磐田戦~勝利に導いた補強選手


2017/08/05 ジュビロ磐田vsサンフレッチェ広島 ヤマハスタジアム

 勝ち点3。欲しいのはそれだけだった。なので絶対に先制点が欲しかった。先に失点してはいけない。それなのにしてしまった。それは開始16分だった。
 中村俊介をサイドに追いつめた高橋。また抜きで突破されると後ろから引っ張ってしまいPKを与えてしまう。キッカーの中村はGK中林の指にかすりともできないキックを蹴り込み決めてしまった。
 ああ、あまりにも早い失点。しかもPK。こんなので負けるのか。いや、まだ試合は終わった訳ではないが点の取れないチームにとって先に失点するというのはもはや致命的であるのだった。
 それでもサンフレッチェのトップにはパトリックがいた。中盤から長いボールが入ると胸トラップ、流れたボールを柏。ガツンとバーに叩かれたボールは地面に叩きつけられた。
 その一連の流れがあまりにも速かったせいだろう、一瞬何が起こったかわからなかった。が、入っている。ゴールに入ってるではないか。決まった。決まった、決まった、決まった。柏のシュートは同点ゴールになったのだった。
 ここで振り出し。まだまだ可能性あるぞ。息を吹き返したサンフレッチェ。もう点をやる訳にはいかない。CKを与えてしまったがそう簡単に点をやりはしないはずだ。
 中村俊介の左足でのキック。ファーに流れたボール。千葉は競り負けた。その結果大井にまるでシュート練習をするかのように容易に決められてしまった。ああ、いくらがんばってもこういう局面で勝てないとどうしようもないんだという事実をまざまざと見せつけられてしまった。
 再度勝ち越されてしまった後、よくよく注意してみると磐田はCKを全部千葉のところを狙ってるように見えた。千葉は競り合いに弱い、そんな弱点を見透かされてるかのようだった。
 せっかく同点にした後のこういう失点は重く乗し掛かる。今日も負けてしまうという絶望感がにじみ出る。そして前半が終わるとピッチ上で繰り広げられてるハーフタイムショーの華々しい踊りがとても霞んで見えるのだった。ああ、これって仕事してる時にデズニーランドの花火が見えた時の感覚に似てるなと思うのだった。
 そして後半になるとさすがにヨンセン監督から檄が走ったらしく動きがアグレッシブになってくる。果敢なプレス。簡単にかわす磐田。さすがに6連勝中のチームは違う。対してこちらは7戦勝ちなし。その辺は余裕となってプレーにも現れてるようだった。
 それでも高い気温の中、ペースを緩めることなく続けたプレスが効いたのか、ボール奪取から青山が前を向くと一本のパスを出した。それは磐田DFの網の目をかわし裏に抜け出ると一気にパトリックの足下に収まる。
 ドリブル独走。GKと1対1。キックフェイントから抜くとシュート。入った。入った、入った、入った。追いついた。
 パトリック、パトリック、パトリック!
 いくら絶叫しても物足りない気分だった。得点の為に来た選手。そしてその最大の目的を果たし、本人も喜びを噛みしめてるようだった。
 そして再び振り出しに戻るとまたしてもカウンターからパトリックのドリブル。ゴール前、強引にシュートに行くかと思いきや右に出すと走り込んだロペス。右足で放った角度のないシュートはGKをすり抜けてゴールに入ったのだった。
 逆転。しかも肝心なところでいつも外してしまうロペスが決めた。そしてまたしてもパトリックのアシスト。ああ、やっぱりパトリックの存在感は計り知れないものがあった。
 それでもまだ時間は30分もある。喜んでばかりはいられない。点を取りにくる磐田。そしてサンフレッチェはさっきまでの勢いが守備に追われることでなくなってしまった。クリアがゴールラインを割る、はたまたファールを犯してしまう。すると中村俊介のプレースキック。ここが恐怖なのだった。
 跳ね返すとまた磐田ボール。そこでまた前線に入れられるが丹羽がダイビングヘッドで跳ね返す。そしてその都度接触プレーとなりピッチにうずくまる。これぞ身体を張ったプレー。サンフレッチェに足りない闘志であり粘り強さなのだった。
 アディショナルタイムは5分。長く、長く、途方のない長さだった。それでもボールの出所にプレスをかけることでゴール前へ自由にボールを入れさせない。
 苦しい、苦しい時間帯。息は上がりユニフォームは汗でべったりと肌にまとわりついてる。そして終了のホイッスルが鳴り響いた時、歓喜の雄叫びを上げるのだった。
 勝った、勝った、勝った。よくやった。よくやったよ。でも負けはしたもののその兆候は前節から感じられた。そしてそれを実現化させたのはパトリックであり丹羽だったろう。新加入の選手の活躍は補強の成功を意味してた。
 ヨンソン監督のサッカーもより深度を増し、新しいサンフレッチェの形が出来ようとしている。たった1回の勝利であるがそこまで期待していいのだろうか。そこはまだ試合を重ねての結果になるが、とりあえず今日は試合を見直すとしよう。
 ああ、こんな気分一体いつぶりなんだろうか。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?