札幌戦~追いつかれなかった先制点

2021年9月18日 コンサドーレ札幌 vs サンフレッチェ広島 札幌ドーム

 日曜のデーゲーム。屋内であることからこのスタジアムは日光が入ることはない。だがここが独特なものに感じるのはそれだけが理由ではない。2012年に降格が決まった場所。そしてその時ゴールマウスを守ってた林が札幌に移籍してキャリアを積んだチーム。監督のミシャは初めての日本での監督業は広島だった。それ故に両者のサッカー選手は似通いミラーゲームとなることが予想され、局面での1対1を制することをミシャ告げていた。
 トップのドウグラス・ヴィエイラは前々節ハットトリックを決めて以来好調を維持している。ゲームが始まると青山のカットからヴィエイラへ当てるとそのまま最終ラインをドリブルで剥がしシュート。GKの飛び出しによってブロックされたがCKへ。この辺のプレーが本人にも自信を窺わせるのだった。
 右から蹴られたCKは中央の密集地で逸らされ溢れる。するとそこにヴィエイラがいる。ダイレクトでシュート。だが守備が壁となりブロック。するとそこに詰め寄った佐々木が叩き込んだ。入った。決まった。先制点。早い早い時間での先制点だった。
 幸先がいい。ところが先制した試合の勝率が致命的に低いサンフレッチェはこのリードがちっとも有利に働かない。その後攻勢をかけてきた札幌に対して徐々に重心が低くなっていく。アタッカーのサントスまで下がって守備ブロックに吸収される。選手も守りきれないことはわかってるようでCBの荒木は無難なプレーで回避することが多いように見えた。
 札幌の時間は続く。ひたすら受け身になるものの野上のプレスからヴィエイラにボールが渡るとハーフウェイラインからシュート。この前もこれで決めたが流石に距離が遠すぎた。枠に入ることなくボールは飛んでいったのだった。入りはしなかったもののやはりヴィエイラの自信が伺える。
 守って守って守ってボールカットすると一気に前線へロングフィード。左サイドの東がゴール前へ抜けシュート。が、枠外。このところ波に乗ってる東であったがシュートはやっぱり入らないのだった。
 その後もブロックを敷いて守備に徹するも間を抜かれワンタッチで振られシュートレンジに入られる。その都度GK林のセービングに助けられるもののそこから速攻を狙うとラインを割ってしまう。カウンターへの脅威を与えられてないことでいつ守備の壁を決壊されてもおかしくはなかった。
 圧倒的な札幌のボール支配。それに伴ってCKも多くなりゴールに迫るプレーも多くなってくる。だが最後のところで佐々木や荒木が食い止める。よく守ってはいるもののやはり危なっかしい。そしてボールを持って前を向いても一瞬の迷いが中途半端なプレーへと陥らせボールを奪われてしまう。左サイド藤井のスピードを生かすことができない。ところが柴崎が受けると切り返しから逆サイドへ振ると東がフリーとなりシュート。これがまた枠に入らない。この時気づいたが東のシュートはいつも同じとこへと外れているのだった。
 そして後半に入るとさすがに少しは落ち着いたかに見えたのも束の間、裏を狙ってくる札幌に徐々にDFラインは下りまたしても自陣で引き篭もることになる。それにも関わらずゴール前の密集地にボールを入れる札幌。ワンタッチパスで密集を切り抜けGK林の前へ。力を抜いたシュートはそのまま林の脇を抜けていったのだった。
 ああ、やっぱり防ぎきれなかった。途方に暮れそうになったものの笛が鳴った。オフサイド。副審の旗がしっかりと上がっていた。VARでの確認もあったもののやはりノーゴールの判定だった。
 助かった。だがこれだけ攻められてるといつこうなってもおかしくはない。ボールが取れない状況が長く続く。やはり何かを変えないといけない。そこでサントスに代え森島を投入されるのだった。
 かといっていきなりペースが変わることはなかった。と思ったその時だった。自陣左サイドから縦へのロングフィードに東が反応し抜ける。そのままドリブルからクロスを放つとCKへ。攻められ続けてる展開において大いに救われる場面だった。そしてCKから荒木が頭で合わせるもGKが横飛びで防ぐ。惜しい。決まらなかったがこういう場面ができるだけで相手の攻撃に足枷を嵌めることができるのだった。
 そこからオープンな展開になり藤井がバイタルエリアで受けると狙い澄ましたクロスにヴィエイラ。ダイレクトシュートはポストに当たって跳ね返された。その後も藤井の右サイドにボールが集まりドリブルで抜けようとするも倒される。笛は鳴らないがこぼれをヴィエイラが反応するも倒された。そのままクリアされるも起き上がれないヴィエイラ。そこでプレーが止まりVARが入る。ペナルティエリア内だけにファールだとすればPK。そのジャッジに場内は静まり返るのだった。
 そこで出された判定。PK、ペナルティスポットを差されるのだった。
 セットしたヴィエイラ。ホイッスルが鳴るとステップを踏み相手の呼吸を読みつつ打つ。グラウンダー。ゴールの隅。GK菅野の読みも当たったもののボールのスピードが勝った。無事ゴールネットに突き刺さったのだった。
 追加点。大きな大きな2点目。勝利を手繰り寄せたゴールだった。
 ところが札幌の圧力は一層強度を高めるとヴィエイラは力尽き倒れ込む。メンバーを替え残り時間を耐え凌ぐ。シュートを撃たれるも体を寄せ枠に入れさせない。GK林も高い集中力でゴールに鍵をする。そしてゴールキックにより大きく蹴り出すと終了のホイッスルが響いたのだった。
 勝った。ギリギリの戦いだった。ミシャのチームはやはり怖かった。先制した試合をそのままクリーンシートで終わらすことができた事に喜ぶもぐったりと身体の力が抜け落ちるようだった。
 このまま勝ち癖を続けて欲しいもののうずくまったヴィエイラの容体が気にかかる。そして東の決定力のなさ、藤井のクロスの精度不足。だがそれらを解決できればもっと飛躍できるのではという予感も感じさせてくれたのだった。

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