仙台戦~新たなる可能性

2016/08/27 ベガルタ仙台vsサンフレッチェ広島 ユアテックスタジアム

 記録的な水不足、酷暑が続いていたがこういう年は巨大な台風が来ると言われていた。そしてその言葉通り台風10号は記録的な規模で日本の南の海上からゆっくりと本州へと近づいてるのだった。それにより朝からシトシトと雨が降り続いているのだった。

 それでも連日の猛暑にすっかり疲弊してる身としては多少の息抜きになる気温の落ち着きだった。恐らくピッチでプレーする選手も体力的負担が軽減されたのではなかろうか。

 しかし、そこで安心ばかりしていられない。なんと、ウタカが急性胃腸炎の為に欠場するという。そしてアンデルソン・ロペスもハムストリング負傷により欠場。その為スタメンに名を連ねたのが寿人であり茶島なのだった。

 2人にとってこの出場は大きなチャンスだった。外国人選手にポジションを奪われて久しい両選手にとってこれは絶好のアピールの機会である。そして奇しくもこの起用は仙台のサポーターをも喜ばせることになった。敵とは言えやはり2年在籍した寿人の出場は嬉しいはずだ。

 そして入場した選手の中には水本もいた。怪我で欠場が続いていたがDFのメンバーが揃ったというのは地味に大きいことなのだった。

 仙台のキックオフで始まるとサンフレッチェの選手は前からプレッシャーを掛けていった。スタミナのないウタカだとこれはないかもしれない。ボールを奪い攻撃に出ると左右の揺さぶりからシュートの形に持ち込む。これもいつもより連動性があるような気がする。それにより、今までよりも両者に動きのある試合になってるような気がするのだった。

 その為か、右サイドミキッチのとこで勝負する機会が増える。ボールを持てば前に仕掛ける。縦に抜け、カットインしてクロスやシュートを放つ。その個の勝負という意味では勝ってるかもしれないがゴールという意味ではちっとも訪れない。こういういい展開をしている時に点を入れないと潮目が代わって相手に持って行かれる。そういう試合をこのところ何度もしている為にいかに有利な展開が続いてもちっとも安心はしてられないのだった。

 すると仙台はウィルソンやハモン・ロペスといった外国人選手によって

脅威を与えられる。やられた、そう思った瞬間も何度もあった。が、最後の最後に身体をぶつけ、足を伸ばしブロックするのだった。そう、勝ってた時期というのはこうやって最後の最後をやらせなかったのだった。

 そしてそんな粘りの利いた守備からボールをカットすると左に大きく展開。駆け上がる柴崎。マイナスのグラウンダーのクロスは寿人の背中。そのまま通り過ぎたと思ったが青山が上がっていた。そしてジャストミートしたシュートはゴールに真っ直ぐな軌道で入ったのだった。

 素晴らしい。2、3人が絡み綺麗な弾道のシュート。これぞサンフレッチェのゴールである。すっかりウタカの影に隠れてしまった感のある寿人であるがやっぱり寿人の絡んだ攻撃は面白い。そして願わくば寿人自信のゴールが観たいのだった。

 だがこのすぐ後に中央から強烈なシュートを打たれる。外れた。完璧にやられたと思ってたが今日は運もいいのかもしれない。

 寿人のゴール、寿人のゴールと願うもののその場面はちっとも訪れない。それどころか後半に入ると防戦の方が多くなってきた。せっかくボールを奪っても変に急ぎすぎてまた相手ボールにされてしまう。ああ、もっと状況判断を的確にしてくれよと焦りを感じる。

 するとミキッチに代わって清水が入る。その時ブーイングを受けていたが清水はどこのスタジアムに行ってもブーイングを受ける。それだけ嫌な選手なんだろうと逆に逞しさを感じる。が、そのすぐ後に寿人も皆川と交代してしまい少しガックリした気分になるのだった。

 依然として守備の時間は続く。仙台はバブロ・ジオゴを入れ攻撃により厚みを加えてきた。こうなると1点しかないリードというのがとてつもなく覚束ないものに思えるのだった。

 パスや個人技で打開をしようとする仙台。それを絡め取ると中盤へ出すも仙台の戻りも早い。たまらなく柴崎も後ろへドリブルして逃げる。それはせっかくの速攻チャンスを逃してしまったようで少し肩を落としてしまった。が、そこから左に上がってた清水に出すと2人の選手をぶち抜きペナルティエリアへ。そしてマイナスのパスは一度はカットされるもそのルーズボールに柴崎。そのまま足を振り切るとバーを当てながらもゴールにガコンと入れてしまったのだった。追加点、2点差。もうこれで勝った。そんな確信を持てたのだった。

 その後仙台も攻撃に圧力を増していき、ゴール前に入れられるとウィルソンがシュート。だがこれも水本のブロックにより阻止されてしまう。ああ、やっぱり水本は強い。そしてGK林も身体を張って止める。危ない場面はあっても最後に止めてしまう。この日のサンフレッチェは実に頼もしいのだった。

 そして0ー2で勝った。寿人のゴールはなかったし、茶島もゴールに結びつけることはできなかったけど完封勝利というのは大きい。守備に重さがあったのは水本の復帰のお陰なのだろうか。

 怪我人などによりやむにやまれず組んだメンバーではあるものの、これえはこれで新たなる可能性を見せた。どのチームもサンフレッチェ対策をしてくる現在、一つのヒントを得たような気がしたのだった。

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