マリノス戦~大敗の後の大勝試合

2018年8月1日 横浜Fマリノスvsサンフレッチェ広島 ニッパツ三ツ沢球戯場

 後半の開始から、更にパトリックは走る。スルーパスを呼び込む。相手に当たってCKになった。それだけでも価値のあるプレーだった。が、このCKを叩き込んだ。ヘディングでゴールにぶち込んだのはパトリックだった。
 パトリック、パトリック、パトリック!
 絶叫が止まらない。そしてパトリックのチャントを皆が声を合わせるのだった。
 前半終了間際、そして後半開始早々。この短時間で2点差をつけたのは相手の出鼻を挫くのに絶大な効果をもたらせた。
 追いつくべく攻めるマリノス。そして攻められれば攻められるほどカウンターからのチャンスがつくりやすい。もはやこの時になると少々攻められても防ぐ自信があった。事実、シュートを放たれようとするもそのほとんどをDFがブロックしてしまいGK林のところに到達しない。まれにシュートが飛んできてもそのほとんどが真正面で受けている。DF陣も含めた守備の構築ができてる証拠だった。
 そんな守備への安心感からか、攻撃に転じた場合一発を狙ったパスが多くなった。そのほとんどがトップの渡に収まることがなく見せ場をつくれない。まだJ1でゴールがない渡。FWとしてやはりどうしても寂しさが残る。
 そんなことを話してる時だった。ペナルティエリアへ向けたボールに柴崎が追いついた。だがそこでシュートを打たず後ろへ落とした。距離は遠くなったが猛烈な勢いで走ってた渡がシュート。その強烈な弾道がゴールネットに突き刺さったのだった。
 決まった、決まった、決まった。渡が決めた。J1初ゴール。やった、ついにやったこの時をどんなに待ち望んでいたことか。そう思ってるのは皆同じようで渡コールが響き渡る。腹の力を振り絞って声を出す。チームメートに揉みくちゃにされる渡のゴールはチームとしてもやっとという想いがあったのだろう。
 0-3。勝利を確信できる時間に近づきつつあった。反撃を試みるマリノス。だけど攻められれば攻められる程隙が生じ奪った後のカウンターが効いてくる。CKを跳ね返され縦へ急ごうとしたマリノスのボールをカットすると右サイドの和田がクロス。そしてこれをゴール前で合わせたのはディフェンダーの千葉だった。2試合連続のゴール。何気に得点力があることを見せつけられアウェイエリアはお祭り気分で喜び合うのだった。
 大勝、大勝。4点も入れた。こういう時だからサブのメンバーの起用がされる。川辺にベリーシャ。アピールのチャンスだとばかり積極的にゴールを目指す。DFラインの裏へ繰り出したのでシュートを打った川辺。が、これは枠に収めることができなかった。それによりGKから前へ持ち上がったマリノスはサイドからのクロス。中で合わせられ1点返されてしまった。もはやあと30秒もすれば終わるとこだった。それを堪えることができず無得点で終わることができなかった。
 そこに一点の曇りを感じた勝利なのだが得点者を知り別の感情が生まれた。
 伊藤翔。ああ、またこの選手にやられた。なぜマリノスとなる時はいつもこの選手に決められてしまうのだろう。そういう選手はもう一人、中町という選手がいるのだが、都合のいいことにベンチだった。こういうとこはマリノスの監督が外国人であるが故のデメリットなのだった。
 何はともあれ1-4で勝つことができた。前節と同じスコアということで差し引きゼロのようなものだ。無失点で終われなかった無念さもある。それでも勝ち点3は貴重だ。去年の今頃は残留に向けて尻に火が付いた状態だったんだな。もはや今シーズンは降格だけはすることはない。そんなことを話しながらドクトルと横浜駅まで坂道を歩いて行った。話題に尽きることはない。それもこれも勝ったからこそ足取りも軽快である。そしてこの試合に来るまでの過程であまりにもぼくを導いてると感じた巡り合わせの数々。やはりそれはぼくに絶対に来たほうがよいと仄めかす暗示なのかもしれなかった。

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