ルヴァンカップ新潟戦~若手メンバーの奮闘

2017/04/12 ルヴァンカップ予選リーグ アルビレックス新潟vsサンフレッチェ広島 デンカビッグスワンスタジアム

 新潟の夜は気温10度。まだまだ寒い。それにも関わらずサンフレッチェのサポーターの中には半袖が目立ち、気合いの大きさに逞しさを感じた。

 そんなビッグスワンだがさすがに平日のナイトゲームということで閑散としている。またこれが収容力が大きいことがその印象を助長する。気温の低さと相まって場末のような雰囲気がしてしまうがやはりこの客足についてはどうにかならないものかと思ってしまう。

 そんな観客動員への対策としてかつてはベストメンバー規定なるものがあったが、往々にしてそれは議論の対象となったものだった。出場機会を与えたいクラブと興業を重視するリーグ側の綱引きだ。でも結局のところどんなメンバーでやろうとそれが注目度に結びつかない。ましてや若手の実践経験不足は国際試合で勝てないことから危機感として叫ばれるようになりいつの間にか規定はなくなっていった。むしろ積極的に若手を使うように推奨されるようになっていった。

 そういう背景もありサンフレッチェには森島、長沼、川崎といった出場のない若手の名前があった。もっとも育成クラブと掲げてるサンフレッチェとしては規定さえなければ初めからこういうメンバーになるのは明白だった。

 普段観てない選手の出場、それでも後ろからパスでつないでいくスタイルは貫く。が、さすがにそこは安定感が欠けている。と思ってたものの、その割に上手く切り抜けて中盤まで運べてしまうのだった。

 右サイドの長沼が縦へ仕掛ける。この選手はボールテクニックに高い技術がありスルスルッと抜いてしまう。そこに感嘆するものの身体ごと当てるような守備をされてしまうと当たり負けしてしまう。やはりサイドをやるにはパワーがちょっと足りない。

 そして今度は川崎が守備で奮闘する。がんばっている。が、その後同サイドから攻撃される機会が多くなったということは相手にとってもやりやすさがあったのかもしれない。実際何度か突破を許してしまったことからもここももう少し力強さがほしい。

 更にもう一人の若手森島に目を向けると高い位置でボールを触る機会が訪れないので評価の下しようもない。むしろそこではもう少し工藤にがんばって前線でのタメをつくってもらわないとどうにもならない。

 そんな粗ばかりに目がいってしまうのも水本や柏といったレギュラーメンバーにボールが入ると抜群の安定感があるからだった。こうして一緒のピッチにいると両者のレベルの差は明確に現れるのだった。

 それ故にどことなく攻撃に力強さがない。そう思ったその時、丸谷が中盤から持ち上がる。右サイド開いた長沼。が、縦へボールを走らせると森島が裏へ抜け出す。サイドからグラウンダークロスに工藤に引きつられたDFのマークが剥がれてる茶島がシュート。見事GKの逆を突いて決めてしまったのだった。

 素晴らしい。3人、4人と連動して決めたゴール。これぞサンフレッチェ、これこそがサンフレッチェのゴールだ。今シーズンになってこういうゴールを観たことなかっただけにこのメンバーでこれをやったということに陶酔するのだった。

 これに気をよくし、あと何点取れるかなどと気楽なことを考えたらこの後ほとんど攻撃の場面が訪れなくなった。それでもどことなく切迫感がなかったのはブロックを敷いた守備が効いていたのかもしれない。ただ、それでも最後は塩谷が川崎と交代して入ったのは守りきることを考えれば致し方なかっただろう。

 そしてこのまま1点を守りきって試合終了。ルヴァンカップ初勝利である。若手中心のこのメンバーでやり遂げたというのが大きい。ここに出た若手、これからレギュラー争いを繰り広げてくれてチーム内の活性化をしてくれることを期待したい。

 育成型クラブ、それがどうもここ最近若手の台頭が少なくなってることからこれが足掛かりになってくれればいいがと思うのだった。

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