変な人

学生時代どこのグループに属すかということは割と大事だったりする。
俺はそんなことをあんまり気にせず中学校に入学したわけだけど、派手でもないしぼんやり生きている俺は、真面目でおとなしくて勉強ができる子たちと仲良くなった。
はじめはその子たちと話すのが楽しく思えたし平和に時間が流れていたのだけど、次第に不満が出て来た。
そりゃ、その子たちも逆に俺に不満があったろうが、今は考えないことにする。

なにが不満だったって、例えばテストでくそみたいな点数をとった時に、笑いに変えてやろうと自慢して練り歩いても誰も笑ってくれない。
それだけならまだいいけど、俺は割と(今でもそうだけど)好奇心旺盛なところと創作癖があって、そういう疑問を何気なく友達に投げかけたりするものだけど、多分小難しいことを言っていたのだろう、誰も相手にはしてくれない。
断っておくと「その子たちにわからないような難しいこと」という意味ではなく「そんなことなんでもクソもねぇよ」という類の難しいことね。

それと同時期くらいに、俺はクラスのある女の子に惹きつけられるようになった。恋愛感情ではなく、人間として。
その子は誰からも嫌われていて、まだ俺の頃はオタクという言葉がけなし言葉だったんだけどそんな時代に筋金入りのアニオタで、一人称が「俺」。おまけにグロ、リョナ好きでそういった小説をしたためているというトリッキーな子だった。
最初は話すことがなかったんだけど、クラスメイトだから全く空気というわけにはいかず、周りの評判だけを聞いていた俺は恐る恐る会話するという感じだったんだけど、その子は例えば上記のようにテストでアホみたいな点をとったときに満面の笑みで「アホやな〜」と笑ってくれる子だった。
それだけではなく、俺が創作をしていると言っても、こんなことが疑問に思うと言っても、馬鹿にして笑うことはなかった。
笑うどころか、小説が好きな仲間だとわかると俺が当時片想いしていた子との恋愛小説を書いて来てくれて、俺を喜ばせてくれるような優しい一面もある子だった。

やがてその子と学校生活の大半を過ごすようになり、真面目なかつての友達は離れていってしまった。
今思えば、側から見ていれば完全に俺は選択を誤ったように見えただろうな、と思う。だけど俺は自分の意思で付き合いたい友達を選んだだけだ。
いろいろあって、毒親に関係を引き裂かれてその子とは疎遠になってしまったけれど、俺はヤバい人間が大好きなので、大人になった今でも仲良くできていれば楽しかったかもしれないなと、そう思う日もある。