ルヴァンカップ・マリノス戦~プレーオフ進出

2017/05/31 横浜Fマリノスvsサンフレッチェ広島 ニッパツ三ツ沢球技場

 暑い、暑い、暑い。五月最後の日はもう夏ともいっていいような気温の高さだった。が、日が落ちるとすっと涼しくなってくるのは湿気がないせいだろうか。そよ風が心地よく身体に当たる。ナイトゲームであるこの試合、意外とやりやすいコンディションであるのだった。
 サッカー専用のこのスタジアムでは選手がより身近に感じることができる。特に目の前のゴールに向かってくる後半は最も盛り上がるシチュエーションとなる。が、よりによってマリノスは逆に陣地を取ってしまい前半からアウェイゴール裏へ攻める配置となるのだった。
 しかし、開始早々に早々にマリノスにクロスを入れられてしまう。速いライナー性のボールにやられたと思ったものの、ここはGK中林が身体を張って止めた。だがその後も攻められる展開は変わらないのだった。
 ボールを奪おうにも個人技でスカッとかわされる。スペースの間をすり抜けるようなパスを出してくる。これはいつ守備が決壊するかと思いきや、最後の最後はガツンとクリアをしてしまう。そういうとこは今回のメンバーは秀でていた。
 ところがマイボールにした後がお粗末である。ちょっとマリノスがプレスに来ただけでパスミスが起きてしまう。フェリペがスピードに乗ったキラーパスを出してもだれもそれに追いついてくれない。そして右サイドの長沼に至っては消極的なプレーばかり目に付くのだった。
 カップ戦用の若手中心のメンバーだが、もっと現実的な戦いをした方がいいのではなかろうか。パスでつないで崩していくもは理想だができないものはしょうがないという割り切りが必要だ。
 だがそんな時、左サイド高橋にボールが入った。縦へ行こうとするも中への切り込みと切り替えゴール前へのパス。DFに当たりコースが変わってしまったが工藤がこれを収めるとヒール。何と、これがゴールに入った。あまりにも意表を突かれたゴールに一瞬息をのんでしまった。
 そしてゴールが認められると喜びを爆発させる工藤。それに呼応してアウェイゴール裏も熱狂に包まれた。リーグ戦のスタメンからも落とされてしまった工藤がこんなとこで決めてしまっtのだった。
 このまま勝つと予選リーグの3位になりプレーオフに進出できる。この座を巡ってるのが当のマリノスなので相手も必死だ。そこで後半になるとエースの斎藤学を入れてきた。
 たった一人の交代である。それなのにボールを持たれると軽くサイドを駆け上がられてしまいパスを通されてしまう。そしてマイナスクロスが出ると後ろから走ってきた仲川にダイレクトシュートをたたき込まれてしまった。斎藤は出場からほんの少しの時間で同点へと導いてしまったのだった。
 同点ならマリノスの方が順位が上になってしまう。このままなら敗退決定だ。ところがやはり細かいパスのずれなど盆ミスの多いサンフレッチェに反撃の狼煙は上げられそうもなかった。長沼から柏、松本から柴崎と交代するも戦局を替えるまでには至らなかった。そして最後に丸谷から怪我でずっと戦列を離れてた宮吉を入れた時、もはやそれはヤケクソのような気がしたのだった。
 前に重心の掛かるサンフレッチェ。柏が左サイドでドリブルを仕掛ける。フェイントを使いクロスをしようとしたのをもう一度えぐる。ゴール前へクロス。すると密集の中に速い球が入るとピンポイントで頭に当てた選手がいた。ズドンとボールはライナーでゴールに突き刺さった。
 入った、入った、入った。文句の言いようのないゴールだ。しかし決めたのは誰だ?宮吉?宮吉が決めたのか。やった、結果を出してくれたよ。
 一時は寿人の後継者とまで嘱望された宮吉だったが怪我の多さに段々その期待感もなくなっていった。リハビリを終えても出場のなかったとこをみると監督の評価も低いのだろうという想像はついた。それだけにゴールを決めたというのは意外でもあり驚きでもあるのだった。
 さあ、残り時間もうわずか。
 防戦一方のサンフレッチェ。クリアするのが精一杯。GK中林はせっかくセーブしてもパントキックを全部相手のGKへのパスにしてしまう。せめてサイドラインに出してフリースローにした方が時間が稼げるだろうに。ああ、ほんの少しでいいからボールをキープできればいいのに。跳ね返すことしかできない。時間よ、早く過ぎてくれ。
 アディショナルタイムに入るといよいよパワープレーをしてくるマリノスの攻撃に一杯一杯。ほんのワンプレーで簡単にゴールを決められてしまいそうな危うさがあった。
 が、前線に飛んだボールを工藤が収めることができた。すぐに相手ボールになってしまったもののこの数秒が終了へと導いてくれたのだった。
 響きわたる主審のホイッスル。安堵のため息と勝利の歓喜が訪れた。ガクッと腰を落としそうになるもやはり喜びは押さえつけることができなかった。
 プレーオフ進出。これでルヴァンカップは少なくとも2試合戦えるのである。サンフレッチェが観たい、そんな欲求が減少してた今シーズンにおいてそう思える感情が沸き立ったことに喜びを感じるのだった。

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