白みがあり、笑いながらやっと元気になってきた猫を大丈夫あんたはキモくないよと慰めながらぐりぐり撫でた。