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最愛をまた、失った話【デュエプレ】

皆さんは、大切な何かを、失ったことは、ありますか。
生きる希望を見失ったことは、ありますか。
僕は、何度も、何度も、あります。数えたくもない。
或るときは、絶対と信じて疑わなかった友情に、裏切られた。
また或るときは、共に戦った盟友の、変わり果てた姿を目の当たりにした。
悲しみ、苦しみにはもう、とうに慣れた。
諸行無常を受け入れて、自分や友の、生涯の終わりに恐怖する日々は、終焉を迎えた。
罵詈雑言を昇華する術を、身につけた。
それなのに。それなのに。

何故僕はまた、涙を流している?

”最愛”の言葉は相応しくとも、たかがゲームの一デッキが、その生涯を終えた、ただそれだけなのに。

そもそもだ。あのデッキはただの"道具"だったじゃないか。勝利により、僕の名を知らしめるための。承認欲求を、満たすためだけの。気持ちよく勝利するため、だけの..ただそれだけの、もの、だったじゃないか….


ああ、そうか。やっと分かった。僕は、逃げていただけ、だったんだな。
諸行無常を受け入れた、などと強がってみせて、その実態は,、大切な、失いたくない”なにか”を作らないようにしていただけ。

長く使ってしまったから。約1年も、使い続けてしまったから。
僕は気付かぬうちに、あのデッキを、”大切ななにか”と、そう認識してしまったんだな。

共に勝利を目指した日々を。共に連敗し、落ち込んだ日々を。共に勝利し、多少なりとも、結果を残せたあの日を。

僕はもう、忘れることができない。目を背けることが出来ない。

そして慣れていたはずだった罵詈雑言も、あのデッキに向けられた途端、その鋭利であることを思い出す。
Twitterを見ていると、人の死を喜ぶ人々を、目の当たりにしているようにすら、感じる。

そうだ。僕はもう、逃げることが出来ない。この苦しみから。この悲しみから。
あぁ。ずるいよ。ずるいよキリコ。君は意地悪だ。君は、卑怯だ….
そうだ、そうに違いない。
中途半端に楽しませて、中途半端に良い思い出を、作らせて。そうして、こうやって逃げるんだろ?

なあ。なあ。
逝かないでくれよ..
僕はもう、君がいないと生きていけない、んだよ..

そういえば君は、最後まで笑顔だったな。
なんだ。なんだよ。”私の分まで、笑顔で生きて”なんて、言いたそうな顔、してんじゃねえよ..
僕は、僕はもう。


でも。それでも。”最愛”の君が、もしそう望むなら。
いつかこの涙を。君との日々を。拭い去る覚悟くらい、…

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