柏戦~今シーズンを象徴した最終戦

2017/12/02 柏レイソルvsサンフレッチェ広島 日立柏サッカースタジアム

 最終節。すでに残留を決め天皇杯も敗退してしまったがためにこれが今シーズンの最終戦となった。その為だろうか、アウェイゴール裏は通路にも人が溢れ、一度持ち場を離れると決して戻っては来れない程にサポーターが凝縮されていた。それなのに出入り口は一つという殺人的コンディションで観戦せざるを得ない。さすがにこれは保安上問題のある会場設定であった。
 そんな満員の柏スタジアム。サンフレッチェは前節と同じスタメンで組まれ、もはや降格を気にすることもなく伸び伸びとサッカーをやるのだった。後ろからのビルドアップ。連携による攻撃。豊富な運動量。まさにそれは森保体制からヨンソン監督へとバトンを引き継いだ集大成ともいえるサッカーだった。
 ところがそんな小気味いいサッカーをやりながらも最期が決まらない。シュートカウンターからフェリペがシュート。一旦はゴールに入ったものの、このシュートにオフサイドポジションにいたロペスが触っていたことでゴールとして認められなかった。他にもここぞという場面で必ずオフサイドにかかる。そう、ワントップに入ったロペスはあらゆる面でいいとこがないのだった。
 シュートをすればミートができない。よくわからないとこでボールをとられてしまう。かといってまるで駄目かというと時折長いリーチを生かしたキープを行う。この選手、結局のところ上手いんだろうか、下手なんだろうか。がっかりするとこが多い割にチーム内最多の10点取ってる。一体この選手は生かすべきか生かさないべきか判断がつかないのだった。
 ただ、中途半端といえばもう一人、フェリペも入る。とんでもなく高い技術があるという割には試合ではパッとしない。確かにテクニックはあるもののラストパスをアシストにつなげることができない。それでいて自身のゴールも少なく得点を演出するという能力に欠けてる。それ故に怖くない。相手に脅威を与えない。中途半端に上手くて中途半端な存在感しかないのだった。
 そうこうしているとまたしてもCKから決められてしまった。しかもそれはミスキックのような低いすっぽ抜けたキックだった。しかしニアにいたフェリペがクリアし損ねるものだからボールはそのまますり抜けてしまいゴール前に立っていた柏の選手が当てるだけで余裕で決めることができた。ああ、フェリペは一体何をしていたのだろうか。
 その結果、またしても先制点を与えてしまった。しかも今シーズン何度も何度もやられたCKによる失点である。結局この悪癖は解消することができなかったようだった。
 そしてその後は柏の雨霰のような攻撃である。クリアしてもセカンドボールを拾われ、プレスに行けばあっさりパスを散らされ、ドリブルを止めようとすると逆を取られてシュートを打たれてしまう。そしてこの悪い流れを断ち切ることができない。サンドバック、サンドバックのように叩かれ続けるのだった。
 サンフレッチェは茶島を入れ、前線にパトリックを入れる。茶島はスピードと切れのあるドリブルから前への推進力を見せ、パトリックも最前線でボールを待つ。が、パトリックをめがけるクロスどころかロングボールも来ない。競り合えば勝てる。だけどその優位性を生かそうとしない。とはいえカウンターからドリブルに持ってくると最期にはパスを選んでしまい敵に読まれてしまう。結局そこのとこがこの選手を完全に頼り切ってしまおうという気概を奪ってしまうのだろう。
 時間は経つが点の入るイメージが沸かない。でもゴールラインまでドリブルで入る。折り返しを高橋が受けゴール前へ横パス。茶島のシュート。3人の選手を経由したそのシュートはGKの素早い反応により防がれてしまった。
 ああ、やっぱりGKは重要なんだ。
 怪我によって戦線離脱した林の代わりに出場してた中林。俊敏な反応からセービングをしたかと思うとプロとは思えないような稚拙なポジショニングで簡単に失点を許してしまった。満を持してサンフレッチェに戻ってきた中林だったが、J1のレベルに対応することができなかった。最後の最後でくい止めるGK。30メートル離れた場所からのシュートを簡単に決められるGK。両者の違いは大きいのだった。
 そしていい攻撃をしながらも最後が決まらない決定力のなさ。結局点を取ることと守ることという至極基本的な要素の欠陥によって負け続け、そしてこの試合も負けてしまったのだった。そういう意味で今シーズンを象徴するような試合だった。
 来シーズンへの希望。残留によりせっかくうっすらと見えていたものが再び霞んでしまった。ヨンソン監督も続投するかどうか未知数ということだが確かにこの試合を観る限り、このままでいいんだろうかという疑問は残る。かといって残留という最低限のノルマは果たした。果たしてその選択はどうしたらいいのだろう。
 高橋のように頭角を表した若手がいる一方、明らかに戦力となってない選手もいる。そういう疑問を残しつつ、どこかすっきりしないままで今シーズンの終わりを告げたのだった。

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