セレッソ戦~予想外の勝利

2017/09/16 サンフレッチェ広島vsセレッソ大阪

 エディオンスタジアム広島 日本列島に接近してる台風の影響で全国的に雨模様になっていった。広島もその例外に漏れずピッチは雨に濡れていた。ナイターの照明が水が張った地面を反射する。水分を含んだピッチはプレーへの難しさを導きそうだ。

 このようなコンディションでどちらが有利かというとセレッソのような気がした。何せ前回対戦では4点も取られた時点でチーム力に差があるような気がする。しかも優勝争いをしていてこっちは残留争い。ただ、まるで次元の違う話でありながら勝ち点3が必要なものどちらも一緒なのだった。

 いかにしてセレッソの猛攻に堪えることができるか。この試合はそんな忍耐の場になると思っていた。そして実際に始まってみるとほぼ見立て通りであった。

 自信を持ったセレッソの攻撃陣はパスでドリブルで揺さぶりゴール前を脅かしていく。そんな攻撃を跳ね返してもパトリックが前線で収めてくれない。例え収めたとしてもサイドから高橋がクロスを入れるととんでもない方向に蹴ってしまう。それを筆頭に前線でのプレーに精度がないので何も生まれないのだった。

 それに気をよくしたセレッソは攻めに攻めてくる。サンフレッチェはクリアしてもセカンドボールは必ずセレッソである。仮に運良くパトリックが収めてカウンターに出てもソウザや山口のようなボランチの選手が軒並み刈り取ってしまう。もはやサンフレッチェに得点への希望は残されてないのだった。 

 そしてサイドからクロスを入れられたのはそんな時だった。ゴール前に入られシュート。GK中林が反応したものの真正面に弾くのが精一杯。すぐさまこぼれをダイレクトシュート。やられた、と目を覆いたくなったのだった。

 が、ボールは弾かれバーの上を飛んでいったのだった。一体何が起こったのか。なんと、それは高橋がキックでクリアしたようだった。

 助かった。入ってておかしくなかった。決して簡単なクリアではなかった。よくやった、よくやったぞ高橋。そしてこのチームを助けたプレーに自信を持ったか、前線へのオーバーラップも積極的になってきたのだった。

 だが残念なことに肝心のパトリックが不発だった。ヘディングをしても真っ直ぐ飛ばせない、シュートは打てない、ドリブルも冴えない。どことなく加入当初の威圧感が減少してるような気がする。点の取れないサンフレッチェの風土に同化してきたのではないだろうか。

 するとここで柴崎に代えフェリペが入った。おいおい、フェリペかよ。この人が出るとロクなことがないからなと不安感が過ぎった。実際攻められっ放しなのは変わらない。すると青山が素晴らしいパスカットでフェリペに出したのだった。

 前線へ長いフィードを送ったフェリペ。そのボールはパトリックの足に収まりバイタルエリアでディフェンダーを目の前ににした。またぎフェイントからシュートかと思いきや横にパスを出してしまった。するとそこには後ろから走ってきた選手が入りシュートを打った。入った。入った、入った、入った。ファーサイドへ確実に入ったのだった。

 それを打ったのがフェリペ・シウバ。なんと、パトリックへパスを出した後そのまま前線へ走ってたのだった。

 フェリペ!、フェリペ!、フェリペーッ!

 叫んでしまいそうになった。今まで散々けなしててゴメンね。散々使われたものの結果を出せなかったがやっとゴールを決めることができた。するとこのゴールに気をよくしたか、またしてもシュートを打った。

 ガツン!

 シュートはバーを叩き後ろに飛んでいった。

 そういえばフェリペはバーやポストに当てるのだけは上手いんだよな。あれが入れば決定的だったがそれでもシュートへの意識の高さを表現できるのは素晴らしかった。

 絶対に勝たないといけないセレッソは更に攻撃への圧力を増す。サンフレッチェはもうアップアップだ。蹴り出しても蹴り出してもボールは相手のとこに行く。青山も足をつり倒れてしまった。

 ここで稲垣が入る。そして柏も倒れて皆川が入る。もうみんなイッパイイッパイなんだろう。もはや点を取ることは諦め手堅く時間稼ぎにいった。跳ね返し、跳ね返し、跳ね返す。時計の針を進めたい。セレッソのCKが続く。身体を張って耐えしのぐのだった。

 もうここまできたら絶対に点を与えては駄目だ。堪えろ、堪えろ、堪えてくれ。そして中林がパントキックを蹴ったとこで終了の笛が鳴ったのだった。 勝った。勝ったのだ。

 飛び上がらんばかりに喜ぶも、目からは熱いものが流れ落ちそうになった。 絶対に負ける。そう思ってた試合で勝つことができた。これにより残留争いに大きく前進することができた。それほど貴重な勝ち点だった。

 勝因は何だったんだろう。

 それはやはり一人一人の選手がギリギリのところで踏ん張った結果だろう。足がつるまで走る。シュートを最期の最期で防ぐ。チャンスとみるや後尾から駆け上がって攻撃参加する。そんなことの積み重ねがこの試合の勝利へとつながったのだろう。

 でもこれで喜んでばかりはいられない。シーズンはまだ残されてる。次負けたらまた元の黙阿弥。まだ気を抜いてはいけない。まだ気を抜いてはいけない。全ては残留の為に。

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