ガンバ戦~追いついたしぶとさ

2017/08/09 サンフレッチェ広島vsガンバ大阪 エディオンスタジアム広島

 丹羽、パトリック。今シーズン途中で移籍してきた2人にとって古巣対決となる。どちらかというと戦力外の意味合いが強い移籍だっただけに因縁としては強いものがあるだろう。ガンバにとってもついこの前まで在籍した選手にやられる訳にいかないというのが本音だろう。
 日本各地で今年の最高気温を出してる中でエディスタには雨が降っていた。照明の光からはっきり見える雨粒。それに打たれる選手は水分をまとっているものの、それは雨によるのか汗なのかわからなかった。
 優勝を目指してるガンバ。残留を目指すサンフレッチェ。両者の現在の目標の差に愕然とするもののここで勝てるとこの自信は計り知れない。そして未だリーグ戦ホーム未勝利。どちらの意味でも現状を打破するのにサンフレッチェとしては格好の舞台であるのだった。
 そんな条件の中、サンフレッチェは決してひるむことなくアグレッシブに動いた。前線のパトリックに出すと横パス、ロペスのシュート。が、これは枠に入らなかった。一連の流れはよかったものの、やっぱりロペスはシュートが下手だと天を仰いでしまった。
 ところがそんなゴールに近い位置にまたしても縦パスが入った。トラップと同時にターンしたロペス。振り向きざまシュート、入った。電光石火の動きによりゴールを決めてしまったのだった。
 ああ、ロペス。今まで散々シュートが下手だと罵っててゴメンね。そして何気にチーム内得点王。一体この選手は上手いのか下手なのかわからない。でもこうして得点を重ねる内にどうしても外せない選手になりつつある。でもそれだったらどうして今まで決めるべきところで枠に入らないシュートばかり打っていたんだろう。
 連勝。もはやこんな早い時間でこんな言葉が頭に浮かんだ。まだまだ時間はたっぷりあるというのに。それが災いしたのだろうか、サンフレッチェはどんどん受け身となってしまい守ってばかりの展開が続く。そして後半開始早々右サイドの突破からグラウンダーのクロス。それを遠藤に詰められ決められてしまったのだった。
 やっぱりやられた。どう考えても攻められ過ぎてる。守備の人数も揃ってたしそれ以外に選択肢のない中でのプレーだった。それを防ぎきれなかったのは自陣でのプレスの弱さによる。それが相手に攻撃への余裕を生ませてこういう強引なプレーで得点を許してしまうのだった。
 同点になったガンバは更に気をよくして攻めてくる。するとアデニウソンがドリブルで仕掛けてくる。追いかける水本。スライディングにいったとこで倒れてしまった。ただ、これは相手にはカスリとも触ってない。それでもシュートを空振りした勢いで自分で倒れてしまった。ふう、危なかったと安堵のため息をついたのも束の間、審判はPKを宣言したのだった。
 はあ、PK?
 どこをどうやったらあのプレーがPKになるのか。判定への不満からスタンドから怒号のようなブーイングが起こる。それでも一度下した判定が覆ることなく、PKを蹴られるとゴールの端にきっちりと決められてしまった。GK中林も掌に当てるまではしたものの、得点を阻止するまでには至らなかった。
 逆転である。結局今日もホームで負けてしまう。しかも完全なる誤信によって。呪われてる。もうこれは呪われてるとしか思えない。
 その後もパトリックがヘディングするとファールにされ、相手に当たってゴールラインを割ったボールをゴールキックにされ、先に腕を引っ張られた高橋がアフターチャージのイエローを貰い、もう滅茶苦茶だった。結局審判は弱いチームだという先入観からサンフレッチェに不利な判定を平気でやっていた。それによりスタジアムの不穏な空気は一層大きくなっていった。
 敵はガンバだけじゃない。打ち負かしてやらないといけないのは審判もだ。そんな感情から余計に負けたくなくなってきた。
 だが攻撃に活路を見いだせない。ガンバの方が守備の戻りが速い。左サイドから柴崎が中央のロペスに渡したものの、すぐにシュートコースを消された。ボールを動かしシュートを打った。さすがに4人もディフェンスしてる中じゃブロックされる。が、入った。その4人の選手の目を縫うようにゴールに入ったのだった。同点、同点ゴールだった。
 ロペス、決める。あんなコースも空いてないようなシュートを決めてしまった。追いついた。不本意な判定により逆転をされそのまま意気消沈しそうな中、追いついてしまったのだった。
 勝ちたい。ここまで来たら勝ちたい。ところがガンバの攻撃ばかり続く。CKに逃げるのが精一杯。それでもそれらの危機を耐えしのぐと最後にチャンスが訪れた。ガンバのゴール前まで運ぶと最後にシュート。ところが工藤の放ったシュートは当たり損ねの力のないものでGKへのパスとなってしまった。
 そしてここで試合終了。最期の最期、あれが決まればなあ。そんなもどかしさがあるものの、難しい精神状態であろう中よく追いつくことができた。相変わらず失点をなくすことはできないがそれでも点を取ることができてる。パトリックが来てロペスのシュートが決まるようになったのが大きかった。
 またしてもホームで勝つことができなかった。審判の変な判定にも泣かされた。やはり呪われてるのかもしれない。だがその呪いを解くのも自分たち自身でできるのでは、そんな希望を見出すことができるのだった。

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