天皇杯鳥栖戦~天皇杯への夢

2016/11/12 天皇杯ラウンド16 サガン鳥栖vsサンフレッチェ広島 ベストアメニティスタジアム

 すっかり忘れてた。信じられない。自らを恥じねば。この失態は慚愧に値する。

 リーグ戦が終わり、もうすっかりシーズンオフになったような気分になり天皇杯があるのを忘れていた。お陰で中継を録画することさえ忘れてしまったぼくは再放送を待たねばならなかった。先に結果だけを知り、勝ち抜きに安堵するもそれをリアルタイムに体感できなかったことを大いに悔やむのだった。

 しかし、これは天皇杯自体にも問題がある。これほど毎週サンフレッチェのことを追っているぼくでさえ見逃してしまう情報の無さ。受け手の方がよくアンテナを張ってないといけないという興業としては考えれない発信力である。試合は観たいもののこの運営側のやる気のなさに興味が薄くなってしまうのは致し方ない話だった。

 そういう訳で試合を観たのは翌日になってからだった。結果は当然事前にしってしまった。それを知らずにやり過ごすことはぼくにはとてもできないことなのだった。

 スカパー!での再放送が始まりTVにしがみつく。あんまり客入ってないなと思ってたら9,000人入ってたことに軽い驚愕を憶える。もしかして天皇杯ももっとプロモーションを工夫すればもっと盛り上がるのではなかろうか。

 そして試合は始まった。鳥栖は運動量を厭わず走り回る。対してパスでかわすサンフレッチェ。そのスタイルは両極端であるが故に両者の対決は面白い。前に繰り出せば鳥栖の速いプレスに遭い攻撃を妨げられる。そしてそこからカウンターへと切り替わると結構な迫力がある。だからこそミスを減らし相手の裏を突く攻撃が必要となった。

 ボールを持つとすぐに寄せるので少ない手数でパスをつなぐ。中盤からサイドへ。サイドから中央へ。更に前線のウタカが受けるとロペスに渡るとディフェンスの裏にループでボールを放り込む。虚を突かれたDF陣の背後には柴崎が走り込んでいてまたもやGKの頭上へループシュート。次の瞬間ネットの揺れる光景があるのだった。

 美しい。流れるようなパスワーク。そして最後に決めてしまう決定力。全ての選手が関わり決めたそのゴールに興奮と恍惚を感じるのだった。ああ、こういうゴールがあるからこそぼくはサンフレッチェをいつまでも観ていられるんだ。

 そんな柴崎のゴールで気をよくしたサンフレッチェにCK。ボールはウタカの足下へ落下し脚を振り抜くとあたり損ねのシュート。が、それが効をそうしたか、ボールはボテボテとファーサイドのゴールに入ったのだった。

 2点目。かなり有利な状態になった。というよりここまで来ればもっと点が取れそうな気がしてきた。いけ、もっといけと意気込んでいたものの、後半に入ると失速してしまった。いや、むしろ鳥栖の攻撃に鋭さと力強さが出てきたのだった。

 防戦一方のサンフレッチェ。相手の攻撃を止めて反撃に出ようとすると前からのプレスにボールがつなげられすたまらずロングボール。するとまた鳥栖ボールになり守備の時間が続くのだった。

 苦しい。この危機を脱したい。それなのに鳥栖のCK。屈強な豊田の存在が脅威だ。防いでもまたCK。だがこれを防ぐと前線のウタカへ出るとカウンター。ここはチャンス、と思いきやシュートまでたどり着かない。そして鳥栖の攻撃に移るも最後列で摘み取ると再び組み立てる。中盤に下がったウタカに出る。ロペスに渡る。まだ見方の上がりがない。ここからどうやって崩すかと固唾を飲んだその時、ロペスは左足を振り切った。閃光が走った。次の瞬間、ゴールにはボールが突き刺さっていたのだった。

「うおおおおっ!」

 驚いた。ゴールの喜びよりも驚きが先だった。それは意表を突きパワーも持ったとんでもないシュートだった。こんなシュートが決めれるロペス、実はとんでもない選手なのかもしれないと胸が躍ってしまうのだった。

 3点差。もう安泰。正直そう思った。でもリーグ戦でもここから2点返されたようにこの試合もやばかった。バックパスをしようとした野上がボールをかっさらわれた場面など決められてもおかしくなかった。でもその都度相手の精度の無さに助けられたのだった。

 そして試合は終わり無事0ー3で勝った。ラウンド8進出。よかった、これで今シーズンまだサンフレッチェの試合が観れる。現役引退を発表した浩司もまだプレーのチャンスがある。

 試合数の多かった今シーズンだったが、その割にパッとした成果がなかった。最後の最後にとってほしい。天皇杯、果たしてそれを掲げる姿を拝むことはできるのだろうか。

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