名古屋戦~原爆の日での勝利

2016/08/06 サンフレッチェ広島vs名古屋グランパス エディオンスタジアム広島

 身体が火照る暑さ、1945年のこの日もこんな暑さだったんだろうか。原爆の日、奇しくもこの日広島で試合をしたのは初めてということだった。スタンドには半旗が掲げられ聖火が灯され過去の追悼の意を表す。広島にいれば普通に誰でも知ってることでも他県に行けば驚くほど知られてない。なのでその記憶をなくさない為にも被爆地として語り続けなければいけない。

 核兵器のない世界、平和な世界への祈りを込めてキックオフ。ボールは青山に渡る。ハーフウェーラインより下がった位置からロングボールが放たれる。オフサイドラインぎりぎりで待ちかまえてたウタカ。そのボールに反応する。ゴール前へ飛び出しつつその背後からやってきたボールをトラップ。コントロールするとGK楢崎の逆を突いたシュート。コロコロコロと力なく転がりそのままゴールに吸い込まれたのだった。

 決まった。凄い、これぞサンフレッチェの攻撃。青山のピンポイントのロングパスにそれを処理しつつ最後は決めてしまうウタカの技術、素晴らしい。こんなゴールを生み出すのはサンフレッチェならである。ぼくらは興奮し、そして何よりも平和であるが故に今こうしてこの素晴らしいゴールが観れたんだと感情を高ぶらせるのだった。

 そしてその勢いも止まらず相手をいなしながらもボールを前に運ぶ。DFの間を抜けるスルーパスから柴崎が抜け出した時には決まったかと思ったが決められなかった。そしてCKのこぼれから宮吉が打った時も決められなかった。こんな再三ゴール前で打てるチャンスを得ながらも決めきれないのは何とももどかしかった。

 それでもいい場面は続いていく。左サイド柏がドリブルで駆け上がり切り返しからシュート。強烈な弾道だったが楢崎に阻まれてしまうもCKになった。柴崎のキック、するとニアサイドにニュッと現れたのが宮吉。GKの目の前で頭に合わせガツンとゴールネットを揺らしたのだった。

 追加点、そしてこれが宮吉のゴールというのが大きかった。次なるエース、次なるストライカーとして宮吉には多大なる期待を寄せている。ここでこうしてゴールを決めたというのはその希望へ一歩一歩近づいてるかのようだった。

 そんな宮吉のゴールによってチームも余裕を持つことができた。最終ラインでのパス回しもプレッシャーを掛けられても落ち着いて切り抜け攻撃へつなげていく。これは更なる追加点も狙えると思ったその時プレーが止まったのだった。

 ピッチにうずくまった宮吉。状況がよく飲み込めなかったもののこれで交代することになった。タンカで運ばれる様子からすると重傷なのだろうか。ええ、せっかくこれからという時なのに。その宮吉の怪我の具合に不安を抱えながら交代選手としてロペスが入るのだった。

 2試合目の出場となるロペス。前節では高いシュートの意識を魅せられたものの決めきるまでは至らなかった。今回は時間も長いことからチャンスはある。果たして結果を残すことができるのだろうか。

 そんなロペスへクロスが入る。ゴール真正面、ボレーシュートを狙う。入ったと立ち上がろうとしたがそれは当たり損ねでボテボテとGKの手に収まってしまうのだった。

 その他にもウタカと2人の関係で守備を切り裂きシュートまで持ち込む場面もあったものの決まらない。あと少しのとこで相手のブロックにあったりするのだった。シュート力もある、技術も高い、迫力もある。それなのにどうして決まらないのか不思議でしょうがなかった。

 それでも唯我独尊的に攻撃に専念するように見えながらも守備にもちゃんと貢献してるしやっぱり使ってみたい選手であるのは間違いなかった。それでいながら茶島など、ポジション争いに負けてる選手に憂いを感じるのだった。

 もっと取れそうでいて取れない。最後の最後での精度が足りないのだろうか。そのまま2-0で勝つことはできたもののそのビッグチャンスを決めきれなかったことに今後に向けての不安を残すのだった。そして宮吉の怪我の具合。そういう課題があるものの無失点での勝利に酔いしれ次なる戦いに眼を向けるのだった。

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