浦和戦~負への連鎖

2017/07/01 浦和レッドダイヤモンズvsサンフレッチェ広島 埼玉スタジアム2002

 球際の勝負がいつもよりアグレッシブな気がした。前線から皆川はプレスを掛けボールの出所を自由にさせないそれにより相手に有効なパスを出させないことでマイボールになる頻度を増やす。前線は活性化され可能性を感じさせる攻撃が続くのだった。
 この調子でいけば。
 そこにいる誰もが思っていただろう。だが最後が決まらない。それどころかFWの皆川などシュートすら打てないのだった。
 それならばチャンスの数を増やしていきたい。もっとボールを回して左右で揺さぶって中へ入れてとやってる内にカウンターを受けてしまった。とはいえゴール前に人数は揃ってる。大丈夫だろうと思っていたらカツン、カツンと2本のパスで決められてしまった。それはサンフレッチェがあれだけ苦労してシュートすら打てなかったことが空しくなるくらいに簡単に決まったゴールだった。それでも気を取り直していこうとしているとまたしても決められた。ああ、こんなに簡単に決められるとは。ぼくはこの時点で席を立って帰ってしまおうかと思ってしまった。
 さすがに後半になると茶島に代えてロペスを入れ点を取りにいった。が、こういう時にロペスが入って点が入った例がない。さしたる期待もせずにいたもののスライドの長いドリブルは相手の守備に混乱を与えた。そしてゴール前にボールが入るとそこからシュートが打たれた。入った。ドワーッという歓声が響き渡った。
「あれ誰、誰、誰?」
 そんな詮索が起こる。それくらい一瞬のことでで何がなんだか分からなかったものの、それが皆川だと分かると一斉に皆川コールが起こるのだった。
「皆川!皆川!」
 当然のことながらぼくも声を張り上げる。さっきまでボロクソ言ってたのにもはやこの時点で神の如く讃える。そして同点にすべく更に攻め立てる。
 ゴール前まで運ばれたボールがまたしてもゴールに突き刺さる。今度は誰?ロペス、ロペスじゃないか。やっと、やっとのことで決めたゴールは同点となるゴールだった。
 同じくロペスコールが響き渡る。だが圧巻はその後のカウンターでのシュート。見事に逆転ゴールを決めてしまうともうアウェイゴール裏は熱狂に包まれる。勝てる、勝てる、勝てる、勝てるぞ。皆川、ロペス、この2人をここまで我慢して使ったのはこの瞬間の為だったのだ。森保監督の交代策は見事当たったのだった。
 そしてこの優位性を保とうと青山からカズへ交代して中盤の安定を図ろうとする。が、ここからボールが取れなくなってしまった。途切れることのない浦和の攻撃。クリアしてもラインを割っても結局は浦和の攻撃になる。それに伴いどんどん深いエリアまで浸食していくのだった。
 すると真ん中のラファエルに入るとターンから一閃、GK中林の頭上を越えたシュートは綺麗にゴールに入ってしまった。ああ、追いつかれてしまった。でもまだ終わってない。もう1点入れるぞ。
 だがそれでも浦和の攻撃ばかり続く。右サイドでは清水が関根に1対1の攻防で負け続けドリブル突破されるとペナルティエリアへ。1人かわし2人かわし3人かわしてシュート。GK中林も止めることができず逆転をゆるしてしまった。ああ、終わった。終わった、終わった、終わった。
 1人に対して4人でも守れないとなるとサンフレッチェは単純に44人ピッチにいないと勝てないということに気づいてしまった。
 盛り上がる浦和の応援。逆転してまた逆転され。終わってみればただ相手を喜ばす演出をしただけだった。
 もうこの先勝つことはあるのだろうか。3点取っても勝てない。44人いないと失点を防げない。結局どこをどうやっても勝つことはできない。当たったと思ってた森保監督の采配もカズを入れることにより失敗してしまった。どうにも最後の最後には負けるように帳尻合わせができるようになってるようだ。
 これを負の連鎖とでも言うのだろうか。どうしてこの試合で負けてしまったのか。そんな疑問は空しさと共にいつまでも消えないのだった。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?